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整う庭

(6月28日)
子どもたちを保育園に送迎するために庭にでると、蒸し暑い空気がまとわりついてきた。いつのまにか季節は巡って朝8時でも太陽が照りつけて汗ばむ。

この3ヶ月間はやけに長く感じた。

末っ子の次男が保育園に入園したはいいものの
6人の子どもたちが順番に体調を崩して学校幼稚園保育園を欠席し、全員が登校登園できた日のほうが少ないくらいだ。

また次女と次男が大怪我をし、長女と長男は腰痛、膝痛、肩痛などで故障し
お手当や通院に手を焼いた。

そのわりに6月はここ4年間で一番長時間働いたし、
いつも通りおやつもご飯もたくさん作った。

自分の身体や心を振り返るまもないまま全力で走り続けた。

けれども、走っても走っても何か重たいものが自分にまとわりついて
スピードが出ないかんじがあった。まるで今日の空気みたいに。

毎朝、1歳次男をベルトで抱っこして、二人分の荷物を自転車の前席、4歳四女を後席に乗せて登園するのがお決まりだ。

山の頂上に暮らしているので、家を出発してから10分ほど坂を下り続ける。その間次男はずっと「ブーーーー」と言い続ける。バイクに乗っているつもりなのだろう。

幼稚園まで家から片道30分、往復で1時間はかかる。幼稚園への送迎が私にとって一番大きな負担になっているのでは?!うちは主人が幼稚園保育園とは反対方向に出勤するためにほぼ私が毎日送迎している。他の家族はパパも毎日のように送迎に来ているのに!
朝目覚めてから全ての作業を最速で行い、バタバタと6人の子どもを送り出した後は、そんなふうに不平不満が浮かぶことがある。
でも自転車を漕ぎ出すと、幼稚園までの片道30分の間に、四女の可愛い歌声を聞いたり、次男に話しかけたり、時には道端に落ちている梅の実や山桃を一緒に拾ったりしているうちに楽しい気持ちに変わっていく。

次男と四女を送って自宅に戻ると、庭に植えたヒマワリが20近く花開いていた。山吹色のものと、淡い黄色のものとがあって、しばらくうっとり眺めていた。4月に四女と一緒にタネを買いに行って、子どもたちと一緒にタネを植えたこと。次女と三女が毎日水をあげてくれたこと。芽が出るまでみんなで「おおきくなーれ」と話しかけたこと。ひとつめの花が開きかけた朝、嬉しさが込み上げたこと。毎日次女が咲いた花の数を数えて報告してくれることなど思い出した。

保育園の送迎後、庭で一息入れるのは私の小さな楽しみのひとつだ。四季折々の花が咲き、実がつく木もある。ビオトープには「若鷹」という名前の黒い金魚が泳いでいる。ビオトープの隣の水槽にはメダカの稚魚が3匹いて、ピュンピュン動き回る。最近はヤマバトが巣を作って卵をあたためている。

なかなか前に進まない出来事が多く焦るけれど、自分を整えて少しずつ今できることを積み重ねていこう。深呼吸をすると空にはほんわりと柔らかい雲が流れていた。


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