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まるで古代遺跡?!「アースバッグ」×「新素材」の可能性 1

みなさん「ジオポリマーコンクリート」という新素材をご存じでしょうか?
実はこの素材これからの建築業界を支える「スーパールーキー」なんです。
 
この素材、いったい何が「すごい」のか?

ジオポリマーコンクリートは、
「環境負荷が少ない」上に「耐久性」も兼ね備えた新素材なのです。

なぜ「環境負荷」が少ないのか?

私たちの身の回りを見まわしてみてください。
住宅、ビル、橋、あらゆる場所に「コンクリート」が使われています。
現代の「コンクリート」には結合剤として「セメント」が使われています。

アースバッグでも「セメント」を使うことがあります。
湿気に強いアースバッグを目指して防水層をつくったり、
建築法の対策としてアースバッグと鉄筋コンクリートを組み合わせたり。

「ものづくり」に欠かせない便利な「セメント」ですが、
じつは、、、、「製造工程で多くのCO2を排出」します。
 
なんと!「セメント」の製造工程で発生する二酸化炭素(CO2)量は、
世界のCO2排出量の約8%を占めています。
地球温暖化が進んでいる現代、世界中で深刻な問題となっています。
 
このように世界中を悩ませてきた「セメント」の製造ですが、
今、革命が起きようとしています。

新素材である「ジオポリマーコンクリート」は、
製造工程で発生するCO2排出量を75%以上削減できるのです。

注釈)セメントの原料製造時、焼成工程でCO2が発生する。
ジオポリマーの原料製造は焼成工程を含まないためCO2排出量は少なくなり、
同じ構造物を建設した場合、約75%以上のCO2を削減できる。

このように今後のさらなる進展が期待される「ジオポリマーコンクリート」ですが、
実はローマ帝国の建築物やエジプトのピラミッドに使われていた技術に近い
と考えている研究者もいます。

新素材なのに「ローマ帝国」「ピラミッド」??いったい何の話?

実は2,000年以上も前、古代ローマでは「ジオポリマーコンクリート」と類似した製法で、
「ローマン・コンクリート(古代コンクリート)」が作られていました。

名高いローマ街道をはじめ長い歴史をもつパンテオンやコロッセオなど、
ありとあらゆる建築物にローマン・コンクリートは使われています。

 UnsplashのEvan Quが撮影した写真

しかし古代ローマで使用されていたローマン・コンクリートは、
ローマ帝国滅亡とともに正確な製法が失われてしまったのです。
 
そして今、その方法が新たなカタチで蘇ろうとしています。

寿命が長く、環境負荷が少ない、蘇った技術。
この「ジオポリマー」を「アースバッグ」に使ったら?!

現在、日本の鉄筋コンクリートの寿命はおおよそ50年から100年程度といわれています。
なぜなら内部の鉄筋が錆びてしまい徐々に強度を失っていくからです。

これに対してローマン・コンクリートは粘りがあり鉄筋を持たないため、
コンクリート自体の強度は数千年間保たれ続ける可能性を秘めています。
  
数千年残り続ける、まるで古代遺跡のような「アースバッグハウス」。

「自分たちの手で」つくったセルフビルドの空間が、
ひとつの時代を築いた文明のように次の世代に伝わっていく。

ロマンを感じませんか?

UnsplashのGreg Rakozyが撮影した写真

次回の素材コラムでは日本が誇る「三和土」の技術なども含めて素材の特徴や実践を通して、 「アースバッグ」×「新素材」の可能性について触れていこうと思います。

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