2023年読んだ漫画&本ベスト5
今年読んだ漫画と本ですが、漫画……137冊、本108冊になりそうです。本はあと2冊くらい足したいところだけれど。そんなわけで、今年も(?)その中から良かった作品をだいたい5作品選んでレビューするぞ!
漫画編
漫画は、毎年「名作と言われているものを一作は読む」のをマイルールにしていて、今年は「火の鳥」を読んだのだけど、年後半にブラックジャックブームが沸き起こったので、それに乗っかってブラックジャックを読み始めたらまあハマりまして。
なんて書いてると本題に行けないので行きます。最近読んだ順です。
「よふかしのうた」コトヤマ
吸血鬼と中学二年生のいびつな恋愛漫画。恋愛漫画といっても、主人公たちの恋愛はけっこう脇に追いやられていて、それよりは吸血鬼という人ならざる者の姿を描くことで、実は人間の生き方について語っているという、すごい漫画なのですよ。もうみんなに読んでもらいたい。二十巻で完結する予定になっているというコンパクトさも魅力。
「BLACKJACK」手塚治虫
いわずと知れた名作。実際の医療ではこうではないのかもしれないとは思うものの、多少でたらめがあってもいいと思うくらい、話の筋が面白い。ブラック・ジャックの抱える業と哀愁がたまらない。
先月だったかに、AIに手塚治虫の絵を(ストーリーも?)学習させて作った「新作」が出たそうで、雑誌は見逃してしまったので、いつか入手して読んでみたいと思っている。
「来世は他人がいい」小西明日翔
アプリでさわりだけ読んだことがあったのだけど、「うへえ、男と張り合うためだけに〇〇売ってる」と思って少し引いてしまっていた。それでも気にはなっていた作品。ミステリー並みの「実はこういう風に先回りしてたんですう」という後だしジャンケン感が少し気になるものの、ストーリー展開が速いので「まあそれくらい用意周到でも納得できるわ」とも思う。
主役の二人のうちの男の方が、本当はどう思っていて、何を考えているのか見えないのが面白い。ずっと見えないままでいるわけにもいかないんだろうけど、ずっと見えないままでいないとこの作品の楽しさ半減かもなあとも思う。
途中までしか読めてないから、続き読みたい。
「往生際の意味を知れ!」米代恭
これも!!!めちゃくちゃ好き!!! 八巻で完結したというコンパクトさも好みだけれど、主人公の一人、ひよりちゃんの本心の見せ方が巧みだし、もう一人の主人公、海路くんの気持ちが(表現者としても、一人の人間としても)身もだえするほど分かるので、あーもう最高ですね。でも読む人を選ぶんじゃないかって気もする。ドラマ化してるってことはそうでもないのか?
「サマータイムレンダ」田中靖規
何年かぶりに帰ってきた島で起こる複雑怪奇な現象。読み終わってから、また最初から読み返したくなること請け合いのSFホラー? SFミステリー? 作品。
元々は、この作品のアニメ版も秀逸だったのに普及方法がイマイチだったためになかなかよさが広く伝わっていないという話があり、それで原作を読んでみたくなったものだった。面白かった。
あとは、当然「葬送のフリーレン」を読んだり、「うしおととら」とか「寄生獣」とか読んだりしてるんですけどね。語りだすときりがないので本の方行きます!
本編
本は、結構読んでいるはずなのに、今年読んだ小説でぐっとくるのがあまりなかった気がする。小説よりは短歌集や作品のネタにしようと思った教養本に見るべきものが多かったイメージ。でも教養本はネタバレにもなるしなと思って今日の記事には書けない。むむむ。
「あなたのための短歌集」「オール・アラウンド・ユー」木下龍也
短歌では、木下龍也さんのものが一番ぐっときたように思う。鬱成分の量と方向、切ない成分と幸せ成分のバランスがちょうどいい。
でも、何をもって「ちょうどいい」かはよく分からないなと思う。本当はもっと鬱成分多めが私自身に近いかもしれないけれど、同族嫌悪で受け入れがたいということなのかもしれないし、やっぱり本来の私は、あまり重い鬱成分を引き受けられないのかもしれないと思うし。でも、私が軽やかだと思った木下さんの短歌を、重たいと思う人もいるはずなのだ。買った「荻窪メリーゴーランド」より借りた二作を挙げるのはどうなの。
い、いずれ買うから……。
「フィフティ・ピープル」チョン・セラン
ソウルから少し離れた地方都市を舞台とした群像劇。この街はいつもどこかしら壊れていて間違いが起こっていて人々が悲しんだり怒ったりしていて、それでもこの街の人がなんとか生きているということを、あまり教訓的にも悲観的にもならずに、街と人々の写真を撮って並べてあるような作品。じんわりとした読後感が良かった。
「たまふりの人類学」石井美保
著者がフィールドワーク中に感じたことをつれづれに書いた本。一年の初めの頃に読んだからだいぶ内容を忘れてしまったけれど、ものすごく良かった。近代科学では根拠のないものだと唾棄された祭祀にも、実は実用的な意味があり、そこに住む人々のナラティブを支えている。
「社会人大学人見知り学部卒業見込み」「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」若林正恭
Twitterで知って読み始めた本。「芸能人のエッセイ集なんてくだらないでしょ」とタカをくくってたけど、最高に面白くて身につまされて、色々考えながらつっかえつっかえ、時にぼろぼろ泣きながら読んだ。
みんな、二冊をこの順で読んで。陽キャパリピにはこんな本要らないかもしれないけれど、本が好きな人は好きなんじゃないかな、こういう感じ。
次点は佐藤愛子「院長の恋」と、絲山秋子「不愉快な本の続編」、藤野可織「ドレス」「来世の記憶」あたりかな。千早茜も今年初めて手にとって、何冊か読んだけど可もなく不可もなくといった感じ。
読書について、大分制限を取っ払って読めるようになってきたので、来年も時間の許す限り色々自分にとって新しい文章に触れてみたい。