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〔事例4〕テーマ読書カフェ〔多様性〕の章~「ボクはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」を語り合おう

私イジリが今年から開催しています
テーマ読書カフェ。
 
第2回目を6月22日、京都市で開催
しました そのルポをさせて頂きます!
 
今回は〔多様性〕を主題に、小説
「ボクはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の
感想を 参加者5名で語り合いました。
 
課題本は、
数年前にベストセラーになった、
在英日本人女性による
エッセイ風の小説です。
 
内容はというと——

主人公は、
日本人の〔母ちゃん〕(著者)とアイルランド人の父
を持つ、中学1年生の〔ぼく〕。

入学したイギリスの底辺ランク中学で
人種や貧富による様々な差別やトラブルを
体験しながらも、明るく乗り越えて
仲間たちと友情を築き成長していく。

その姿に、見守ってる母ちゃんも
日々学ばされていく…
というストーリーで。
 
人種・宗教・貧富などの差別・対立が
日本よりも顕著なイギリスが舞台なので、
 
「〔多様性〕の中を どう生きる?」
 
という問いが、より具体的に
考えさせられる題材だと感じて
課題本にさせて頂きました。
 
今回の参加者は
●主催者で 集い研究家の私イジリ
●メーカーの価格設定部門OLのHさん
●経理事務OLのKさん
●元・経営者の Sさん
●電話お客様対応業務のNさん
の5名。
 
皆さんから、
読後の感想および自分の体験を
自由に語ってもらう形で
話し合いをスタートしました。
 
まずは、
司会者の私イジリから感想を
語らせて頂きました。
 
ストーリーの中で印象に残ったのは
息子のセリフ。
 
「人は いじめるのが好きなんじゃない。
 罰するのが好きなんだ」

という言葉に
ハッとした事を、皆さんにお伝えしました。
 
確かに〔バッシング〕には 快感がありますね。
しかも 自分が正しい側の人間だと思ってる
から 容赦がない…
 
イジリが中学生の時に、
校則違反の柄物の靴下をうっかり履いてきた
女の子を、男子たちが集団で糾弾して
泣かせてしまった事件がありまして…
 
その事を思い出すと いまだ心が痛みます。
「正しさを振りかざす事は
人を傷つけるんですねえ———」と
その思い出を語らせて頂きました。

 
続けて、メーカーの価格設定部門で働く
OLのHさんからの御感想。
 
「私は、絶対に間違えてはいけない部門で
 働いているので 周りの人に厳しい態度を
 取ってしまってる事も多いなあ、と
 この本を読んで 思い当たりました。
 
 自分の会社で、
 仕事の引き継ぎを受けてくれる
 中途入社の後輩に対して、
 『当然わかってると思ってたけど
  全然 分かってなかったんだね!』
 と
 認識のズレを相手のせいにして
 怒りをぶつけてしまいました。
 
 彼女は
 クリエイティブなアイディアを出すのは得意だけど
 ルールや手続きなどの膨大なルーティンを
 覚えるのは苦手だった、という事を、
 私が、察してあげられなかったのです。
 
 相手の立場に立って 思いやる事を
 この本では〔エンパシー〕という言葉で
 紹介してましたね。
 
 主人公の〔息子〕くんは〔エンパシー〕を
 「他人の靴を履いてみる」と
 表現してました。
 これは、
 違う立場の人の事を理解できる能力の事で、
 同じ立場の人に共感する〔シンパシー〕とは
まったく別の意味の言葉です。
 
〔息子〕くんは、
友人の貧乏学生が擦り切れた制服で我慢してる
のを知って、
自分の母ちゃんがお直しリフォームした制服を
渡してあげたいと思うのだけど、
恵んであげるような渡し方では 傷つけるから
どうにか自然な流れで渡してあげられないか
頭を悩ませてましたね———」
と、
エンパシーの難しさを、自分の反省も踏まえて
語って下さいました。
 

続けて、
電話お客様対応業務の女性リーダーの
Nさん の御感想。
 
「私はですね、人に 気を遣わせずに
 モノを渡すのは 得意なんです(笑)
 『あっコレ どや? 持っていき』と
 その場のノリで 気軽に渡してますよ―—」
と、
相手に気を遣わせない振る舞いを
自然にやってらっしゃるようです。
さすが!
 
