見出し画像

【VALORANT】データ分析で"ZETA DIVISION"を分析

こんにちは。2023年のVCT開幕まで残り1ヶ月を切り、日本ではVCTに変わりVCJが開幕しましたね。Mastersが東京で行われることもあり来年のVALORANT競技シーンも盛り上がることが予想されます。

そこで今回は2023年のVCTをもっと楽しく見るために、出場チームの特徴をデータから分析したいと思います。個人の特徴ではなくチームとしての特徴を見ていくので、選手の基本情報などは省略します。

第一回はインターナショナルリーグAPAC地域に出場する日本代表ZETA DIVISIONです。
昨年は大活躍を遂げたZETA DIVISIONですが、どのような特徴があるのか気になる人も多いかと思うのでよかったらぜひ最後まで読んでみてください。

まとめだけ見たい方は目次から「まとめ」に飛ぶこともできます。


TwitterではVALORANTに関するデータ分析の情報を発信しています!下の「フォローする」ボタンで簡単にフォローできるので記事を読む前に押してもらえると今後の執筆の励みになります。

この記事の他にもVALORANTに関する分析記事を書いてますので是非読んでみてください。


特徴① 得意マップ「スプリット」と苦手マップ「アセント」

ZETA DIVISIONといえば「スプリットが強い」というイメージを持っている人も少なくないかと思います。実際、現在のロースターになったパッチ4.04以降スプリットでは75%(8戦6勝)と非常に高い勝率を誇っています。他マップと比較してもその差を見ることができます。

またスプリット以外ではバインド、フラクチャーで勝率が高くそれぞれ66.7%(9戦6勝),63.6%(11戦7勝)を記録しています。

一方でアセントでは勝率が25%(8戦2勝)と非常に低く、このことがZETA DIVISIONが今後改善すべき課題の一つであることがわかります。

マップごとの勝率
パールは2試合しかしていないので信憑性は低い

マップごとのプレイしたラウンド数の平均値を見るとスプリット、フラクチャーでは20ラウンド以下となっており、他のマップと比較しても大差で勝利することが多いことがわかります。このことからZETA DIVISIONはスプリットとフラクチャーが得意マップであると考えることができます。

一方でバインドは高い勝率を記録しているものの平均ラウンド数は23.8ラウンドと全マップの中でも最も多く、バインドは接戦の末勝利することが多いマップであることがわかります。このことからZETA DIVISIONにとってバインドは得意マップとはいえないと考えます。

アセントは勝利が低かったのに対して平均ラウンド数は21.5ラウンドとなっており、5ラウンド差程度の比較的僅差での敗北が多かったことがわかります。
この僅差を埋めてアセントで勝利することができるかどうかが今年のZETA DIVISIONの注目ポイントの一つであるといえます。

1試合あたりの平均ラウンド数

攻撃時と防衛時のラウンド取得率も見てみます。
得意マップであるスプリットでは攻撃時のラウンド取得率が非常に高く、攻めマップとも言われがちなヘイブンやパールと同等の約60%となっています。
フラクチャーも60%には達しなかったものの、58.8%と高いラウンド取得率を記録しています。

ラウンド取得率が50%を下回っている部分に焦点を当てると改善すべき場所が明確になります。アセントでは攻守ともに50%を下回っており、このことからもアセントは苦手マップであることがわかります。

攻撃と防衛のラウンド取得率

特徴②EMEA地域などにみられる構成を多く採用

次に見るのは「各マップにおける構成」です。
ZETA DIVISIONが使用する構成の特徴をデータから明らかにしてみたいと思います。

アセントではアストラを採用した構成

現在のロースターになってからZETA DIVISIONがアセントで披露した構成には以下のようなものがあります。特徴としてはアストラが多くでていることが挙げられます。アストラのスペシャリストであるSugerZ3ro選手がいることも大きいと考えられます。

直近だとGwangju Esports Series AsiaでのTalon Esports戦とchampionsでのLOUD戦でアセントをプレイしています。

アセントでの構成
()内はその構成でプレイした回数

アセントは全体で6試合しかしていないことや勝率が低いことから現在もいろいろな構成を試している状況であると言えます。キルジョイ×チェンバーなどの面白い構成も大会で出しているので2023年のアセントも注目マップの一つです。

