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モノポリー
中学の頃、思春期まっただ中。
学校で嫌なことがあって、家に帰ると母にちょっと反抗的な態度を取った。今考えると申し訳ないし、恥ずかしい。
私がそういう態度を取ると、母は必ず私の部屋の電気を消す。「少し頭を冷やしなさい」と。
暗い部屋で色々考える。嫌だったこと、昔のこと、好きな子のこと。
ずっと、さまざまなできごとが頭の中を駆け巡る。あっという間に時間が過ぎていく。
気づいたら、頭の中でモノポリーというか人生ゲームみたいなことをやり始める。
サイコロを振って、「6」マスを進む。二回休み。まるで自分の人生のよう。
架空の金銭を受け取り、また逆に支払う。頭の中の通貨。
昔、学校の友だちと児童館にあるモノポリーをやったことがあった。
私は、いつも負けていた。ゲームですらやっぱりなかなか勝てない。
ポケモンや遊戯王も、やっぱりいつも勝てなかったなぁとさらに昔のことに想いをはせる。
思春期になる前は良かった、誰かに気を遣う必要もなく、自然な流れで仲良くなれた。
あの日、近くの公園に行けばみんな友だちだった。夏祭りも何人かでいった。焼きそばをみんなで食べた。
中学に入ってから、なぜか皆よそよそしい。自分だけが子どものまま。
まるで蝶になれないサナギのよう。
成人して、いろいろひと悶着あった。やっと蝶になれたと思ったら、周りの蝶はもうどこにもいない。
皆遠くへ飛び立ってしまった。
この前、YouTubeを見ていたら広告でモノポリーのゲームが出てきた。
ふと懐かしさを覚える。少年はたしかにオトナになった。
聞きたくもないノイジーな音楽が耳に響く。不協和音から逃れ追いつかれの毎日。
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