#12 ジュエリーの「クリーニング」に思うこと


毎日、何かしらジュエリーやアクセサリーを身につけている方々は多いと思います。

性別に関わらず、小物は個性の演出に欠かせないアイテム。

全く興味ない人でも、"結婚指輪”は欠かさず身につけていることは多いのではないでしょうか。

かく言う私の父親も、75歳を過ぎていますがなぜか今から10年くらい前からいきなり左手の薬指に結婚指輪をはめるようになりました。

もともと小物が好きな人(カフスやネクタイピン、ピンブローチや腕時計)ではあったのですが、一度も結婚指輪をはめたところを見たことがなかったので、ある天然石のお店でカルセドニーを輪っか状にくり抜いた石のリングを「欲しい」と言ったときは耳を疑いました(笑)。

その日から肌身はなさず、大切に身につけてくれています。

プレゼントしたのは子供の私ですが、母親との絆をその歳になって改めて大切にしようとしているように感じて、その手を見るたびに心がホカホカします。

余談はここまでにして・・・

ネックレスやピアス、リングなど様々なアイテムがありますが、毎日外して綺麗に拭いて、ジュエリーボックスに仕舞って、次の日はまたお洋服に合わせて身に付けるというこだわりを持った方ってどのくらいいるのでしょう?

私は販売をやっていた頃、意外と

「帰宅したらまずはジュエリーを外して、軽く拭いてジュエリーケースにしまっています」

という方は多かったです。

ただ、そのお客様たちは宝石が好きで、こだわりがあって、特に私が勤めていたお店は石の種類にもこだわりがあったので(レアストーンも多々あり)そもそも一つ一つのジュエリーへの愛が強い方たちが多かったからだと思っています。

でも、もっと多くの人は

「婚約指輪が初めてのジュエリー」

「ピアスは外さずにお風呂にもはいるし、そのまま寝る」

「お料理中もリングは外さない」

「ネックレスは肌身離さず、お守りのように着けている」

など、結構"外さないアイテムが一つは体についている”状態ではないでしょうか?(この仕事に就いていながら、私もその一人)

特にお気に入りのジュエリーやアクセサリーは、身に付けていないと落ち着かないとかいうこともありますよね。

そんなとき、久々に外してみたりジュエリー屋さんで他のジュエリーを見つつ自分のジュエリーに目がいったときに、

「あれ・・・?こんなに薄汚れてたっけな?」

とびっくりすることもあるのではないでしょうか?

私は結構あります(笑)

そんな乙女心をくすぐるように、店員さんが天使のように「ちょっとだけお掃除しますか?」と超音波をかけてくれる件については、以前に書いたのでここでは割愛します。(辞めておいた方がいいと記事にしました)

今回は、"自分でお掃除するポイント”についてお話ししたいと思います。

結婚指輪のように金属のみで出来ているジュエリーは、ほとんど汚れは付いていないと思います。ただ、どうしても日頃の衝撃で細かな傷がついてしまうのですよね。これに関しては、実際には表面を研磨しないと綺麗にはならないので、ジュエリー屋さんで「新品仕上げをしてください」とお願いして、有料でプロの職人さんに表面を磨き直してもらうしかありません。(3,000~5,000円くらいが相場かと思いますが、聞いてみてくださいね☆)

しかし、もう少し手軽な方法としては、「金属磨き」のクロスを使用することです。シルバークロスは、結構皆さん見たり聞いたり使ったりしたことがあると思います。そう、シルバーの黒ずみや白濁した汚れを拭くだけでピカピカにしてくれる布ですね。これは、シルバーの場合使用していると表面が人間の汗の酸と空気の酸素で硫化して黒ずんでしまうものを取り除いているわけですが、このクロスには研磨剤が含まれているのでちょっとした小傷も見えにくくしてくれる効果があります。

じつはこれ、ゴールドとプラチナに使えるクロスもインターネットなどで販売されています。1,000円しないくらいですし、繰り返し使えるし、一度キュッキュッと磨けば数ヶ月は綺麗ですので、一枚は持っていると便利です。ただの金属の表面でも、人間の油や汚れが薄い膜になって蓄積し、本来の金属の艶を弱めてしまいます。何年かに一度は"新品仕上げ”でメンテナンスしてあげてもいいと思うのですが、試しにこのクロスでお手入れしてみてください。

