【造形】無いもんは作るのが基本だよな(動物頭編)後編【コスプレ】

中編では試着からの修正をメインに書いてきた。
結果、最初よりはだいぶ再現度が高くなったと思う。(多分)

修正した結果

後編では完成までを書いていこうと思う。
とりあえず着手したのはアイホールにドクターペッパーの空きペットボトルから作った眼球をはめることからだ。
ボンドG17を使いたいところだが、ボンドG17は黄色い痕が残ってしまうので、乾くと透明になる木工用ボンド速乾タイプを使用する。
しかし速乾タイプとはいえ所詮は木工用ボンド、初期粘着があまりに貧弱につき、ある程度固まるまではズレないように固定しておく必要がある。
30分ほど指で押さえてある程度は固まったものの、アイホールの両縁がなかなかくっつかない。
これ以上指で押さえ
続けるのもだるいのでマスキングテープで両縁を固定した。
もう片方のアイホールはもう最初から位置を合わせたらマスキングテープで固めて放置である。
ボンドの完全乾燥時間である24時間が過ぎるまではこのままにしておこう。

次に瞳孔部分だ。
昨日貼った黄緑色のセロファン、24時間経ったのだからさすがに完全乾燥して……

乾燥していない……だと……

やはりペットボトルにセロファンの組み合わせは「木工用」ボンドと相性が悪かったか……!!
ここでわたしはボンドG17を取り出す。
黄色だが透明感があるし薄く塗ればいけるのではないか。
目のパーツに塗ってみるとさすがの速乾性、すぐ乾いていく。やばい早く貼り付けなければ。
で、貼り付けてみたはいいが異変が起きたため急いで剥がす。

色溶けてるやん

どうやらボンドG17の成分がセロファンの色を溶かしてしまったらしい。
おまけに剥がした瞳孔パーツに付着したG17はなかなか落ちない。
これは新しく瞳孔パーツをまた切り出した方が良さそうだ。

しかし新しく瞳孔パーツを作ったとしてどのようにして瞳に色をつけるべきか……ここで本職看板屋の夫に相談すると、「俺の付き合いの業者からシートのサンプル取り寄せるからそれを貼ればいい」とチートのようなアドバイスが降ってくる。
シートというのは早い話非常に薄いシールのようなもので、プロの看板屋が使うだけあってカラーバリエーションは豊富だし透過性のあるシートも当然ある。
他の人が真似できない手法であるがこの際やむを得ない。

夫にシートのサンプルを依頼して、また改めて試着してみる。だが前回妥協した顎がやはり気になるのである。

元キャラはこんなに顎ない

というわけで大手術を行った。顎を削って頭を少し上げることにしたのだ。
側頭部に粘土を盛ればそんなに頭でっかちには見えないだろう。多分。
ついでに耳の位置と角度も変えた。
ついでに目も大きめにしてみた。
そんなわけで色々修正した結果がこちら。

色々変えてみた

出来上がった頭には毛流れがメモしてある。
毛流れは我が家に同居している猫を参考にした。
次は毛いよいよを生やす……の前に、やっておきたいことがある。
それは内側に薄いタオル生地を貼り付ける作業だ。
これがあるとないとじゃ装着した時の快適さが段違いである。
布生地なので接着剤には裁ほう上手を利用した。

見た目は汚いがまあよかろう

よし、ようやく毛を生やす作業に入るぞ。

毛流れのメモにそって毛を貼り付けていく

貼り付けていったのはいいがこの写真を撮ってみたところであることに気づき、スマホのアルバムに保存したキャラの公式イラストと見比べる。
この色、確かにグレーではあるが、ちょいと濃すぎやしないか?

他のレイヤーさんのお写真も拝見するが、やはり皆もっと薄い、かつ均一なグレーなのである。
くっ、買い直しか……。
しかしせっかく手元にフェイクファーがあるのだから、毛を生やしたらどんな感じになるのか見てみたいっ!
そういうわけで毛の取り付けを継続することにした。
顔の前面を張り終えたところで一旦写真を撮ってみる。

え?こんなもふもふになる?