「でも私が違和感を感じるのは、
 最近の若い人たちの傾向として――
 
 ヒットソングとかを聴いていて
 一部の詞(フレーズ)にだけ〔いいね〕
 付ける傾向が どうもねえ…
 
 そんな、ごく一部だけ切り取って
〔いいね〕付けるって どうなの?
 自分の都合のいいように共感してる
 だけじゃないの?
 
 歌や作品は その世界観の全部を丸ごと
 味わうものじゃないかなあ、って。
 思うんですけどね―――」
と。
 
〔分かるぅ♪〕〔同じ気持ち♪〕というのは
シンパシーに過ぎなくて、
 
〔分からない…〕〔どうしてだろう?〕
と感じる部分もとりあえず胸の内に入れる
のが エンパシーではないか、と。
 
ジャニおた(旧ジャニーズのファン)
でもある、Nさんのエンタメ批評に
唸らされました。
 

さらに、この後、
元・会社経営者のSさんからは
身も蓋もないストレートな御意見が。
 
「私は、
〔人は他人を理解できない〕という
 前提で生きていまして――
 
私自身も、自覚のないまま相当
他の人を傷つけてきたと思うんです。
 
 聖書の言葉で、
『あなた方のうち、罪なき者だけが、
この女を石撃ちなさい――』という
イエス・キリストの言葉がありましたね。
 
人は 他人を理解できないし、
理解できない人に対しては
攻撃的な態度を取ってしまうものだと
思います。
 
自然界も、他の生物を攻撃し食べる事で
生物たちが 生きながらえている訳で。
 
生物学的にも
そういうものだと思いますし、
それを人間は やめろ!というのは
なかなか難しいと思います――」
と、
否定的意見を述べられた Sさん、
 
「で、この小説の感想ですが――― 
 
 舞台がイギリスで、
 読んでても肌感覚では 正直
 分からなかった…
 共感できなかったです。
 
会社の仕事で、シンガポールに
行っていた事があるのですが、
東南アジアで先進的といわれる
シンガポールでさえ
中国系、マレーシア系、インド系の間で
根深い差別があるんです。
 
まして、
この物語の舞台のイギリスって
もっと多様な移民の人たちがいる
訳でしょう。
 
〔多様性〕っていうのは
物事を ややこしくするんです。
 
私の息子もアメリカに留学し、
バイリンガルになって
そちらで ビジネスも興しましたけど
やっぱり 自分のアイデンティティには
悩んでましたよ。
 
いくら現地で英語が堪能になっても
見た目には日本人。
 だけど
日本社会で受け入れられてる訳でもなく
こっちの国で頑張ってるだけで、
自分は 何者なんだ?と。
 
〔帰国子女〕の人もイジメられるでしょう?
見た目が日本人なのに
日本語の言い回しが不自然だったり
外国人みたいな仕草や振る舞いをするから
違和感持たれますよね―――」
 

Sさんの意見に対して
電話お客様対応業務の女性リーダーNさんが
別の意見を、
 
「女子テニスの大坂なおみが、
 日本人としてのルーツを大切にしてる
 発言を見たりすると
 なんか 嬉しくなりますけど… (笑)。
 彼女は なぜ
 日本人としてのアイデンティティを
 持ててるんでしょうねえ———」
 
と、別角度からの 実感的な感想。
 

さらに続けて、
経理事務OLのKさん
 
「この本の中で
〔バカ〕と〔無知〕は違う、っていう
 話がありましたよね。
 
〔無知〕は 知らないだけだから、
 教えてあげればいいんだ、って。
 この本の中で
 母ちゃんが言ってましたね。
 
 以前、早期老化症で有名になった
〔アシュリーちゃん〕っていたでしょう。
 
 実際の10倍くらいの早さで年を取るから、
14歳なのに、見た目が100歳近いお婆ちゃん
に見えてた 女の子です。
 
 アシュリーちゃんは、
自分の外見をあざ笑う人たちの事を
「ただ無知なだけよ」
「すべてはコミュニケーション不足よ」
って言ってました。
 
その、〔無知〕っていう事でいうと、
戦前生まれの ウチのお母さん (笑)
 
