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【戦評】三木監督、あまりにも出ずっぱりですよ!~3/14△楽天3-3巨人

※本稿は全文公開中。最後までお楽しみいただけます。

最終回サヨナラ阻止のドロー劇

7連勝でオープン戦首位浮上を目指した東京ドームの一戦。
結果は惜しくも3-3のドローだったが、最近のゲームと同様に充実した2時間47分になった。

試合展開はイーグルスが追う戦況。
先発・辛島が2本の一発を被弾し、スコアは0-3。
3点リードを追いつかれたのではなく、3点先行を許す苦しい状況から追いつく価値ある引き分けだった。

しかも、最後は絶対絶命、巨人のサヨナラを阻止する圧巻劇になった。

9回2死満塁、石川の打球は3-4xサヨナラ必至の右越えコース。
十中八九はヤラれたという思わず固唾を飲むシーンだったが、諦めなかったのは背番号8。

懸命に背走したライト辰己が塀際付近で球際スライディングキャッチ!
ビッグプレーを平然とやってのけ、翌日のオープン戦最終戦に同首位の希望をつなぐ引き分けをもぎ取った。

◎辰己のファインプレーhttps://twitter.com/eagleshibakawa/status/1238790330893258753

投手陣は10戦連続で3失点以下

投手陣は辛島が5回3失点。
一発を2本くらったが、内容は良かったと思っている。

ストライク率68.1%と合格点。奪三振6個に対し、与四球1個のみ。
とくに変化球は全体の63.6%を低めゾーンに集める丁寧さはいつもどおり。

この日の巨人打線は若手主体。坂本、丸、岡本ら主力組が休養になったことも辛島有利に働いた側面はあるにせよ、制球は安定していた。その中の数少ない失投を運ばれた大城に右翼席へ2ランを運ばれたと言えそうだ。中島のソロ弾は打者の力量を評価すべきだと感じた。

最終回の高梨はサヨナラ危機を招いたが、瀧中、津留崎、酒居の新戦力は1回パーフェクト投球をみせた。
これで鷲投手陣は2/29ロッテ戦(○E4-2M)を起点に10試合連続3失点以下に抑えている。

対外戦成績は11勝6敗1分に、オープン戦成績は8勝4敗1分(3位)になった。

◎両軍のスタメン

楽天=1番・辰己(右)、2番・山崎幹(中)、3番・銀次(一)、4番・ウィーラー(指)、5番・山下(捕)、6番・内田(三)、7番・小郷(左)、8番・黒川(二)、9番・小深田(遊)、先発・辛島(左投)

巨人=1番・湯浅(三)、2番・松原(中)、3番・北村(一)、4番・パーラ(右)、5番・中島(指)、6番・大城(捕)、7番・石川(左)、8番・吉川尚(二)

◎試合展開

画像1

辰己、オープン戦の盗塁王へ

浅村、JB、前日右膝死球を負った島内は出場せず。
4試合ぶりに一発も出ず6安打に終わったが、数少ないヒットを効率良く点に結び付けた。

3点差を追いつく楽天の反撃は、6回から始まった。

巨人先発は2017年ドラフト1位の鍬原。
イヌワシ打線は「トマトは食べられるがミニトマトは無理」という大卒3年目右腕に、5回まで散発2安打、7三振と苦戦する。

しかし、打線が3巡目に突入した6回1死から攻略の糸口を作った。

突破口を切り開いたのは、最終回で目覚ましい好守をみせた1番・辰己。
流し打ちの左安で出塁すると、すかさず盗塁で2塁を奪取。
西武・金子侑らを抑えてオープン戦の最多7盗塁(盗塁死0)に伸ばす韋駄天をみせた。

足で揺さぶられ動揺した鍬原は制球を乱し、2番・山崎幹は1塁へ歩いて1死2,1塁。続く3番・銀次は三振に倒れたが、鍬原を降板させ巨人は投手交代へ。

山下の右サイドスロー撃ち

2死2,1塁、4番・太田に田原を投入した原監督。
右のサイドスローに火消しを託すが、冷静を保った太田がそれを許さなかった。しっかり見きわめて四球で1塁に歩き2死満塁をお膳立てすると、決めたのは山下。

田原の128キロを痛打し、強烈打球が二遊間を抜ける2者生還のタイムリーに。

この日、対外戦2度目の先発マスクをかぶった背番号29。
じつは昨年、右の横手投げからヒットを良く打っていた。

昨年記録した11安打のうち4安打は、平井(西武)、十亀(西武)、秋吉(日本ハム)、東條(ロッテ)から弾き返したもの。
それも本戦と同じく124~135キロの半速球を捉えた当たりだった。