ヘイブンではチェンバー弱体化などの影響を受け構成が大きく変わる可能性大

ヘイブンは現ロースターで最も多くプレイしたマップです。
ヘイブンで披露したロースターは以下になります。最近ではチェンバーを主体とした構成を見せてきましたが、チェンバーの弱体化を受けセンチネルをキルジョイに変えた構成をRiot Games ONEでは見せていました。チェンバーメタの前にもキルジョイを取り入れた構成でプレイしており、9回とかなりの回数プレイしています。

ヘイブンでの構成
()内はその構成でプレイした回数

過去にはアストラをスモーク役として採用していましたが、最近ではオーメンを入れた構成が主体になっています。

ネオンを入れた構成も過去には出している

ZETA DIVISIONのヘイブンの構成はチェンバー、フェイドの弱体化を受けて大きく変わると予測しています。
個人的にはチェンバーに代わりジェット、その穴埋めとしてセンチネルにはキルジョイ、スモークはオーメン、イニシエーターとしてKAY/Oとソーヴァを入れた構成になると予想していますが、KAY/Oの代わりにレイナを入れた2デュエリスト構成もイベントで見せているので、2023年はいい意味で予想を裏切る構成が見れるかもしれません。

バインドはEMEA地域でよく見られる2スモーク構成

アセント、ヘイブンと比べてバインドの構成は固まっておりヴァイパーを入れた2スモーク構成+セージといったEMEA地域でよく見られる構成を採用しています。2スモークにすることでアストラを採用しやすいなど、ZETA DIVISIONのロースターと相性がいいこともありこの構成を採用していると考えられます。

バインドでの構成
()内はその構成でプレイした回数

直近の大会ではブリムストーンを採用した1スモーク構成を採用するなど、相手によって構成を変えることもあります。最新のアップデートでマップローテションから外れたため次はいつ見れるか不明ですが、大会で見れる日を楽しみにしましょう。

1スモーク2デュエリストの構成を採用することもある

スプリットには自信あり、2023年も期待大

スプリットはZETA DIVISIONの最も得意とするマップでありその構成も1つとかなり自信のある構成を見せています。

スプリットでの構成
()内はその構成でプレイした回数

スプリットは最新のアップデートでマップローテーションに戻ってくるためZETA DIVISIONとしてはアドバンテージとなることが予想されます。スプリットがない間にフェイドが登場したことなども考慮すると、構成が少し変わることはあるかもしれませんが基本はヴァイパーを入れた2スモーク構成を続けることが予想されます。

アイスボックスではチェンバーを採用し続けるかが注目ポイント

アイスボックスはヘイブンについで2番目に多くプレイしているマップになります。アイスボックスではどのチームもチェンバーを多く採用していましたが弱体化を受け構成がどのように変わるかに注目です。

アイスボックスでの構成
()内はその構成でプレイした回数

チェンバーの弱体化が実装されたパッチ5.12以降、ZETA DIVISIONはアイスボックスをプレイしていないため2023年はどのような構成を披露するかは未知数ですが、EMEA地域の流れを汲んでチェンバーの代わりにキルジョイを採用する可能性が高いと考えています。もしかするとチェンバーをそのまま採用するかもしれません。

ブリーズでは再びLazサイファーが見れる予感

ブリーズはZETA DIVISIONがあまりプレイしていないマップの一つです。これまではチェンバーの採用がほとんどでしたが、直近で行われたイベントでは久しぶりにサイファーを採用するなど構成の変化が見られます。2023年もZETA DIVISIONのブリーズが見れることは多くないことが考えられますが、新たな構成が見れることに期待しましょう。

Riot Games ONEで久々に見れたLazサイファー

フラクチャーでは構成の変化に注目

特徴①でも書いた通り、フラクチャーはスプリットに次いでZETA DIVISIONが得意とするマップです。そんなフラクチャーでは2デュエリストまた2スモーク構成を採用しており、構成によって全く異なる戦い方をするのがフラクチャーにおけるZETA DIVISIONの特徴です。

フラクチャーでの構成
()内はその構成でプレイした回数

個人的にフラクチャーはここ最近のアップデートで最も影響を受けるマップの一つなのではないかと考えています。キルジョイの採用が増え、それにあ合わせてチェンバーが減ることやブリーチのスキルでロックダウンが破壊できないことからイニシエーターやコントローラーの採用も変わってくる可能性があります。2023年のZETA DIVISIONはどのような構成を採用するのかに注目しましょう。

パールは試合数が少ないものの勝率は100%

最後に紹介するのはパールです。パールは最近登場したマップであることから試合数は2回とまだ多くありません。しかしその勝率は100%と勝ち続けていることからパールは今後ZETA DIVISIONにとって得意マップになる可能性を秘めています。

