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へっぽこ遍路日記16「いきなりやってきた占い師のおばさまに言われた一言に僕の心は揺れ動く。それはいったい誰なのか教えてください。」

たけちゃん昨日も夜まで居酒屋のお仕事をしていたのに、一緒に早起きをしてくれてサッと野菜スープを作ってくれて、昨日拾ってくれたところまで車で送ってくださった。料理人の包丁の使い方や、流れるような動きが僕は好きだ。そうしてできたスープや昨日のカブのパスタなんかも食べたときにそれぞれがちょうどいい火の入りかたをしていて、そこには食べる側には、食べたあとにしか気づかないんだけれど作り手にはそれが見えているんだなぁと改めて実感する。僕に珈琲の世界があるように、料理人にもその世界があってそれを見つめてる。

昨日あつく語り合ってしまったから睡眠時間が短めで不安だったんだけれど、気持ちが充電されたのか朝から足が進む。まだ6kmほどあった室戸岬にあっという間に到着してしまった。そして最御崎寺までの山道をバックパックを背負って登っていく。

一度だけ杉崎さんに連れられて来たことがあったけれど、前と見えかたが全然違った。美しい寺だ。まだ朝早めだったこともあるかもしれないけれど、参拝客が僕のほかには誰もいなかった。光が木々をすり抜けて地面の影を照らしてる。

3日ぶりのお経をぎこちなく唱え終えて、納経帳に御朱印をいただき、次の寺に向かって歩きはじめた。山をぐねぐねとくだる道路に出たときに、目の前には真っ青な太平洋とこの先歩く道や町が広がっている。そのときに一気に自分の気持ちが空に抜けていったような感覚があった。こういうことやったんか。室戸をこえたら大丈夫って言われていたやつ。

足がどんどん進んでいく。国道の一本入ったところなので、古い建物もたくさんだし、港があるからねこさんも多くていろんなところで昼寝していたりして歩いていて飽きない。それこそあっという間に25番札所津照寺にたどり着いた。

ここで待ち受けてくれていたのが昨日たけちゃんのお家にも来てくれたよーへいくんと幼なじみのきーくん、たけちゃんも駆けつけてくれて、お参りのあとにお昼ごはんをお接待いただいた。ほんまに室戸メンバーはみんな気持ちの良い人ばかり。よーへいくんと組んでYOUTUBEをやっている写真館のちーくんに厚かましいお願いをして、写真を撮ってもらった。これがまたすんごい気持ちがすーっとする写真で、なんだかあの山の上から海と街を見下ろしたときの気持ちがそのまま写っているようで嬉しかった。ちーくんありがとう。

タケちゃんの家までたどり着けないかと思っていたらなんとかこのペースでいけば夜にはたどり着けそうだ。それだったらチャレンジしない手はない。もうひとつのお寺は山のうえにあるけれどもそのままそれも参ってタケちゃん家をゴールにすることにした。よし、やるぜよ。

金剛頂寺も山道だったけれど、ほんとに今日はよく足が動いてくれたなぁ。3時ごろに参ることができて、そこから一気に山をくだって、そうして空海さんが修行したとされる不動岩の彼が修行したと言われる岩の窪みで夕陽を眺めた。

さあここからがへっぽこ遍路日記の真骨頂。

タケちゃん家まであと30分ぐらいで到着できるか?というときに、前方から自転車がやってきた。たいてい道路ですれ違うときは歩く人や自転車なら声を出して挨拶をして、車だったら会釈をしたりする。ほんでこのときもあぁ女性だなぁぐらいに思いながらこんにちはと言ったらいきなりその女性が

「こんにちは!お遍路さんと会うとね、100円渡すことにしてるの!ジュースでも飲んで!」といきなり100円を出されて、僕が手を出すとそこに100円を乗せてそのまま走り去っていかれた。いろんな方がいらっしゃるものだ。

その5分後くらいにそのおばさまが自転車で戻ってこられて。ここからは僕の記憶の限り会話を思い出してみよう。

お「あのねー財布忘れちゃってとりにいってたの。はい、これ買ってきたからあげる」

(パウンドケーキをいただく)

僕「どうもすみません!いただきます!」

お「へー!あ、珈琲って書いてあるわね!私こういうの好きよ!」

僕「ありがとうございます。はい、珈琲たてながらまわらせてもらっています」

「そうなのねー。私ね12年前に死にかけたことがあったの。それから霊感を持つようになってね、電話占いとかもやってるのよ。」

「えー!そなんですか!」

「あなたのお母さまは素晴らしいひとね。うん、きれいな心だわ。それがあなたにもいい影響を与えてるわね。よかったね」

「あれま、おかんに感謝せんといかんですね」

「けどね、うん。うん。あなたもう少しだけ弟をね、大事にしてあげたほうがいいわ。それは少し薄く見えるもの。うん、大事にしてあげてね。弟いるわよね?」

「あ、僕お姉ちゃんがひとりいるだけなんですけど」

「あぁ。。。。。。。。ごめんなさいね、あんまり長くねこうして話していると邪魔しちゃうからね。うん、がんばってね。そういうお遍路もいいわよね。じゃあねー!」

そうしておばさまは自転車で走り去られて、そうして僕と、そして弟とは誰なのかという疑問が残った。もしかしたら完全に当てずっぽうの占いだったのかもしれないし、もしかしたら僕が弟のように接してきた誰かに連絡したほうがいいのかもしれない。うんどっちだろうか。弟みたいな人は名乗り出てきてほしい。

で終わればよかったのだけれど、大事件が発生した。

おばさまにありがとうございました!と頭を下げたときに、妙に頭が軽く感じたのだ。稼働範囲がいつもより広いような感覚とともに、ほんでなんだったかというと、頭にかぶっているはずのカサを被っていない。後ろにもひっかかっていない。ない。ない。ないーー!!!!どこやーー!!!!

自分の記憶を辿りながらヒヤッとしてくる。やってもーたやつだ。置いてきたとしてどこに置いてきた。そうか、もしかしたらあのホッとした不動岩やろうか。こんなときこそ!

夜にまたたけちゃんの家でね!と別れた面倒見のよい兄ちゃんキャラのよーへいくんにすぐさまメッセージを送った!よーへいくん!大変だ!カサ置いてきたかもしれへん!

【おっしゃ!見てくるわ!まさくんはそのままタケちゃんの家に向かって歩いとき!】

もうね、神やわ。よーへいくんほんまにありがとう!

あと10分ぐらいで到着できるところまでやってきたときに、メッセンジャーのピローン!おいう音がした!いつもは鳴らへんようにしてるけど!鳴るようにした!そこのメッセージには「無事確保」の文字が。

ありがとうーーーーーーーーーーー!!!!

よーへいくんほんまありがとう!

そうして無事にタケちゃんの家にたどり着き、そしてよーへいくんがカサをかぶって登場し、仕事終わりのますみちゃんとともにタケちゃんのお店にごはんを食べに行った。もうほんまにええことばっかり。ありがとうございます。

アツくアツく僕の珈琲に触れたときの感動を語ってくれたよーへいくんはお酒何杯目からかそのまま沸点を超えてアツくなりだして、そのうち僕なんかほったらかしでみんなに語り続けて僕はお店で半分白目をむいていた。

とにかくとにかく室戸のハートフルな皆さんとともに2日間みっちり濃い遍路を歩かせていただきました。ありがとうございました。

ちなみによーへいくんは帰る予定がそのままたけちゃんの家に泊まることにして来て、そのままのテンションで飲み続けていたので、僕はタケちゃんにごめん!いうて先に寝させてもらいました。

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