Googleアカウントが一時停止になり、無効にされ、そして復元されるまでの記録
はじめに
この記事では、私が新たに取得したGoogleアカウントが一時停止され、無効になり、最終的に復元されるまでの経緯を時系列に沿って記述した。できるだけ詳細に書き起こそうと心がけたところ、7000字を越える長文になってしまった。というのも、細かく書けば書くほど、今後同じようなトラブルに見舞われる人の問題解決に寄与できる部分が増えるだろうと考えたためである。私が問題の渦中にあった際、問題の発生から解決までの道筋に関する情報が非常に少なく心細い思いをした。加えて、直接Googleにトラブルを問い合わせる術がなく、頼れるのは利用者の集合知のみであるというのが現状である。こうして書き残した一部始終が、この問題に悩む人の助けとして少しでも役立てば幸いに思う。なお、私自身の備忘録的な意味合いも込めて書いたため、個人的な考えや恨み辛みが至る所に挟み込まれていることはご容赦願いたい。
経緯
Googleアカウントの新規登録を思い立つ
2024年5月。私はとある事情から、新しいメールアドレスを取得する必要に迫られていた。
日常的に使用するメールアドレスは、スマホ用とパソコン用でそれぞれ1つずつ保持しており、いずれもGmailである。それ以外のフリーメールを使った経験はないため、今回もGmailを使っておけば間違いはないだろうと考えた。それにはGoogleアカウントの新規作成が必要である。思い立つ日が吉日ということで、私はGoogleアカウントの作成手続きに着手した。なお、この時はパソコンから手続きを行った。5月半ばのことである。
メールアドレス取得と3つのサイトへの登録
アカウント名、パスワード、電話番号を登録し、Googleアカウント(以下、アカウントA)の設定は問題なく完了した。取得したGmailのアドレス(以下、メールアドレスA)を使い、早速3つのサイトの利用者登録をした。サイトからの確認メールも無事に受信することができた。それらのサイトは、私を新規メールアドレスの取得に至らしめた事情と関連したものである。そのサイトからのメールが他のメールの中に混ざっては面倒なことになると考えたため、棲み分けを行った次第だ。
最後の仕上げにスマホからもアカウントAにログインし、出先でもメールを確認できるようにした。一仕事終えたような気分になっていたが、翌日になって問題が発生する。
アカウントの一時停止
翌日、突然スマホにGoogleからの通知が入った。詳しくは覚えていないが、「アカウントAについて確認するべき事項があります」といった文言であったと思う。慌ててパソコンからアカウントAを確認すると、アイコン部分に「一時停止中」と書かれており、「もう一度ログインする」というボタンが表示されていた。この時点で、私はそれほど焦っていなかった。経験上、ログインし直せば一時停止の状態は簡単に解消されるものであると思っていたためである。
私はロボットではありません
落ち着いてボタンをクリックし、メールアドレスとパスワードを入力した。すると、操作しているのがロボットでないことを確認させるページが現れた。以前、別のGoogleアカウントが一時停止状態に陥った際には、このようなページは表示されなかったはずである。
このあたりから、私は雲行きの怪しさを感じつつあった。一度の確認では済まず、何度か試してやっと私がロボットでないことが証明された。束の間の安堵感を覚えつつ「次へ」を押すと、次のようなメッセージが表示されたのである。
通常とは異なるアクティビティが検出されました。ログインするには、以下の手順に沿って操作して下さい。
「以下の手順」については「電話番号を指定して続行して下さい。ログインに使用できる確認コードを送信します。」と説明されていたため、私はあらかじめアカウントAに登録しておいた電話番号を入力し、「コードを取得」をクリックした。すると次のようなメッセージが赤い文字で表示された。
この電話番号は、既に何度も確認に使用されているため無効です。
おかしいと思い、同じ電話番号を再び入力してみたが、「この電話番号は、既に何度も確認に使用されているため無効です」というメッセージが表示されるだけであった。
