見出し画像

8冊目。

4ヶ月ぶりのnote。
なんなら読書記録は1年ぶりらしい。なんてこった。

8冊目。

武田綾乃著
『愛されなくても別に』


単行本で発売された時からずっと読みたかった本。
文庫化されたのでようやく手に取りました。

『響け!ユーフォニアム』シリーズの著者である武田綾乃さんの作品っていうところから興味を持った一冊だったけど、この作品で描かれている内容はなんだか他人事には思えなかったし、私が出会うべき本だったなと強く思った。

宮田や江永ほど「不幸」な人生ではないけれど、それなりに親に対して思うことはあって。
時には共感、時には疑念、時には反感を抱きながらあっという間に読み切ってしまった。

なんだろねー。
帯には「誰かを救う本はこういう物語であってほしい」とか「安らぎをみつけていく様に、心を揺さぶられました」ってあるんだけどねー。
いや、言いたいことはなんとなく分からなくもないんだけど。(どっちだよ)

ただ自分としては読み終わったとき、というか読んでいるときもずっと苦しくて。痛くて。
あーおもしろかったーとか、すごくよかったーとはまた違う感情になった。
なんて言ったら良いか分からない。
ただ苦しかった。痛かった。
上手く呼吸ができないような、そんな感覚。

この気持ちはなんだろうと考えているけど分からない。でもやっぱり、一つ言えるとしたら「救い」なのかもしれない。

作中で私が特に共感したのが「私は、血が繋がっているだけの他人を親とは呼ばない。呼びたくない」という宮田の言葉でした。親に対してそういう気持ちを持つことは悪いことだと思っていたけど「そう思っているのは自分だけじゃないんだ」と、少しほっとしたと言いますか。

武田綾乃さん「愛されなくても別に」インタビュー
「親」から逃れたい子どもたちの葛藤を描く より


ライターさんのこの言葉が全てな気がする。
自分も親や家族という存在に対してあまり良いイメージがなくて、それこそ血は繋がっているけど違う人間という観点からは他人だよねってずっと思ってる。し、実際にそれを言ったこともある。そしたら他人じゃなくて家族だってすごく怒られたけど。

まあそんなんはなんでも良いけど、ここでライターさんがおっしゃられたように、「そう思っているのは自分だけじゃないんだ」と思えたことが何よりも大きかったのかなあと思う。


 私は昔から「家族は他人の集まり」だとか「血の繋がりで家族とは思わない」ということを考えていたので、いつかそれを本にしたいと思っていました。

武田綾乃さん「愛されなくても別に」インタビュー
「親」から逃れたい子どもたちの葛藤を描く より


救われたとまではいかないけど、同じような考え、同じような想い、同じような苦しみを抱えている人がいるんだと分かって、それが分かったというだけで安心した。

どう生きるかは自分次第だし、自分で選択したことなら世間という思考の枠から外れてもいいんだよなって。世間っていう思考の枠は私にとって枷でしかないから。一般的とか、普通とか、そんな言葉で括られるものが私には分からないし分かりたくもない。だってあなたにとっての普通と私にとっての普通は違うんだから。
常識と一緒。
常識が18歳までに身につけた偏見のコレクションであるように、「普通」というものも偏見のコレクションなんだ。だから気にすることなんかないんだ。
ずっと思ってたこと。頭では分かってたこと。

でも実際に枠を外れて生きる人と出会えることなんてあんまりなくて、ていうかそれを曝け出せるほど周りの人と付き合いがないから。だからここで彼女たちに出会えてよかったなと思う。

私は、私の人生を生きたい。

宮田のこの言葉を私は絶対に忘れないだろう。