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俳句(スターリン天国)

赤児吸ふ乳首が眼玉となり睨む

渋滞全車屋根に生首こちら向く

今日未だ命日ならず蛇の殻

状差しの「キトク」を蟻の横切れる

蚊取り線香灰になるべったり折れ

鮮やかな死人の夏を充電す

世棄児よすてごの挽歌にゆらぐ天の河

扇風機二台回ってゐる空家

蜘蛛死後の白き身なれば風に乗せ

地獄のドアノブがスターリンの顔だった

大会議室ふんだんにある五月闇

椿落ちぬ片肌脱ぎの腋らへん

先天性不透明罪にて検挙

冷房つらし汗なく終はる交合に

再生の焼野に金の蛇を解く

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