私はGoogleの検索エンジンにこの文言を打ち込んでみた。するとGoogleヘルプコミュニティに、私と似たような問題に悩まされる人たちからの様々な質問が投稿されていた。それらを読んでわかったのは次の3つである。
①同じような問題がたくさんの人のもとで発生していること。
②家族や友人など別の電話番号を使用すれば確認コードを受け取れる場合があること。
③様々な方法を試しても、アカウントにログインできない場合が多々あること。
以上の内容から、もしやアカウントAに再びログインするのは非常に困難なのではないかという疑念が生じ始めた。
高まる嫌な予感
Googleの検索結果一覧に戻ると、「他の人はこちらも検索」という欄に「Googleアカウント 電話番号 上限」や「この電話番号は、既に何度も使用されています 解除」といったキーワードがずらりと並んでいた。嫌な予感が増し、更に調べたところGoogleのヘルプページにたどり着いた。そこには次のように記されていた。
電話番号が認証できない
つまり「この電話番号は、既に何度も確認に使用されているため無効です」というメッセージが表示された以上、アカウントAの電話番号認証に私の電話番号を使用するのは不可能であるということになる。しかし家族ならまだしも、いくら友人といえど第三者から電話番号を借りて認証を済ませるというのは、それこそセキュリティ上いかがなものだろうか。例え親しい間柄であろうと「電話番号を貸して欲しい」などと言えば怪しまれそうであるし、今後の付き合いに影響が生じそうだ。逆も然りである。そもそも友人に「Googleの認証したいから電話番号貸して」と言われたところで、抵抗感を覚えず電話番号を貸すことなどできるだろうか。
万策尽きる
私は事前に了承を得た上で、藁にもすがる思いで家族の電話番号を認証画面に打ち込んでみた。すると「この電話番号は無効です」と表示され、またもや認証に失敗した。その後も、Googleヘルプコミュニティやその他のネット記事に紹介されているアドバイスに従い、何度かログインを試みた。まず時間を置いてからログインしようとしてみたが、結果は同じであった。Googleアカウント復元ページからのログインも試してみたものの、やはり電話番号認証の段階で弾かれた。試すことのできる方法は全て試した上で、私はとうとう万策尽きたとしか表現できない状態に追い込まれた。
状況の整理と反省
ここまでの状況を整理すると、この問題が起こった原因は大きく分けて以下の二つにまとめられる。
①Googleに「通常とは異なるアクティビティ」が発生したアカウントとして認識されたこと。
②電話番号を確認に使用できる回数の上限を超えたこと。
ここに至るまでの私の行動を振り返った上で、これらについて私が反省すべき点はあったのか考えてみたところ、以下のような結論が導かれた。
①「通常とは異なるアクティビティ」について
まず、アカウントを作成して間もないうちに、3つものサイトにメールアドレスを登録したことがいけなかったのかもしれないと考えた。更に、アカウントを作成した直後に別のデバイスからログインしたことも「通常とは異なるアクティビティ」として検知された可能性がある。
アカウントを作成してから一呼吸置いた上でこれらの作業を行えば、問題は発生しなかったかも知れないと後悔した。しかし歯に衣着せず言うならば、こちらにやましいところが一切ないにもかかわらずGoogleのシステムの機嫌を伺いながらアカウントやメールアドレスを使用しなければならないというのもおかしな話だと思う。
②電話番号を確認に使用できる回数について
私はアカウントAの他に2つのGoogleアカウントを所持しており、それら全てに同じ電話番号を登録している。一般的に、個人が複数の電話番号を所持することが常識であるとは考えにくい。そのため私のように同じ電話番号を複数のGoogleアカウントに登録することは、想定され得る利用方法の範疇に収まるものであると思われる。
では私は、これまでに何度「電話番号による確認」を行ったか。まず携帯電話を購入し、Googleアカウントを設定した際に1回。機種変更して、そのGoogleアカウントを引き継いだ際に1回。パソコン用のGoogleアカウントを取得した際に1回。そのアカウントにスマホからログインした際に1回。そして今回問題になっているアカウントAをパソコンで作成したときに1回。アカウントAにスマホからもログインした際に1回。つまりたった6回の使用により、電話番号で確認を行える回数の上限を超えたことになる。