パールでの構成
()内はその構成でプレイした回数

個人的には2023年以降もZETA DIVISIONはチェンバーを採用し、大きな構成変更は行わないと予想しています。まだ2試合しか披露していないため構成が固まりきっていない可能性もありますが2023年はパールが得意マップになることを期待しています。

全体を通してわかることは「ZETA DIVISIONは2デュエリストなどをあまり採用しない、堅実な構成を採用することが多い」ということです。
スプリットの構成も元々はTeam Liquidが採用しており、EMEAでは一般的な構成の一つでした。それ以外の構成は日本地域でもよく見られる構成が多く、時々奇抜な構成を出すものの長くは使わずまた堅実な構成に戻ることがほとんどです。このことからZETA DIVISIONは構成に関していう比較的堅実なチームであることがわかります。

特徴③エリアコントロールに優れたセットアップ

次にZETA DIVISIONが使用する特徴的な作戦、セットアップについてみていきます。作戦やセットアップはデータから見ることのできない部分なので個人の主観で選んでます。(見つけ次第どんどん更新します)

今回は特徴①でわかった勝率の高いマップに絞って見ていきたいと思います。

スプリットで使用するセットアップ

ZETA DIVISIONが最も得意とするマップであるスプリットから見ていきます。スプリットでの構成は特徴②でも紹介した通りヴァイパーを採用した2スモーク構成です。攻めではトキシックスクリーンを使った相手に情報を取らせない動き、守りではヴァイパーとセージでミッドを進行させない守りを行なっているのがZETA DIVISIONのスプリットにおける特徴です。

攻め側から見ていきましょう。攻撃時は多くの場合Aメイン手前でトキシックスクリーンとポイズンクラウドを使用しています。この動きはサイファーを採用しているチームでもよく見られる動きです。Aメインとスロープを隠すことで少ないリスクでエリアを獲得することに成功しています。またエリア獲得のためにかけた人数も1人であることからかなりコストパフォーマンスが良いセットアップであることがわかります。
回数は少ないですが、Bメインで手前も同じようなセットアップをしています。Aサイトに比べると強力ではないですが有用なセットアップです。

ミッドでスキルトレードを行い人数状況を把握、最終的にヴァイパーがエリアキープしていたAメインとミッドでA挟み

VALORANT Masters Reykjavík — Group Stage Day4 ZETA vs NIPより

ヴァイパーBセットの一例。Aアクションの後、ヴァイパーでエリアキープしていたBメインとミッドでB挟み

ZETA DIVISIONの攻めの基本はAメイン手前とBメイン手前にそれぞれスモーク役の2人を配置しエリアをキープ、他の3人でミッドのエリアを取るところから始まります。
というのも、スプリットというマップはミッドを経由した攻めが非常に強いマップです。ミッドを経由するかしないかでローテートにかかる時間が大きく異なるためです。ZETA DIVISIONはこのような理由でミッドを軸に攻めを展開していることが考えられます。

Aはヴァイパーセットアップ、Bはアストラが詰め警戒、ミッドにレイズ、セージ、スカイでエリア取りを行い、相手の配置を把握できた段階でエリアキープしていたA/Bメインとミッドで挟んで攻め入るというのがZETA DIVISIONのスプリットにおける定石です。時々Aに全員で攻め入るなど、効果的にラッシュを挟んでいたりすることも特徴の一つであると言えます。

次に紹介するのは個人的にフルパコンペなどでおすすめしたいセットです。

攻めのZETA DIVISIONはが1st,2ndラウンドを獲得し、武器不利のラウンドで見せたセットになります。1st,2ndラウンド共にラッシュを見せていたZETA DIVISIONはこのラウンドもスネークバイトをAサイトに打つなどして、ラッシュの動きを見せます
しかし本命はミッドで、そこからBサイトに向かう選択をします。相手チームは前ラウンドでラッシュを見せられていたこともありAサイトに3名を割いてしまっておりミッド、Bサイトともに人数差を利用して倒されてしまいます。結果、ZETA DIVISIONは武器不利である3rdラウンドを獲得し、一気にこの試合の勝利に近づきました。この試合で一番鍵となったラウンドであり、定点も少ないセットなので友達とVALORANTを遊ぶ際に試してみてはいかがでしょうか。

次に守り側のセットアップを見てみます。
守りの基本のセットはこのようになっています。

Aメイン、タワーはトキシックスクリーンで侵入阻止、Bメインはネビュラでの侵入阻止、ミッドはポイズンクラウドとセージのスキル(バリアオーブ、スロウオーブ)で足止め。ラウンド開始直後にスカイのガイディングライトでAメイン索敵。

