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ブックトーク『預言者』カリール・ジブラン

 今日の本は『預言者』カリールジブラン。カリールジブランはレバノンで生まれ、アメリカに渡った方で、この本の草稿はアラビア語で教育を受ける為に、一時的にレバノンに戻った15歳の時に書いたそうです。すごいですね。その後、再びアメリカに戻り、英語で書き直して出版。世界50カ国以上の言語に翻訳されている本です。

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 私とこの本との出会いは、図書館の確か辞典のコーナーの一番下の棚に重厚で綺麗なハードカバーの本があって、手に取ってみたのが、The Prophet『預言者』だったんですね。

 アルムスタファと呼ばれる賢者が、オルファレーズの街で迎えに来るはずの船を12年間待ち続け、やっと故郷の島へ帰れる迎えの船がやってきた日、島の人々との分かれの時に、人々が預言者である彼に、「どうかあなたの真理をお話ください。」って頼むんですね。

 「お話しください。愛について」とか、家族についてだったり、26項目を順々に村人達が聞いて行き、そのひとつひとつの問いにアルムスタファが知恵を残して行く、と言うお話です。

 ひとつひとつが、人生の大切な事柄についてなので、
今日はこの中から、「時について」をシェアしたいと思います。

 そこでひとりの天文学者が言った。先生、「時」については何と言われますか。
 アルムスタファは答えた。
 あなたは計ろうとしているのです。無限なもの、計量得ぬもの、「時」を。
 時間と季節に従って自分の行動を整えようとし、あなたの精神の道筋を正そうとさえする。
 「時」から川をつくり出そうとし、岸辺に坐って、その流れを観察しようとする。
 しかし、あなたのうちなる「時無きもの」は生命の「時の無さ」を感じとり、昨日は今日の記憶、明日は今日の夢、と知っているのです。
 あなたのうちで歌い瞑想しているものは、未だにあの太古の最初の瞬間の領域にとどまっているのです。宇宙に星を撒き散らした、あの最初の瞬間のうちに。
 その愛の力は無限だということを、あなたがたのうちの誰が感じとらないでいるでしょう。
 そしてまた同時に、感じとらない者がありましょうか。この同じ愛が無限でありながら、かれ自身の存在の奥に包み込まれているっことを。そしてただいたずらに、ひとつの「愛の思い」から他の「愛の思い」へと、ひとつの「愛の行い」から他の「愛の行い」へと、揺れ動いているものではないということを。
 しかしあなたが頭のなかで、「時」を季節に分けて計るというなら、それぞれの季節のなかに他のすべての季節も包み込ませなさい。
 今日という日が、過去を思い出のうちに、未来を憧れのうちに抱き包むように。

です。

 時間って、過去から未来へと線で繋がっているイメージを持っていたりしますが、実は、過去も未来も今この瞬間に存在しているのか、そもそもしていないのか?皆さんは時間、どう思われますか?「時」と言う一つの人類共通の概念でしかなくて、真理では無いんですよね。

 私はこれを読んだ時、カナダ在住の作家、エックハルトトールさんの言葉を思い出しました。彼も又、人間が影響を与えられるのはこの瞬間だけだと言う事を言っているんですけれども。興味のある方は、ぜひYoutube等で見てみてくださいね。


以上
The Prophet『 預言者』カリールジブラン
でした。

どこかで誰かの本との出逢いに繋がったら嬉しいです。

カリール・ジブラン 佐久間彪 訳 『預言者』(至光社、1990年)

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