はま ~ 落ちこぼれ先生の独り言 ~

塾講師。独身貴族。数年前、36歳で小学校の教員採用試験に合格しながら、初任研途中で学級…

はま ~ 落ちこぼれ先生の独り言 ~

塾講師。独身貴族。数年前、36歳で小学校の教員採用試験に合格しながら、初任研途中で学級経営が上手くいかず、メンタル疾患を患い病休→退職した教育界の落ちこぼれ。現在、塾講師としてキャリアを積み、将来の学校現場復帰を目指しています。

最近の記事

中途半端なICT教育は、教育現場の”荒れ”を助長するだけ

 勤務先の塾にて理科と社会の用語暗記テストを実施することになり、なるべく学校の進度に合わせようと、生徒達に「今学校でどこやってる?」と何度か質問したのだが、その度に「分からない」という返答をされて困っている。仕方なく、一番最初の単元からプリントを準備した。  もしやと思い、生徒の一人に授業の様子を聞くと、やはり荒れているという。その子の話では、先生は全生徒に一人一台支給されているタブレット端末を使用した練習問題をさせようとしているのだが、生徒達は誰も問題に取り組まず、授業中

    • この十字架は一生背負っていく

       あと半月後、学校現場に教員として復帰する。臨時教諭という立場ではあるが、それでも教諭である。3年前に小学校の初任研をメンタル疾患で退職してしまった時、なかなか這い上がれずにいた地獄から、ひとまず脱することができる。  しかし、心は晴れない。むしろ物悲しい気持ちだ。今までに払った犠牲があまりにも多すぎるからである。  メンタル疾患は想像以上に厄介だった。回復したと思いきや、しばらくするとまた頭をもたげてきた。そのせいで、30代後半という人生のキャリアの貴重な時期を無駄にし

      • 特別支援学校にて、学校現場復帰が決まりました……

         しばらく黙っていましたが、実は先週、地元の教育委員会より連絡があり、特別支援学校での臨時採用が決まりました。具体的な任期はぼかしますが、来月半ばには赴任ということになります。  特別支援学校を選んだ理由は、自分は”大勢の子どもの人気者”になるよりも、”少数派の子どもの味方になる”方が向いていると思ったこと、通常の指導ではなかなか上手くいかない子に対して「どうすればその子がスムーズに学習や活動に取り組めるか」について考えるのは好きだからということ。この二つです。  もちろ

        • メディアや”自称”有識者は、無責任に不登校児童を持ち上げるのをやめて欲しい

           メディアの教育問題の取り上げ方を見ていると、少なからず違和感を覚えてしまうことが多々ある。一部の”目立つ”不登校児童を無責任に持ち上げてしまうことも、その一つだ。  以前の記事にも書いたが、一口に「不登校」といっても、その要因や背景は一人一人異なる。だから”不登校は甘えである”と断じることも、”不登校は甘えではない”と言い切ることも、両方正しくないのである。  それなのに、メディアや”自称”有識者が、特に深刻な事情があるわけでもない不登校児を無責任に持ち上げることによっ

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          教員としての”才能”は、確かにある

           X(旧Twitter)を眺めていると、痛ましいポストを見つけてしまった。  若い小学校教員と思しき方だが、今まさに学級崩壊に苦しんでおり、「自分には教員の資質がない」と自責され、近々退職するつもりだという。  自分自身の過去と重なり、お節介ながら「あまり自分を責めないで下さい」とリプさせていただいた。確かにその方自身の力量不足はあるのだろうが、最初から何でもできる人はいない。その方に足りないのは教員としての資質ではなく”スキル”であり、それは”経験”を重ねることでしか身に

          教員としての”才能”は、確かにある

          ”不登校問題”と一括りにするから、議論が嚙み合わないのでは?

           不登校とは「学校の長期欠席が続いている」という状態を指す。言うまでもなく、その原因は様々だ。  クラスの雰囲気に馴染めなかったり、人間関係が上手くいかなかったり、深刻ないじめを受けていたり、勉強に付いていけなかったり、スマホのゲームにのめり込んで生活リズムを崩してしまったり……etc  このように、一口に不登校といっても、実に多種多様のケースがある。それらを一括りにして「無理やりにでも学校に行かせた方が良いのではないか」「いや、登校を強制すべきではない」などと議論しよう

          ”不登校問題”と一括りにするから、議論が嚙み合わないのでは?

          自治体の無料塾の”教室崩壊”(その2) ~ あれからメンタルがおかしい…… ~

           昨日の記事で書いた、学習規律の崩壊した無料塾にヘルプで入ってから、メンタル不調に苦しんでいる。  どんな指導をしたら良いかをずっと考えてしまい、生徒達に話したいと思っている内容を独り言のように呟いてしまったりする。どうもアドレナリンがずっと出っ放しのようだ。その塾のことがずっと頭から離れず、なかなか寝付くこともできない。  経験上、少し危険な状態である。  アドレナリンに頼った仕事の仕方をしてはいけない。判断ミスも起きやすくなるし、何よりいずれガス欠を起こし、ある朝突然、

          自治体の無料塾の”教室崩壊”(その2) ~ あれからメンタルがおかしい…… ~

          もし保護者から「我が子がいじめられている」という訴えがあったら

           教員という仕事の過酷さを知っている故、何か事故が発生した際に学校の不手際が問題とされたり、体罰等で教員が処分されたという事例を見聞きする度、(わいせつ事案のようなケースは別として)「先生も大変だよな」と同情的に思うことが多い。  しかし、そんな私でも「これはダメだろ……」と絶句してしまうケースが稀にある。  例えば、旭川市で女子中学生がいじめを苦に自死(凍死)した事件における学校側の対応は、さすがに私の理解の範疇を超えるものだった。  報道によれば、学校側は母親の訴えを