横幅こんなに増えるの??
思わず毛を取り付ける前の写真と見比べてしまった。

フェイクファー恐るべし

ほぼ同じ画角で同じ距離で撮影しているもののはずだが顔の横幅がかなり膨張している。
ある程度もふもふになるのは想定していたがこれはちょっともふもふすぎるのではなかろうか?
それと、着けてみたら案外この色も悪くないような気がしてきたのでこのまま作業を継続してみることにする。
このもふもふ感がどう転ぶかは装着してみてから判断するとしよう。
というわけで毛を整えつつ生やす作業を続ける。

やっぱりもふもふすぎる気がする

もふっている……すごくもふっている……。
実際の猫も顔にはあんまりもふもふ生えていないのである程度カットした方が良さそうだ。
しかしそれにしても眼球がすごく奥まった場所にあるのが気にかかる。このままだとめっちゃ細長い目になってしまう。
これは粘土の表面と毛皮の間に眼球を仕込むのが正解なのではないか?
試しにちょっと雑に付け替えてみた。

いや絶対こっちやろ

こちらの方が全然良い。今まで目にかけてきた苦労は一体なんだったのかと走馬灯のように頭を巡るが仕上がりのクオを上げるのが第一だ。目の上はわたでも仕込んで瞼っぽくしてみよう。

というわけでもふもふと格闘すること数時間、ようやくひと通り仕上げることができた。

なお、こだわりの毛流れはほとんどわからない

前に垂れている白い毛の部分は首元の肌を隠すためのものである。
目の周りの毛をカットしたら横幅の膨張感は多少マシになったような気がする。
こうなるとやはり試着してみたくなるものだ。
夫のワイシャツとベストを借用して試着してみる。

サイズ感は悪くないが

装着してみるとなぜか毛皮を取り付ける前よりも上下幅が窮屈になったような気がする。
そして顎を削って頭をかさ増しした分、やはり視界はかなり悪い。
そして何より、装着していると非常に息苦しい。

他の人の同じキャラの写真なども製作の参考にしているのだが、その中に「前面に空気穴があります」という記述を見かけたのを思い出した。
確かにこの頭、装着すると通気口と呼べるものがほぼない。首と頭の隙間ぐらいだろうか。
先人の知恵とは偉大である、というわけで口元に裏側からザクザクと小さい穴をたくさん開けた。
これで息苦しい問題は多少マシになるはずだ。

あとは後ろの開閉部分を閉じたときに固定するための何かを作らなければならない。
面テープを内側に仕込む方法が真っ先に浮かんだが、そもそももふもふの毛が面テープにくっつきそうだし、サイズをギリギリで作っているため、これをかぶった状態で面テープを止めるのは難しそうだ。
首部分の穴も結構ギリギリに作っていて手を入れる余地がない。

ということは、外側に何かを仕込む必要がある。
首元ギリギリのところに小さいボタンをつけて、細いゴム紐で固定するのはどうだろうか?
小さいボタンならもふもふであまり目立たないだろう、多分。
しかし実際にボタンを当ててみるとやはり少し目立つような気がする。白いボタンだからだろうか。
アクリル絵の具でボタンを毛皮に合わせてグレーに塗ってみる。できたらゴムもグレーがいいが家にある材料で染めるのは難しそうなのでそこは妥協だ。
絵の具が乾いたらさっそく取り付けてみた。
なかなか悪くないのではなかろうか。

ゴムで接続した状態だがほとんど見えない

この手法の問題は目立たないようにしたあまり外す時にどこにボタンがあるのか探すのと、毛が絡んでいるためゴムを外すのに苦労することが予想される点であるが、まあそこはいざとなったら同行者にお願いしよう。
もともとほとんど視界がないためコス中は重度要介護状態になることから、この頭を装着するときは同行者の存在が必要不可欠なのである。

あとは目を作れば一旦完成だが、目の位置を粘土の内側から外側に変更したため、瞳部分も粘土の外側に作る必要があり、パーツの形を修正しなければならない。
この作業、非常に時間がかかったがなんとか形になった。
瞳と白目部分を接着する瞬間接着剤も、透明なものが見つかり、パーツの切れ端でテストしてみたがいい感じである。