この2点適時打のとき、1塁走者・太田が3塁で憤死した。センター松原の好返球に遭ったが、投手の代わりばなを四球と足を絡めて好機を作り、一打で複数走者をホームに呼び込み、1点差に肉薄する素晴らしいオフェンスになった。

2軍対外戦で7打数5安打2打点、1二塁打の好成績を残し1軍に上がってきた山下は、1軍でも11打数4安打3打点、1二塁打、3三振、1四球に。
これで今対外戦の合計成績は18打数9安打5打点、2二塁打、3三振、1四球の打率.500と、好調ぶりを維持している。

一方、守備では課題のキャッチング、ブロッキングに拙さが出た。
捕逸1個、4回北村空三振の辛島高め投球をこぼして北村にあわや振り逃げを狙われる場面もあった。

同点劇を呼び込む小深田の好走塁ツーベース

終盤8回、遂に同点へと追いついた。

前日、元楽天・古川から“プロ1号”を放った小深田が本戦でも躍動した。
2三振で迎えたこの日の3打席目は、左腕・高木京との左vs左対決。

1-2と追い込まれていたが、低め誘い球をしっかり体勢を残してひろい上げ、右翼線沿いに運ぶ当たりに。ライト若林からの2塁返球を制する俊足飛ばすツーベースでチャンスを作り、足立の二塁打で同点のホームを踏んでいる。

3/11西武戦(○E9-2L)ではセカンド外崎の正面を突いた平凡二ゴを小号が全力疾走でまさかの内野安打にし、3/13巨人戦(○E3-2G)ではヒットで出た辰己が二盗を仕掛け、小林の2塁悪送球を誘う3塁進出、本戦では6回1死の辰己による左安+二盗や前述小深田の好走塁二塁打など、スピードを活かしたプレーが今季は増えている。

故障で離脱中の茂木やオコエが戦列に帰ってくれば、こういうプレーはもっともっと増えていくはずで、今後に期待したい。

三木監督、あまりにも出ずっぱりですよ!

この日、スタメン出場し3打席以上立ちながら無安打に終わったのは、山崎幹、銀次、内田の3人だった。

とりわけ、心配なのは銀次と内田である。

2018年の春先と同じ好調をみせる内田は、第3打席で見三振。
これがオープン戦で初の三振になった(26打席目)。

その5球勝負の中で自打球が右足直撃するシーンが。
続く4打席目は澤村のスピードボールが左肩を直撃する死球と、身体に硬球が当たる場面が2度もあるなど心配だ。

今年2月で32歳になった銀次は、正直、あまりにも出ずっぱりすぎるイメージだ。

対外戦18試合中17試合に出場。
スタメンは13試合を数えている。

一方、今年31歳の鈴木は14試合、今年30歳の浅村は腰の張りもあったりして9試合、今年31歳のJBは11試合、銀次より年下の選手のほうが出場試合が少ないのだ。

今対外戦40打席で32打数6単打3打点、4三振、7四球、1犠飛。
打率/出塁率/長打率は.188/.325/.188と、精彩を欠く主要因は、ひとえにキャンプからの疲労によるものも大きいと思う。

人知れずの練習量で1軍の定位置を確保したヒットマンも、もう32歳である。加齢による衰えとも戦わなければならない年齢に入ってきた。なのに、Viberを覗くと今日も東京ドームの室内練習場で早出特打ちを敢行したようだ。

ここからは完全なる推測だが、下記記事の巨人・坂本のように、そろそろ身体と相談してときには練習量をセーブする判断も必要になってくる。しかし、銀次の場合、往時や全盛期と同じ量をこなしているんじゃなかろうか心配である。

開幕は延期され、新たな開幕は4/10以降と約1ヵ月も先である。
こんな時期から出ずっぱりで疲労を溜め込んでしまえば、開幕にはヘロヘロになってしまうのでは?と不安で仕方ない。

2月まではヒットが出なくても楽観視できた。
悲願の首位打者へヒットをシーズン中に温存しているのだろうと思えた。
しかし、ここまでくるとそうも言ってられない。
僕らを安心する意味でも、1日1本は打ってもらいたいのだ。

◎巨人・坂本が本紙専属評論家・伊原氏に漏らした不安 (東スポWeb 2020年2月25日)
https://www.tokyo-sports.co.jp/baseball/npb/1755390/

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