ここで、「電話番号で確認を行える回数」が具体的に何を指しているのか考えてみたい。期間に関係なく電話番号の使用回数が累積されていき、一定の回数を超過するとその番号は永久に使用できなくなるのか。それとも一定期間内に同じ電話番号を使用できる回数が決まっているだけで、期間をおけば再び使用できるようになるのか。前者の場合はあまりに不便であるし、そんなことをしていればGoogleの認証に使用できる電話番号が枯渇してしまうのではないかとさえ思う。後者のように解釈するのがまだ現実的であるように思われたので、そちらに懸けることにした。家族の電話番号でも認証できなかったからには、私の電話番号が再び認証に使用できるようになる日を待つこと以外に構じられる策はなかった。
友人への相談、そして経験者は語る
私はその日以来、胸に石を詰められたかのような心地で過ごしていた。解決の糸口が見えない問題を抱えているというのはなんとも寝覚めの悪いものであった。パソコンやスマホを開く度に、電話番号認証を突破する方法はないか調べずにはいられなかった。しかし芳しい成果は一向に得られない。何より私と同じような状況からアカウントへのログインに成功したという人の経験談が見つからないことにより、私の不安感はとどまるところを知らず増幅していった。
友人にここまでの顛末を告白したところ、その友人も全く同じ問題に悩まされていたことがわかった。友人も少し前に新しくGoogleアカウントを作成し、間もなく電話番号認証に関わる問題のせいでログインが不可能になったそうだ。
そのアカウントのことは忘れたことにして、すぐに新たなアカウントを作り直したのだと友人は言った。友人はあっけらかんとしていたが、私はとてもそんな気になれなかった。確かに新たなアカウントを作り直せば話は済む。しかし、私にとっての問題はそこのみにあるのではない。個人情報を含んだアカウントが、ログインもアカウント消去もできない宙ぶらりんの状態で存在していること自体が私にとって大きな悩みの種なのであった。
風向きが変わった日
その後も繰り返しアカウントAへのログインを試みたが、6月に入っても状況は改善されなかった。そこで、いっそのこと大幅に期間を空けてみよう考え、一ヶ月ほどアカウントAへのアプローチを休止することにした。アカウントAに関わる一連の問題など忘れたふりをして過ごしていたが、ふとした瞬間に思い出しては不安ともどかしさに駆られた。
そして7月になった。覚悟を決めてアカウントAへのログインを試み、メールアドレスとパスワードを入力した。すると見たことの無いページが現れ、次のようなメッセージが表示された。
アカウントが無効になっています。このアカウントは、Googleポリシーに違反する行為に使われていたようです。
私が放置していたおよそ一ヶ月の間に、アカウントAは無効になっていた。そしてGoogleポリシーに違反したアカウントとして認識されているようだが、私がアカウントAを作成してから一時停止されるまでには24時間もかかっていない。その間に一体何をすればGoogleポリシーに違反することができたというのだろうか。
一応Googleポリシーを確認したところ、やはりほとんど全ての項目に身に覚えがなかった。ただ一つ「不正行為を目的とした複数アカウントの使用」という項目に関しては、もしやと思うところがあった。つまり私が同じ電話番号を3つのアカウントに登録したことから、それらのアカウントの持ち主が同一人物であるとわかり、私が「Googleポリシーに違反する行為のために、複数のアカウントを作成または使用」したと誤って判断された可能性は否定できないということである。「Googleは不正行為を目的とするアカウントを自動的に検出して無効にしています」とのことだったので、間違いは起こりうるだろう。しかしGoogleポリシーには次のようにも記されている。
つまり、私が複数のGoogleアカウントを使用しようとしていたことには何の問題もなかったにもかかわらず、無効措置がとられたと表現して差し支えないだろう。
再審査の申請
