日記 20240227

 今週から趣向を少し変えて、週一回、普通の日記を書いてみることにする。
 というのは、その週で思ったことを書くエッセイ方式より、ある日を抜き出して描写の練習をした方が創作のためになると思ったからだ。なお、描写する過程で多少のフィクションが混じるかもしれないことは前置きしておく。

◇ ◇ ◇

 創作を書くために仕事を後ろ倒ししていたので、一日仕事の予定だった。しかし昨晩からメルカリでやり取りしていた人が私の育てていた植物を買ったので、梱包用資材を買いに行かねばならなくなった。朝一で一番近いスーパー内のDAISOに行ったが、そこにはネコポスに対応したサイズの段ボール箱が無かった。郵便局のやっているゆうゆうメルカリ便と、ヤマトがやっているらくらくメルカリ便の最小サイズ、微妙に違うのはなんとかして欲しい。
 という訳で、セリアに行くべく車を走らせた。どちらにせよ、食紅の青を買いに少し離れたそのスーパーに行く予定だった。
 私の街には中くらいの川が流れている。川のこちら側と向こう側で、区が違う。私達は日常的に川を渡る。日常的に使う橋は三本くらいある。
 今日の橋は上下二車線ずつの四車線で、橋を渡り切ったところは一方通行にすべきではと思うくらいの幅しかない、二車線の堤防道路になっている。私の車が橋を渡り切ったところの信号に差し掛かると、反対車線から異様な雰囲気が漂ってきた。
 橋側には工事車両が一台と、ヘルメットや安全ベストを付けた作業員が十名前後、警察官が二、三名いて、そわそわと歩いたり話したりしていた。誰もがその場をどうしたらいいか分かっていないような手持無沙汰な様子だった。堤防道路が横切る交差点の奥側には、警察車両が二台停まっている。
 私は最初、自分の見ていたものを余り理解できていなかったのだ。堤防道路に右折しようとしている長いトラックが、道を塞ぐようにして止まっていた。トラックの運転席部分は、橋の欄干の根元に突っ込んでいた。突っ込まれた側の車線にいる堤防道路の車の列が川沿いに伸びていた。
 トラックが今直ぐ堤防に落ちる危険はなさそうではあるものの、自力で戻ることもまた、できないようだった。
 反対車線のことだから、「あーあ」と思って私は通り過ぎたが、帰りもこの橋を通るつもりだった。普段使わない、四本目の橋を使わなければと思った。

 スーパーでは眼鏡のかけ具合を直すことと、食料品の買い物―もちろん食紅の購入も含まれる―と、セリアに行くことをこなすつもりだった。しかしJINSは謎に混んでいて、しかもその店舗は原則LINEでの受付しかやっていないという。かけ具合調整の客は、「あと何分で受付です」という表示すら出ない。
 元々、もっと近いJINSの店を日常的に使っているのだけれど、そこでかけ具合を直してもらったときに、何度目かでものすごく変な直し方をされた。それ以来妙に痛かったり、変な風に緩んだりを繰り返していた。そんな訳で別店舗で調整したかったのだが、諦めるしかないようだった。
 ただ、このスーパーに入っているCALDI的な店で、ずっと探していたアリスグレイティーが見付かったので嬉しかった。ライオンコーヒーと共に購入する。
 色々と回るところがあったので、一時間半くらい経っていた。さすがにあの事故は収拾しているだろうと、元の橋を渡る道を運転したが、橋に向かう道路に入るために左折したところ、橋に一台も車がなく、手前が渋滞していた。警察官が道の真ん中に立って誘導しているのが見えた。
 ヤマトのトラックが、警察官が左折させている迂回路の一本手前を曲がっていったので、私もトラックに続くことにした。適当な道で右折したが、結局その迂回路に入ることになるので、案の定渋滞に巻き込まれた。この迂回路は、普段は殆ど車が通らないような、平和な住宅路である。
 ぎゅうぎゅうになっている西行きの車線を横目に、東行きの車線の車は涼しい顔をして行き過ぎていく。ああでも、今は涼しい顔をしているが、彼等は飛んで火にいる夏の虫である。東に行けば事件現場手前の、規制箇所に当たる。
 この迂回路と橋に向かう道はT字路になっていて、橋に向かう道を横断することはできない。だから今から東に向かう人は、とてもやっかいな遠回りをさせられることになるだろう。これから地獄の灯に焼かれることが分かっているのに、私は仲間の蛾を止められない。

 うちに帰り、NHKのニュースを観ていた。今日のニュースではなく、録画してあった昨日のニュースである。チェックの三つ揃えスーツを着た壮年の気象予報士が、「明日は非常に風が強くなります。運転していてもハンドルを取られるくらいの強さになることもありますから、皆さんお気をつけください」と言っていた。LINEおなじみの通知バイブレーションが作動し、JINSの順番が来たと知らせた。

サポートいただけたら飛んで喜びます。本を買ったり講習に参加したりするのに使わせて頂きます。