スネークバイトやスロウオーブなど敵の進行を止められるスキルを多く持ったエージェントをミッドに二名配置していることからも、攻めの時と同じようにかなりミッドを重視した守り方であることがわかります。
Bサイトはアストラ一名と少ない配置ですが、ポジションを見る限り相手のラッシュに対してはアストラ+セージで設置遅延→リテイクを狙っていることが考えられます。

次に紹介するのは、守りでヴァイパーがアルティメットを使う時やエコラウンドで使用するセットアップです。

ミッドにトキシックスクリーン、ポイズンクラウドの代わりにアストラの星をミッドに置いている。Aメインではラウンド開始直後にヴァイパーズピットを使う。

エコラウンドやヴァイパーズピットを使用するラウンドでは、スカイとヴァイパーの配置を入れ替えて守っています。
ヴァイパーがいない分ミッドは手薄になりますが、その代わりにトキシックスクリーン+ネビュラを使用することで守りを固めています。

次に紹介するのは1st,2ndラウンドを獲得した後の武器が不利なラウンドで使用していたセットです。

ここでは多くのラウンドでAに配置していたスカイをBメインに配置しています。アストラのスモークとスカイのフラッシュでBメインでの近距離戦に持ち込む作戦であると考えられます。また2ndラウンドでAメインにジャッジを持ったレイズを配置していたこともあり次のラウンドはAでジャッジと戦いたくないというLiquid側の思考を読んだ上での配置であるとも考えられます。

2ndラウンドではジャッジで1キルしているので、
Liquid側からすると次のラウンドはAメインには行きたくない

その他にもラウンドを取られ始めると大きく配置が変わることがあります。うまくいている間は一番自信のあるセットを組み、状況に応じてセットを変えているのがスプリットにおけるZETA DIVISIONの特徴の一つです。

↓Aサイトにアストラ、レイズ、Bサイトにアストラを配置したラウンド

↓ベントにいたヴァイパーがメールボックス側に配置されているラウンド

全体としてスプリットにおけるZETA DIVISIONはミッドを重視した攻め方・守り方をしているように思えます。そのためスプリットでは定石であるミッドを経由した攻め・守りが難しいことがZETA DIVISIONの強みです。
一方ミッドを重視するとサイトへの圧力は自ずと薄くなってしまします。特に守り側では後半になるにつれて、相手のメインに人数をかけた攻めに対応できていないラウンドが増えてきます。
メイン攻めに対してはリテイクと割り切っている可能性もありますが、このメインに対する攻めに弱いことが特徴①からわかったスプリットの守りのラウンド取得率が少し低くなっていることにもつながります。とは言ってもZETA DIVISIONのスプリットはとても強いですし、ここを修正するのは優先度としては低くなるでしょう。今年はスプリットが帰ってくるのでさらに強くなったZETA DIVISIONのスプリットに期待です。

まだスプリットのみしかみていないので不確かな分析ですが、ZETA DIVISIONは守りではうまくいっていない時に、攻めではうまくいっている時に配置や作戦を変えることが多いです。他マップも見て後日まとめますので少々お待ちください。

特徴④時間をかけて攻める、マクロ面に長けた戦い方

次にZETA DIVISIONの「攻めの傾向」をデータから考えてみたいと思います。
攻めの傾向を見るために今回は3つのデータを使用します。

まず一つ目にプラント時間のデータを使った分析を行います。

ZETA DIVISIONを含む、2022年の世界大会の全試合と直近でZETA DIVISIONが参加したイベント(Gwangju Esports Series Asia, Riot Games ONE PRO INVITATIONAL)の全試合のデータを使用し、プラント時間のヒストグラムを作成します。

全体のプラント時間の分布

全試合のうちプラントが発生したのは449ラウンドでした。
作成したヒストグラムを見ると20~25秒の間で最も高い山があり右に行くともう一つ小さな山があるような形状に見えます。これはラウンド開始から比較的早めにサイト侵入が始まりプラントを行っている、ということを意味します。

ではZETA DIVISIONの場合はどうでしょうか。
ZETA DIVISIONのみに限定した場合のプラント時間のヒストグラムを見ると最も高い山は80~85秒の間にあり、次いで20~25秒,25~30秒に山があります。このことからZETA DIVISIONは全体と比べて、少し時間を置いてサイト侵入→プラントすることが多いことが読み取れます。ラウンド後半で仕掛けることが多いことからマクロ面でのコントロールが上手なチームであると言えます。