アカウントの無効措置が間違っていると思われる場合はできるだけ早く再審査を申請するよう書かれていたため、私はすぐに申請に着手した。申請に当たっては、再審査を請求する理由を記述しなくてはならない。アカウントが無効になるまでの経緯をできるだけ詳しく説明するようにと書いてあったため、私はアカウントを作ってから無効とされるまでの出来事を日付も含めて詳細に記述した。おおよそ次のような具合である。
2024年5月〇日にアカウントを作成した。当日は問題なく使用できていたが、翌日5月〇日になって突然アカウントが一時停止され、再びログインすることを求められた。メールアドレス、パスワードの入力を済ませると、「お使いのアカウントで通常とは異なるアクティビティが検出されました。ログインするには、以下の手順に沿って操作して下さい」というメッセージが表示された。しかし、「通常とは異なるアクティビティ」に身に覚えがない。確認コードを送付するために電話番号を入力するよう求められたため、あらかじめアカウントに登録しておいた電話番号を入力したが、「この電話番号は既に何度も使用されています」というメッセージが表示され、確認コードを受け取ることができなかった。Googleアカウントヘルプに記載されている通り家族の電話番号でも試してみたが、いずれも「この電話番号は無効です」と表示され、ログインできなかった。Googleアカウント復元ページからのログインも試みたが、同じようなメッセージが表示され、失敗した。期間をおいて試してみようと思い、2024年6月半ばからしばらく待って本日2024年7月〇日にログインを試みたところ、アカウントが無効になったというメッセージが表示され、この異議申し立てを書いている。長期間にわたってアカウントにログインできず非常に困っているため、アカウントを復元していただきたい。
申請に当たって気をつけるべきだったこと
記述にあまり時間をかけすぎるとタイムアウトしてしまう仕様であったようで、私は同じ文章を2度打つ羽目になった。今後Googleに再審査を申請する方は、テキストファイルなどに状況説明の文章をあらかじめ作成しておき、申請ページにコピーアンドペーストすることを強く勧める。
申請の完了
続いて再審査の結果が送信されるメールアドレスを登録すると、申請は完了する。登録したメールアドレスには、申請が完了した旨を知らせるメールがすぐに届いた。多くの場合、審査には2営業日ほどかかるとのことだったため、私はやきもきしながら日々を過ごすこととなった。
再審査結果の通知
再審査の結果が知らされたのは2日後のことだ。届いたメールには“your request for restored access was approved.” とあった。悪い返事ではないと直感的にわかったが、確証が持てず日本語に翻訳してみた。すると「アクセスの復元リクエストが承認されました」という意味であることが確認できた。
私は半信半疑のままパソコンからアカウントAへのログインを試みた。アカウントが無効であるという状態が解消されただけで、また電話番号の認証に失敗するのではないかと考えたのである。メールアドレスとパスワードを入力すると、案の定電話番号での認証を求められた。自分の電話番号を入力し、「コードを取得」を押す。
この電話番号は、既に何度も確認に使用されているため無効です
私を散々苦しめたこの文章は、現れなかった。
アカウントへのログインに成功
パソコンの画面が切り替わり、コードを入力するよう促される。私のスマホが震え、SMSの受信を知らせた。そこには、認証コードがはっきりと記されていた。信じられない思いでコードを入力すると、「ログインしました」という文字が画面に大きく表示された。私はおよそ二ヶ月越しに、アカウントAへのログインに成功したのである。
おわりに
以上が、私の身に起こったGoogleアカウントに関するトラブルの一部始終である。繰り返しになるが、アルゴリズムのご機嫌伺いをするのは気持ちの良いものではない。それでも、根本的な仕組みが変わらない以上は私たち利用者の方で自衛策を構じるほかないだろう。
この文章が人様の役に立つことがあればもちろん有り難い。しかし一番に望むのは、今回紹介したようなGoogleアカウントの問題に悩まされる人がいなくなり、この文章が用無しになることである。
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