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【試合感想文】 4/5西武0-1楽天:松井裕樹200セーブ達成。メモリアルをセーブシチュエーション別に振り返る

9回表、先頭の4番・山川穂高との侍ジャパン対決。いきなり右中間深部へツーベースをくらって無死2塁。

動揺走ったのか、続く5番・マキノンには真っ直ぐが糸の切れた凧のように制球が定まらない。結局、ストレートのフォアボール。6番・鈴木将平に初球バントを決められ、1死3,2塁になったときには本当にヒヤヒヤした。

ラストバッターの代打・中村剛也とは手に汗握るフルカウント対決に。

3/22ベルーナドームでのオープン戦で僕が目撃するなか早川隆久から左中間へ2ランを一閃したNPB歴代14位454ホーマーの強打者が、背番号1番の逆球ストレートを捉えた。

このときもヒヤリ...

打球は右中間深部まで到達したものの塀際失速。最後はセンター辰己涼介のグラブに収まり、通算200セーブ達成となった。

できれば三者凡退でメモリアルを達成して欲しかったが、これも松井裕樹らしいのかもしれない。

NPB史上最年少27歳5ヵ月でのスピード記録になった

NPB歴代1位の407セーブをあげた岩瀬仁紀(中日)は1002登板で407セーブ、つまり登板数に占めるセーブ比率は40.6%だ。いっぽう、松井裕は445登板で200セーブのため44.9%。

27歳左腕のほうが効率よくセーブを積み重ねることができている。20代での名球会入りはむろん、その先の岩瀬越えも現実的な目標になってきた、そう言えるかもしれない。

このように振り返ると順風満帆に見えがちだが、決してそうではなかった。

プロ入り当時はファンの多くは先発完投型を夢見ていた。とくに楽天には田中将大というロールモデルがある。かつて釜田佳直が果たせなかった田中将の系譜を継ぐ後継者という期待を背負っていたと思う。

ご存じのとおり、転機はプロ2年目に訪れた。

この年、監督に就任した大久保博元(現・巨人打撃チーフコーチ)が、大会史上最多1試合22奪三振の甲子園記録を作ったスターを守護神に起用。これがみごとにハマった!

監督を辞めた後年、デーブが語るところによると、当時は周囲の関係者全員が大反対したという。そのなか「副交感(神経)優位の天才型」を抜擢した決断は、デーブが楽天に残した数少ないレガシーの1つになった。

その後も本人は先発転向の夢をあきらめきれず、2020年には先発転向にトライしたものの頓挫。

こういう話を聞くと、自分の適性ってその本人は分かっているようで分からず周囲が決めるもの。ノムさん語録を借りれば、

「その人間の価値や存在感は、他人が決めるのである。人間は人の評価で生きている。自分の評価より、他人が下した評価の方が正しいのである」

ということなんだと、つくづく思う。

その後も、紆余曲折だった。

良く知られているように、プロ1年目の2014年から2021年まで彼は成績の好不調が隔年で訪れるタイプのアスリートだった。

2018年は53登板もしながら5セーブどまり。この年は史上最年少の22歳10か月での100セーブを達成し、オフには石橋杏奈さんとの結婚を発表したメモリアルな1年だったが、不調のため守護神の座をハーマンに明け渡す悔しさを経験したシーズンでもあった。

マネーピッチもその都度、変えてきた。

高校時代はスライダーで世間をアッと言わせ、プロ入りしてからはチェンジアップ。もちろんスライダーも健在だが、現在はフォークを最大の決め球にする。

当方も製作に参加しているSlugger特別編集『プロ野球オール写真選手名鑑』によると、昨年の松井裕のフォーク空振り率は51.4%。これはパリーグ5位の数字であり、佐々木朗希(ロッテ)と匹敵するという。

また、国際大会との相性は・・・。2015年プレミア12しかり、今回のWBCしかり。

一見すると順風満帆に見えがちだが、実際は「長く曲がりくねった道」を経験しての今回の大台到達になったわけだ。

改めて200セーブの詳細を確認してみよう。

セーブ機会とセーブ数、登板時の点差を表にまとめてみましたので、ご覧ください。(今回のために見直したが、当方の集計に間違いがあるかもしれない。もしお気づきの方いましたらご連絡ください)

続く…

...続きは『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記2023』でどうぞ。

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2018年9月のGM就任から始まった石井体制も5年目へ突入。今年はGM職を外れて監督業に専念する総決算・集大成の戦いに。監督も「狙うのは優勝ですね。優勝以外を掴まされてもハズレ」と不退転の決意を示す今シーズンを試合感想文やコラムなどで綴ります。あなたの野球観戦の「良き伴走者」を目指して。月10回以上を所収ただいま新規読者さん募集中!

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