見出し画像

【入社式】最愛の顧客・赤さまを生みだす日~陣痛編~

入園式、入学式、入社式…。
人生にはあらゆる節目があって、スタートラインに立つときは式典が待っている。
どれもきっちり日にちが決まっていて、その日に向けて準備を行っていくわけなのだが、こればっかりは神のみぞ知る日がある。
それは、出産の日!

母業に本格的に携わる「入社式」のようなものなのに、それがいつなのか“出産予定日”というザックリな日付しか分からない。お医者さんさえ予測できない。初産の私にとっては本当に未知の世界。

予定日が近づくと「赤ちゃんに会いたい気持ちが募るヨ」と諸先輩方に聞いていたが、バカ野郎!痛みへの恐怖が募るばかりではないか!
臨月を迎えた私は出産レポを読むスピードに拍車がかかり、未知への痛みに怯えながら絶対やってくる、逃げることのできない運命の日のシミュレーションをしていた。

予定日2週間前の検診で、「だいぶ赤ちゃんが下におりてきてて、エコーに顔がうつらない。赤ちゃんの頭触れるよ」と担当の先生から言われたときにはびっくらこいた。え?触れるの!?そんな下にいるなら、早く出てくるだろうなと勝手に予想していた。

しかーし、シロウトの私の予想は見事に外れ、予定日になっても赤さまからは音沙汰なし。周囲から「まだ?!」との連絡だけが頻繁に来て、「こっちが知りたいわ!」とイライラしてしまっていた(笑)。

運命の日は、突然やってくる。

予定日を4日過ぎ、様子見の検診の日。午前中、トイレにいくとティッシュに微量のピンクのおりものがついていたので、試しに病院で話すと、看護師さんたちにそのまま入院になるかも!と脅される。

超微量であることをアピールしたけど、先生は「これまでと違うことが起きたんやけん、一応な!陣痛起きなかったら明日退院になるかもやけど」。

一度入院バッグを家に取りに帰り、義理の父に病院まで送ってもらう。シャワー浴びればよかったと後悔したけど、陣痛が来てるわけじゃないし、シロウトの予想は全然当たらないから明日退院になるだろうと高を括っていた。

18時ごろ、入院。
病棟の処置室に連れて行かれ、血圧や採血、赤ちゃんの心拍などを測る。先生の内診で「子宮口3センチ開いてるから今日か明日には陣痛くると思う」と予言される。看護師さんが私のアンダーヘア確認して、剃毛される(笑)。

病院の夜ごはん。完食。なかなかおいしい。
微妙に生理痛っぽい鈍痛あるも不規則で陣痛なのか不明。「張りも弱いから明日退院になるかもね」と看護師さん。

23時ごろ、腰とお腹がギューっと押されるような痛みが20分おきにくる。きっと陣痛はもっともっと痛いはずと自分に言いきかせる。試しに陣痛きたよアプリを押してみた。連携している夫と妹と母が過剰に反応してしまったので無駄に期待させてはいけないと思い、アプリを使うのはやめた。
陣痛20分おきだと「分娩開始」といえないらしい。助産師さんと相談して、陣痛が10分間隔になったら夫を呼ぶことになった。

いつになったら10分おきになるんだ?と思っているうちに、強い痛みが来るようになる。夜中3時半ごろ。戌の日にお参りしたお寺で、陣痛が来たら飲むように授けられたゴマを3粒取りだし、痛みが襲うたびに1粒飲む。2粒目を床に落としてしまう。粗末にすることはできないので、ゴミかゴマか分からないものを拾って飲んだ。

陣痛の間隔とやらが不規則で謎な状態が続いていた。とりあえず痛いのでナースコール。
助産師さんは首傾げながらも「一応内診してみよっか」と子宮口はかる。まさかの8センチ開いてて看護師さん焦る。「すごい!10センチ開いたら分娩室行くんやけど、全開直前でぇ!分娩室の準備を全くしてなかったから、今からダッシュでさせてな!旦那さん立ち会いするならすぐ呼んで!間に合わんじょ!!!」とめっちゃ阿波弁でいきなり急かされ、4時ごろ夫を召喚。

処置室まで歩いて行き、溶連菌の点滴のアレルギーテストを急ぎでしてもらう。同時進行で内診。9センチ開いてるからこのまま分娩台がいいかもと助産師さん悩んでいるご様子。

が、一旦部屋に戻って駆け付けてくれた夫と合流。このときは2分おきぐらいに痛みきてたから、夫に腰をたくさんさすってもらう。肛門が押されてる感覚があったからテニスボールを踏んで押さえつける。テニスボール役に立った!

つづく



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?