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俳句

新歸朝のインタービューや百合懺悔

蜩時雨の真只中に裸身かな

鳥獣虫魚塒へ急ぐ夕立かな

麻薬者の骨の砕片夏の月

遠雷のしづかに空を裂きにけり

サンダルをつっかけてゆく夏の火事

放火犯火事見の列にラムネ売る

片陰切れし塀の上なるコーヒー缶

大夕焼地球を潰すまで沈む

新郎新婦回し蹴られし片陰に

「職場=イコール墓場」蝉吟じつつ落ち

人間は骨だけきれい蝉生まる

門前の桔梗を褒むる偽隠者

三人で見上げし虹をひとりかな

赤き服ぐったりと脱ぐ夕凪に

夕凪やまっくろくろすけ出てこない

浴室の蚊に全身が聞き澄ます

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