ZETA DIVISIONのプラント時間の分布

特徴⑤プラント時における人数状況と勝率 

2つ目に見るのはプラント時における人数状況と勝率です。
ZETA DIVISIONは時間をかけてプラントを行うことが多いことが特徴④でわかりましたが、その時の人数状況や勝率はどうでしょうか。

プラント時の人数状況をマトリックス形式まとめたものが以下になります。

プラント時の人数状況(単位:回)
横がディフェンダー、縦がアタッカーの人数


プラント時の人数状況別の勝率
横がディフェンダー、縦がアタッカーの人数

上の「プラント時の人数状況」の表を見るとZETA DIVISIONは5-5の人数状況でプラントをしていることが最も多いことがわかります。このことは過去のZETA DIVISIONの試合を見たことがある人の中には気づいている方もいると思います。そのくらい目に見えて5-5の状況でプラントをしていることが多いです。
このことからも人数有利を作ってラウンドを取得するよりもエリアコントロールから同じ人数でも有利にラウンドを進める方針を持ったチームであることがわかります。

下の「プラント時の人数状況別の勝率」の表を見ると人数有利の状況を除けばZETA DIVISIONは回数は少ないものの1-1での勝率が最も高いことがわかります。またプラント回数が最も多い5-5の状況でも比較的勝率が高いことがわかります。
一方で3-3や2-2といったいわゆる少人数戦においては勝率が50%を下回っており低いことがわかります。これは先述したZETA DIVISIONの攻め方の方針では3-3や2-2の状況は狙っていた状況ではないことが理由として考えられます。

今回はZETA DIVISION以外のチームも含めて全体の傾向を見ることができなかったため相対的な評価が行えませんでした。相対的な評価を行うことでより鮮明にZETA DIVISIONの特徴が見えると思います。

特徴⑥トレードキルが比較的少ない

3つ目はミクロ面に焦点を当てて分析を行います。
見ていくのはトレードキルの多さです。以前の記事で人数状況によってそのラウンドでの勝率は大きく変動することを紹介しました。人数状況が不利になることを未然に防ぐためにもトレードキルは重要であると言えます。

以下では、1試合あたりのトレードキルの平均値を、ZETA DIVISIONを含む、2022年の世界大会の全試合と直近でZETA DIVISIONが参加したイベント(Gwangju Esports Series Asia, Riot Games ONE PRO INVITATIONAL)の全試合のデータ(全体)とZETA DIVISIONの試合のデータで比較しています。

全体の46.2回と比べ、ZETA DIVISIONは26.0回と少ない結果となりました。
このことからZETA DIVISIONは比較的トレードキルをすることが少ないチームであると言えます。


まとめ

さて、ここまででいろいろなデータからZETA DIVISIONの特徴を見ていきました。まとめると以下のようになります。

・スプリット、フラクチャーが得意マップ
・アセントが苦手マップ
・EMEA地域によくみられる構成を採用している
・奇抜な構成は少なく堅実な構成が多い
・他のチームより時間をかけた戦い方が得意
・全員生存した状態でのプラントが多い
・回数は少ないが1-1の人数状況での勝率が高い
・トレードキルは比較的少ない

データだけでもこれだけの特徴を発見することができました。
僕自身のゲーム理解度がまだまだ低いことやデータでは見れない特徴もたくさんあると思います。それらについても可能な範囲で分析を進めていきたいと思います。

他のチームについても同じように分析したいと思っているので、「このチームを分析してみてほしい!」というのがこの記事へのコメントやTwitterにて教えてください。皆さんのコメントが励みになります。
個人的にはインターナショナルリーグ出場チームでZETA DIVISIONと同じAPAC地域であるDRXやPaper Rex(同地域で大きなロースター変更がない2チーム)やEMEA地域のFnaticも分析したいと思っています。

これからも、VALORANT関する気になることを分析した結果を記事にしていきますのでよかったらnoteやTwitterのフォローをよろしくお願いします!それでは。

当記事はライアットゲームズが公式承認するものではなく、ライアットゲームズ又はVALORANTの製作・管理に正式に関与したいかなる者の見解・意見に基づくものではありません。VALORANT及びライアットゲームズは、Riot Games, Inc.の商標又は登録商標です。VALORANT © Riot Games, Inc.

この記事が参加している募集

#VALORANTを熱く語る

849件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?