この間、一緒にテレビ見てて。
日本人のマラソン選手が
アフリカへ合同トレーニング行ってる
映像が出てて、
それを見た お母さんが
「黒人さんって今も
 槍もってライオン追っかけてるんでしょ。
 そんな人らと競うなんて大変やねえ」って。
 
日本人がまだ着物きてチョンマゲゆってる
みたいに外国人に思われてるくらい、
無知な発言してました (笑)
 
ぜんぜん悪気はなくても、
無知でいると 差別になっちゃうんですね」
と、
感想を語ってくれた Kさん。
 

ここで 改めて、元経営者のSさん
 
「皆さんにお聞きしたいんですけど…
  この物語に、
 共感できましたか?
  主人公みたいな生き方をしてみたいと
 思いますかーーー?」
と、
ド直球な 問いかけを。
 

〔無知〕と〔バカ〕は違うと言った
経理事務OLのKさんは

「主人公くらいに能力があったら
 こういう生き方してみたいと
 私は 思います」 と 即答。

 
私イジリは
「ボクは、主人公みたいに
 人種差別はされなかったけど …
 
 コミュ障気味の中学生だったので
 〔宇宙人〕と呼ばれて
 からかわれていた時期はありました。
 共感できますねえ」
と 返答し、
 

電話対応業務のNさんは
「昔は、
〔発達障害〕っていう概念もなかったから
 みんなと違う振る舞いする人を
〔ヘンな奴〕で片づけてましたね——」
 

イジリ
「最近は〔発達障害〕に関する知識も
 ある程度は広まってきたと思いますが
 『あの人は、ああいうタイプだから
  こうなんだ』と 理解できる事で
 スッキリ納得できることはあるけど
一方で、
〔ああいうタイプ〕と類型理解してしまう
事によって、自分たちとは違う側の人だ、
と線引きしてしまう事もありますよねえ」
 

価格設定業務OLのHさんは、 

「ウチの父も戦前産まれで、
 男尊女卑の発言が多くて
 『女っていうのは
  どうしてこうなのかね?』
という言い方を常々してました。
 
こういう場合、 
 男同士で 「そうだよな~」と
共感しあうのが〔シンパシー〕で、
逆に
反対側の女性の身になって
「お母さんは朝早くから
 夫・子どもの世話や家事に年中
 あけくれて、大変なんやねえ」
と、
〔自分と異なる側〕の人の境遇・背景を
理解してあげようとする態度や能力が
エンパシーですよね。
 
そういう意味で
ウチの父は エンパシーには
全く欠けてる人でした。
そういう言葉も 知らなかった
と 思いますが——(笑)」
 

この後も
皆さんから 色々意見を頂き、
学ぶところの多い会に なりました。
 

 
多様性はものごとをややこしくする。
 
そうだと思います。
 
ですが、
自分と違う人たちを理解できる事で
広がる世界がある… とも
イジリは 思っています。
 
それは 義務というより、
〔楽しみの幅を広げるため〕
〔自分の成長のため〕
自分の意志でやる事だと思っております。

今回も、
自分の視点では見えてなかった事を
いろいろ 教えて頂き
皆さんに 感謝しています。
 
そして
この本を世に出してくださった
ブレイディみかこさんにも、
特別な感謝を。

御参加いただいた皆さん、
ありがとうございました。
 
●今回のまとめは コレ●
 ↓   ↓   ↓
 イジリの眼〔10〕
 
シンパシーは、
同じ境遇の人への〔共感〕
 
エンパシーは、
違う立場の人を〔理解する力〕
 
ちょっと努力が必要だけど、
多様性は面白い(と、思う)
 
長文、お読み頂き ありがとうございました。

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あなたの周りに みんなの居場所を。
 
語らいのある世の中づくりを目指して
 
イジリは 発信をつづけて参ります。

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