#07 ダイヤモンドの「カット」に思うこと

ダイヤモンドに限らず、宝石には様々なカットがあります。

○ラウンド系(丸)
○マーキス系(アーモンド型)
○ペアシェイプ(涙型)
○ハートシェイプ
○エメラルドカット(角切りの四角形)
○オーバル系(楕円)
○クッションカット
○ブリオレットカット(膨らんだ円錐形)
○ローズカット(底面が平らでカット面が付いたドーム状)
○その他、あらゆるファンシーカット

上記のように列挙するまでもなく、宝石のカットの種類は無数にあります。今まで私が目にしたダイヤモンドの変わり種のカットを挙げるとすれば、

○大仏型
○にわとり型
○馬の頭の形
○星の形
○クローバーの形

・・・などなど、まあ今となってはそこまで珍しくない言われてしまいそうな形のものも、つい200年前まではダイヤモンドのカットとしてはとても考えられない形だったと思います。

今は、ダイヤモンドもレーザーでカットされることも多いそうで、カットできない形はないと言われています。(厳密には内包物の入り方によっては制限があっりそうですが)
とはいえ、カットはいつの時代も職人技。
カットの「シェイプ(形・外形)」を決定づける最大の要素は、"原石の重さ(大きさ)を最大限残すこと”であります。

かつては、原石を仔細に調べて(インクルージョンの有無、位置や劈開の方向。カラーストーンなら色の見え方)、カットをする職人さんが石に印を付けて最終的なカットの方針を決めていたらしいのですが、現代では3Dでコンピューターに取り込んだ画像からデータ化し、最も効率的で安全な石取りの方向決めまでできてしまうというのだから驚きです。
私はその現場を見たことがないので推測になってしまうのですが、それでもコンピューターがはじき出した数値から"最終的な形の決定”は、人間の目と頭で判断されると思うので、やはり「職人技だな」としみじみ思うのです。

ダイヤモンドに限らず、宝石はすべて大地からの奇跡の贈り物。
そのサイズに成長して私たちの目の前に姿を現すまでに、何億年もの時間を経ています。そしてその長い時間、地中の過酷な環境で何の制約もなく伸び伸びと大きな結晶に成長することができることはそれ自体が奇跡に他なりません。
大きな結晶を小さく切り刻むことはいくらでもできますが、その小さな結晶をギュッと集めて大きく作り直すことはできません(合成宝石のことは、今回は置いておいて・・・)。
となると、職人に課せられた「最大限の歩留まり(重さ、大きさを残すこと)」がいかに重要な任務かがわかりますよね。
しかも、宝石には「割れやすい方向」というものが存在します(劈開(へきかい)といいます)。そしてインクルージョンも邪魔をしてきます。

それら難問をすべてクリアして、カットし終わったときに

○美しく輝くこと。
○加工や使用に際して、耐久性が十分であること。
○美しい色であること。(宝石は方向によって見える色が異なる石がある)
○原石の大きさ(重さ)を最大限残していること。

これらがすべてクリアされていなければなりません。
もちろん、この「石取りの方向」がそもそも間違っていたら、カッターさんがカットする際に宝石は粉々に砕けてしまったり、真っ二つに割れてしまったりすることになります(その立場を想像するだけで、鳥肌が立ちます・・・)。

なんだかとりとめのない内容になってしまいましたが、今回言いたかったことは
「カットって、原石の形によって決められるんだよ」
ということだったのですが、ちょっと(いや、かなり)内容がずれてしまったように感じます。
カットは、天然の宝石において「唯一人間の手が入る領域」です。
そのほかの部分は、個々の宝石が持って生まれた"個性"なので尊重しつつ、その美しさをどこまで引き上げることができるかは、私たち人間の手に掛かっているのですね。
それはカットに限らず、それを盛り立てるジュエリーのデザイナーさんや彫金師の方々にもいえるかもしれません。
宝石の形を見るときに、「元はどんな原石だったのかな」という方向に思いを馳せるのも、面白いですよね。

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