どんな未来が待ち受けているのか。なぜ、気にかけるべきなのか。
第五章では、私たちを待ち受ける未来がどのようなものであるか、なぜそれが重大な意味を持つのか探索していきます。ここでは、「長期主義(Longtermism)」(長期的な未来を良くしていくことを道徳的最優先事項とする見方)について議論を展開します。これらの議論は、ここ2週間で取り扱ってきた「存亡リスク」の削減に取り組むことの重要性をさらに強く訴えかけるものとなるでしょう。また、人類の将来予測にいくつか触れ、またなぜ未来が現在とかけ離れたものとなり得るのか、その理由を探っていきます。
これから取り扱う主な概念は以下の通りです。
・公平性(Impartiality): 助けを最も必要としている人(及びその他の動物)を助けること。場所や時代、種を理由に、誰かの存在価値を低く見ようとしているのであれば、それらの要素に何らかの道徳的理由が伴っていなければならない。
・予測(Forecasting): 未来を予測することは難しい。だが、予測をより明確なものとし、失敗から学ぶためにも、予測を行う価値はあるといえる。
また、本章では、較正(calibration)と呼ばれる、予測スキルの実践に挑みます。60%の確率で起こると予測したことが、実際に60%近くの確率で起こることに期待しつつ、スキル向上を図ります。これは、不確実性のさなか、良い意思決定をするために重要なスキルです。
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