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俳句

折竹の暗きの底を出る蚊かな

夏雲に鳥たましいは真っ黒で

柿の幹より若葉蛇口として出るや

鴉朽ちて不可算になる分離かな

杏仁豆腐に射精して区別つかず

北半球無際限なる氷に虫

夏風に鼻毛散らして取り返せず

夏川の流れに沿ひて向き合ひぬ

竹林のN字の斜線やがて倒る

猫の毛の数千万の一飛びぬ

火の脱けし蚊遣ばらばらなる月夜

四千通の迷惑メール紅蜀葵

置き配を置く瞬間の秋思かな

ヤマト運輸迷惑メール架空の荷物これにて六個

いま談笑せし人の陰口白雨降る

白雨打つ車の人の黒きかな

階上のドア喘鳴を消しきれず

梅雨の逮捕者移送中なる笑み八重歯

土砂降りの中に書棚のある風景

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