約500円と少々値は張るが全然オッケー、

次に瞳孔の色を図に描いていく。この図に沿ってシートを切り瞳孔パーツに貼り付けていくわけだ。

こんな感じでどうだろう

色構成を決めたらいよいよチートで入手したシートを貼っていく作業になる。なお、普通に購入すると何万円もするらしい。ひぇ。
夫に感謝しつつこの中から色を選ぶ。

どの色を使うか悩む

これは実際に貼ってみないと発色や透過性がわからないので、それぞれの色を少しだけカットしてペットボトルの空き容器に貼ってみて決めた。
しかし思っていたほど透過性はないのでやはりコス中は重度要介護になりそうだ。

球面にシートを貼るのに多少苦労したが、なんとかこれでどうだろう、という出来になった。
少し色が濃すぎる気がするが瞳を入れるまでは何とも言えないのでとりあえず一旦これでいってみよう。

結局明るめの色で作り直したわけだが

しかし瞳孔を入れようにも恐らく目の裏側をうまく仕込むためにあれこれした際に眼球の表面の方に傷や凹みができてしまっている。
目はやっぱりきれいでないと、というわけでまたドクペを購入、空きペットボトルで新しい眼球パーツを作って付け直すことにした。
どうせ新しく付け直すなら白目パーツに瞳孔を貼り付けたパーツの上から眼球パーツを取り付けた方がよかろう。

というわけで白目パーツに瞳孔パーツを接着する作業に入るが、球面に球面を接着するという作業に思っていた以上に手間と時間がかかった。
どのくらいかかったかというと2日間にわたってさまざまな試行錯誤を繰り返したのである。バカか。

どんだけと思うくらいくらいトライアンドエラーを繰り返し、ついにわたしは諦めの境地に達した。
完璧を求めるのは間違ってはいないが、どうやっても理想とする完璧な瞳にするのは無理だと悟ったわけだ。
最後に接着剤痕などでボロボロになった瞳孔シートを貼り直して目のパーツは完成だ。もういいこれで完成ったら完成だ。 

というわけで完成した目をアイホールに仕込む。仕込もうと思った。仕込みたかったのだが粘土と毛皮の間に白目パーツと瞳の表面を入れ込むということが非常に困難だということに気づいた。
よく人形などでは一番最後に目を入れるものだと聞くが、ことコスプレ用動物頭においては粘土→眼球の取り付け→毛皮の取り付けの順番が最適解だったのだ。

そんなわけで目の周りの毛を剥ぎ取った。
剥ぎ取った様子はあまりに哀れなので写真は載せないがこれで思う存分目を取り付けられる。
毛がないせいで左右のバランスが合っているのかわからず不安だがそこはもう自分を信じるしかない。
瞳を取り付けたら新しい毛皮を取り付けていくが、毛皮をつけていくことでなぜか左右で目の高さが違うことに気づく。なぜだ。アイホールは確かに左右対称になるようしっかり調整したはずだ。
やらかしたとすれば眼球の位置を粘土の裏から表にする際にアイホールの調整をしたときだ。ていうかそれしかない。やっちまった。

というわけですでに取り付けた左目のアイホールに合わせて右目のアイホールの大きさや形を調整することとなった。
穴を広げたい部分はカッターで削ればいいが問題は削りすぎて粘土が足りない部分だ。
アイホールのためだけにまた粘土を買うのもあれなので、ティッシュを細かく千切って丸めて木工用ボンドでくっつけるという荒技で足りない部分を形成していく。案外なんとかなるもんだ。

なんとかしたアイホールに目を仕込んで毛皮をつけていき、ここでまた色々なトライアンドエラーがあったがまあそれは割愛して、ようやくこれでひと段落だろう、という出来栄えになった。

目が入ると印象がだいぶ変わる

うん、悪くはないのではなかろうか。
もう少し毛をカットしたり毛流れを整えたり口をつけたりしたいため完璧に完成しているわけではないがこの辺で一旦終わっておこう。

というわけで3回に分けて動物頭製作について書いてきた。
動物頭はクオリティさえ気にしなければ安価で簡単に製作が可能だ。
しかし造形全般に言えることだがクオリティを求めるとお金がすごい勢いで飛んでいく。
ちなみに今回の動物頭の製作には1万円以上はかかった。反省はしていない。

おわり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?