俳句(月白)
死と知らずゆく月白の道を踏む
わが黒き犬逆巻ける宵闇に
彼岸花孤舟ぶつかり合へぬまま
エジョフ消へて川しづかなる懐手
蚊に喰はれ半跏思惟でムヒを塗る
しばらくは屋根を潤す秋の雨
真中より屋根乾きゆく秋の空
満月やこの世の虚無としてひかり
消えぬ血が鉄路に一つ野分後
インク分離の隙間の無とか獺祭忌
朝刊に頭垢はらひつつ賢治の忌
大夕焼搔き分けつ去り大鴉
大夕焼胃壁を燃やしたる如し
氷菓自販機に飢児せめぎ合ひ百葉箱
死にゆけば白粉花の遠く在り
美童脱がす肋に刺青彼岸花
碧空に血の溜まりゆく彼岸花
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