また、石が付いたジュエリーの場合が厄介です。

小さなメレダイヤやカラーストーンがたくさん付いたジュエリーや、婚約指輪のように大きくメインの石が付いたジュエリー。その石と台座と爪の間に、最も多くの汚れが溜まります。

この汚れの正体は、そう!皆さんもお気づきのように、ほとんどが「人間の皮脂」です。それに加えて、石鹸かすなど(ボディ・ソープ、シャンプー、コンディショナー、食器用洗剤、ヘアオイル、ヘアクリーム、ハンドソープ、ボディクリームなどなど・・・)やそれに付着して溜まっていく空気中のホコリなど、人間の皮脂を糊のようにして、汚れが蓄積してきます。"皮脂”ということは、"人間の脂(あぶら)”です。

何が一番いいかというと、「中性洗剤」なのです!

お洋服を洗うときも、食器を洗うときも、結局は人間の汚れを落とすために中性洗剤を使用しますよね。それはジュエリーの汚れを落とすときも一緒。同じ性質の汚れなので、同じ洗剤で洗ってしまってOKです。

1、中性洗剤(食器用洗剤が便利)を使い古した歯ブラシにつけて、水を足して手のひらで泡立てる。

→液体部分が残らないよう、しっかりと泡立てるのがコツ。

2、泡立ったら、歯ブラシで"石の裏面から”優しくコシコシと磨いてあげる。

→石が曇っていたり輝きが落ちている場合、汚れは石の前面ではなく、裏面(肌に当たるところ)に付いています。

3、1~2分くらい優しくコシコシとやってあげたら、流水で泡を流す。

→可能であれば、このときも水を流しながら歯ブラシで裏面を優しくなでながら洗い流す。

4、柔らかい布で水気を拭き取ってあげる。

5、金属部分を金属用クロスで磨く。

以上で、だいぶ買ったときと同じくらいの輝きを取り戻すと思います。

特にダイヤモンドは、「新油疎水性(しんゆそすいせい)」といって"油と仲が良く、水をはじく性質”があるために他の宝石よりも人間の油が溜まりやすく、汚れが取れにくいという蛍光があります。

もしお手持ちの婚約指輪など、「買ったときよりも、なんか輝きが弱く感じる・・・」と思った場合は試しに上記の方法を試してみてください。

おうちに常にあるものでケアできるので、とっても有効です。

ただここで注意したいのは、超音波洗浄の際も言っていた「石取れ」です。

上記の方法ですぐにポロッと取れると言うことはないと思いますが、長年はめっぱなしのジュエリーなどは爪の部分が少しずつゆがんで、石が緩んできているのに「人間の脂が糊の役割を果たしてくっついている」ということも多々あります。もし上記の方法で自分で洗ってみた場合は、耳元でそのジュエリーを振ってみてください。石が緩んでいる場合は、どんなに小さな石でも必ず"カタカタカタ・・・”と揺れている音が聞こえます。

その場合は迷わず、お近くのジュエリー屋さんで

「石の緩みを直してください」

とご相談くださいね。購入したお店でなくとも、リフォームやリモデルをしているジュエリーショップなどでは、力になってくれると思います。

上記の「歯ブラシで中性洗剤で磨く方法」は、ほとんどの宝石に有効です。ただ、

○連のパール→糸を使用していると、糸にしみこんだ洗剤が糸を変色させる

○エメラルド→オイル処理されていると、オイルが抜けてしまうかも

○ターコイズやラピスラズリ→染色処理されていると色が抜ける

など、場合によってはやらない方がいい宝石種のものもあったりします。

ただ、過度にやらなければ大丈夫なので、試してみてくださいね。

※歯ブラシを使いますが、歯磨き粉は使わないでください。歯磨き粉には研磨剤が入っていることがあり、石を傷つけてしまうことがあります。必ず、よく泡立てた石鹸か食器用洗剤で行ってください。

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