ほんとうの気持ち
淹れるコーヒーが人の気持ちをほどくのか。それともここに来る人の心が、もともとそうむいているのか。
そのどちらかが知りたい。というよりもこのテーブルをとおして届くことば、その人たちの表情がぼくの心を満たしてく。
それは来るときの僕の心にあった、少し沈んでしたのほうにある不安を溶かしていくようだ。そうしてそこにまた新たなことばと思いが入ってく。それはまるで、ここに来てこうすることが自分の人生に描かれていたシナリオなんだということを確信した主人公のように。なんだか思いがあふれてくるのだ。
コーヒー豆に湯を落としながら。
僕はそこにおまじないをかける。
そこに思いをくぐらせる。
僕は下を向いているからわからないのだけれど、その瞬間にグッと周りにいる人たちの意識が自分のそばに近づいているような予感があるのだ。
コーヒーをうつわに注いで。それを手渡したあとは、子どもを送り出した親のような気持ちでいる。そのコーヒーがその人に心地余韻を持たせてあげられたらいいなと祈るだけだ。
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