          もし保護者から「我が子がいじめられている」という訴えがあったら

          なぜ”いじめられる方にも原因がある”という声が根強いのか

           いじめは良くない、と誰もが思っている。そして「いじめる方が絶対に悪い」ということも、多くの人が認めるところだろう。  しかし、依然として”いじめられる方にも原因がある”という声は根強い。その原因は何なのだろうか。  個人的に、その原因は二つあると思っている。  一つは、人間関係のトラブルがいじめと混同されがちなこと。  世間では、そして教育現場でも、”相手がいじめと思ったらいじめ”だと言われたりするが、さすがにそれは極論だと思う。実際、私が過去に小学校で学級担任を受け持

          なぜ”いじめられる方にも原因がある”という声が根強いのか

          塾の”教室崩壊” ~助けて下さい!!~

          ※この記事を読まれた教育関係者の方、よろしければご助言等いただければ助かります。  今、私は気が重い。それは職場のことだ。  私の勤務する学習塾は、通常の営利目的の塾と違い、自治体の企画する”無料塾”の事業を請け負っている。この事業は、有料の塾に子どもを通わせられない家庭の児童生徒に「学習の場を提供する」ことが目的である。学習形態としては、個別指導塾と同じだ。  そのうちの一つの教室に、今月からヘルプで入ることになったのだが、行ってみると悲惨な状態だった。  中学生を

          塾の”教室崩壊” ~助けて下さい!!~

          ”希死念慮”からの解放

           今年の3月末。現在勤める学習塾に就職して、二週間余りが経過した頃のこと。メンタル疾患が再発しかけた。  それまで約二年間、一時期を除いてほぼ療養に費やしていた私にとって、久々のフルタイム勤務が、知らず知らずのうちに心身に負荷を掛けていたのだろう。ある朝、目覚めると体が鉛のように重く、なかなか起き上がれなくなった。何とか這うように支度して出勤し、辛うじてその日の仕事をこなすのだが、翌日もまたその翌日も、同じ症状が続いた。そして3月の最終週、ついに上司へ体調不良を伝え、仕事を

          問題を起こしがちな児童生徒の保護者との関わり方

           結論から言えば――「極力保護者にストレスを与えないようにする」こと、これに尽きると思う。  よく誤解されるのだが、世間には”問題を起こす子の親にも問題がある”というイメージがあるようだ。確かにそういうケースもなくはないのだが、ごく稀である。  実際には、保護者自身も”自分の子どもにどう接すれば良いのか分からず悩んでいる”ケースが多い。  だから、児童生徒が問題を起こした時、けっして保護者を責めるような言い方をしてはならない。ただでさえ普段から悩んでいる保護者をさらに追い

          問題を起こしがちな児童生徒の保護者との関わり方

          学校の先生と塾の先生、どう違う?

           私が学校と塾の両方で勤務経験があるからか、学校にいた時も塾にいた時も、やたらと”学校と塾の違いは?”と聞かれたりする。  私としては、単に”仕事内容が違う”ということでしかないのだが、どうも違いを聞いてくる人は、その答えでは満足できないらしい。私がどうにか頑張って回答しても、「その考えは浅い」とか「その考えじゃ学校(塾)では通用しない」とか、まだ仕事を何もしていないのに説教じみた言い方をされることも多く、ゲンナリしてしまう。  どうやら、学校の先生の中には塾に対して、塾

          学校の先生と塾の先生、どう違う?

          高学年女子の”暴言”を真に受けてはいけない

           小学校の教員時代、失敗したことや上手くいかなかったことは数知れないが、今回はそのうちの一つを紹介することにしたい。  私の初めての小学校勤務は、学級担任ではなく特別教育支援員(発達障害のある児童の学習活動を支援する)がスタートだった。各クラスに支援対象の児童が1~2人ずついたため、複数のクラスに入ることになるのだが、その年4年生の初任者の担当するクラスが学級崩壊してしまった。  学級崩壊すると、どんな児童でも言動が刺々しくなり、誰彼構わず攻撃的な態度を取るようになる。学

          高学年女子の”暴言”を真に受けてはいけない

          "2年間先生"応募HPの文言に、寒気がした……

             昨今の教員不足の影響か、熊本市が「2年間先生」なるプロジェクトを立ち上げ、人員の確保を図っているらしい。  これに対し、SNS上では「教員免許の意味は?」「2年間勤務した後、その人のキャリアはどうするんだ?」「こんなの使い捨てじゃないか!」等と、至極もっともな声が挙がっている。  今さら言うまでもなく、免許もなしで教員の仕事をさせるというのは、はっきり言って正気の沙汰ではない。  もっとも、これは熊本市の”苦肉の策”だと思う。それほど教員不足は深刻なのだ。私の地元で

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          誰も教えてくれない、児童生徒との”良好な人間関係”の築き方

             昔からよく言われてきた”誤解”の一つに、”良い授業をすれば良い学級経営ができる”というものがある。そのせいか、ある初任者研修の指導教諭は、毎日の仕事をこなすだけで精一杯の初任者に「毎日A4一枚分の学習指導案を書くように」と指示し、結果……担当した複数の初任者を退職に追いやったケースもあるという。  実際は違う。良い学級経営がなされているから、良い授業ができるのだ。順番が逆である。  荒れている学級で授業しようとすると、児童生徒が学習に取り組まないから、教師が悪い授

          誰も教えてくれない、児童生徒との”良好な人間関係”の築き方