宝くじを買わないひと
数日前に事故にあったらしい。もらい事故だ。
幸い怪我などなく無事だったと言っていた。
事故のお相手も、非を認め謝罪されたらしい。
何事もなくて本当に良かった。
そう思ってコメントを書いた。
当たり運がきてるから宝くじを買いましょう!
返事をくれた。
私、宝くじは買わないんだー!人生で旦那という宝に当たったから
!!!!!!
ほんの少しだけ、その禍いを転じられればと気持ちを送ったのに、何倍にもなって返ってきた。
ほのパパさんの妻さんもそう思ってると思いますよ
言わないだけでね
本当にそう思ってもらえてるだろうか。
スマホの写真アプリが
10年前の10月2日の思い出
を表示する
札幌赴任して数ヶ月。
まだお付き合いする前の妻さんが
せっかく札幌に来てるのに、仕事ばかりでどこにも出かけてないんじゃないかと思って
そう言って、休日に連れ出してくれた。
妻さんの運転で定山渓の山沿いを走っているとき、谷間にかかる虹が見えた。
路肩に車を停めてもらって撮った写真
生まれてはじめて、自分のいる場所より下にかかる虹を見た。
しかも二重に掛かっている。
思い返せば、あれが妻さんとの初デート。
あれから10年。
2021年10月2日(土曜日)
娘の通う幼稚園で、運動会が開催された。
台風16号の影響で、前日までやきもきしたけど、台風一過の晴天。
秋空のなか、こどもたちが一生懸命に演目を披露する。
いちについて、よーい、どん!
いっせいに走り出す、と思いきや、走り出さない隣の男の子を振り返り
おいでおいで、はしるよ!と手で促す娘。
おうちでも練習してたダンスは、緊張してて真顔になってる。
先生のニコだよジェスチャーを見て、やっとの笑顔。
ひよこぐみさん、まえならえだよ〜!
先生の掛け声で、小さなあたまがフラフラ並ぶ。
カメラのレンズが娘をとらえる。
こちらに気づいて手を振る。
振り返してると「ほのちゃん、ほら、まえむいて」と先生に声をかけられている。
こころの中で、ごめん。パパのせいだ。と謝る。
その夜、撮った写真を見ながら
大きくなったね。
最初緊張してたけど、途中から笑顔になったね。
あおい衣装似合ってたね。
上手に踊れてた。
夫婦の会話の中心は、娘のことばかり。
スマホで娘の写真を共有する。
最後に、虹の写真を紛れ込ませる。
あ、これ、あの時のだね。
うん。ちょうど10年前。
あっという間だったね。
人生で旦那という宝に当たったから
ほのパパさんの妻さんもそう思ってると思いますよ
言わないだけでね
本当にそう思ってもらえてるだろうか。
こわくて、はずかしくて、聞くことは出来ないけれど
大丈夫。少しはそう思ってもらえてる気がする。
これからも、そう思ってもらえるように
そんなふうに思えた、そんな秋の夜。
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