【試合評】三浦監督がお膳立て。楽天の左打者「絶好の実戦演習」~7/31○楽天6-4DeNA

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島内バック・トゥ・バック。2戦3発の離れ業

日曜夕方17時プレイボールになったエキシビションマッチの3戦目。
2戦連続で1得点どまりだった楽天が6-4の快勝を飾り、エキシビションマッチ成績を1勝1敗1分にした。

イーグルスが2本のホームラン攻勢で序盤から主導権を握った。

立役者は今季も56試合で4番を張る島内だ。
前日にエキシビションマッチのチーム1号を右翼席に突き刺した星稜魂が本戦では広角撃ち。

いずれも相手は宮國だった。

1本目は1回2死2塁で外角速球を左中間スタンド中段へ。
2本目は3回2死3塁、内角狙いがシュート回転して真中近辺に入る失投をアイリスオーヤマ越えの右中間席へ。
キャリア通算でも1度しかない2打席連続のホームランを、ペナントレース中断中の実戦で放ってみせた。

島内と言えば試合前のバッティング練習が独特なことで知られている。18.44mよりも前から投げる打撃投手に全力投球で投げてもらい、体感的にかなり速い球を打ち返す練習を積んでいる。

また、様々なバットを集める蒐集家の顔も。後輩・黒川の証言によるとバットの取り扱い方法についても詳しく、練習と商売道具を大切にする35番だからこその、離れ業になったのだろう。

今季は打球改造を施し、角度を手に入れている。

前半戦イヌワシ打線は約150本前後の飛球をウォーニングゾーン以遠に飛ばしてきた。そのうち最多は浅村の18%。島内の15%は主砲に続く数字だ。

◎試合展開

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◎両軍のスタメン
DeNA=1番・桑原(中)、2番・関根(右)、3番・佐野(左)、4番・ソト(一)、5番・宮崎(三)、6番・牧(二)、7番・知野(指)、8番・大和(遊)、9番・戸柱(捕)、先発・宮國(右投)

楽天=1番・小深田(遊)、2番・鈴木大(一)、3番・茂木(三)、4番・島内(左)、5番・岡島(右)、6番・ディクソン(指)、7番・黒川(二)、8番・炭谷(捕)、9番・田中和(中)、先発・涌井(右投)

3失点の真相

先発は先月、押切もえ夫人との間に第ニ子女児が誕生した涌井だった。

結果は5回6安打3失点。奪三振3、与四球2だった。

この数字だけ見ると、5月以降は防御率7.52に沈む不調を踏襲しているように見える。

また、捕まった5回2死走者なしからの3失点劇は、2巡目の9番・戸柱の安打を起点に3巡目の上位中軸に3安打1四球を許していた。下記表のとおり今季の涌井は打者との対戦巡目が進むにつれて成績を悪化させている。本戦もそんな悪い傾向にハマってしまったかのように見える。

◎2021年 涌井秀章 対戦巡目の投手成績

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しかし、実際はちょっと違う。

調整の場だ。おそらく最初から5回までと言い渡されていたのだろう。
リードも5点と余裕があった。あとアウト1つという5回2死走者なしの場面で、優勝を狙うペナントレースでは決して試すことのできない配球を試していたのだと感じる。

右前へ弾き返された9番・戸柱には5球勝負全てチェンジアップだった。
続く1番・桑原には中前へ運ばれたが、この4球勝負も中段以高のストレート。

シーズン中には同一球種を4球以上続けることは滅多にないが、ここでのバッテリーは同じ球種を投げ切ることをテーマにしたのだろう。しかし、そうは問屋が卸さなかったというワケだ。だから、そういう冒険をしなければ奪われなかった3失点だった。

前半戦最後の登板になった7/10●E2-6Lは炭谷と2888日ぶりにバッテリーを組んだものの、移籍後ワーストの3回6失点。石井監督に「誰がキャッチャーをやってようが、何しようが涌井自身の内容がちょっと悪すぎた」と苦言を呈された。

しかし、本戦はそういうヒドさではなかった点は確かだ。

ただ、7月から続く変化球の精度がイマイチという課題は、本戦でも引きずったままの印象を受けた。

変化球47球で奪った空振りは4球と少なく、移籍1年目を支えたシンカーは高めに抜けたり低めにひっかけたりする場面が目立ち、7球投げたカーブはボール5球、ヒット1球と機能せず、といった状況だった。

約3週間ぶりの実戦だったが、後半戦へ向けて不安を残す内容だった点も、これまた確かなのだ。

絶好の打撃練習

それにしても、DeNAの三浦監督は楽天打線のために、素晴らしいお膳立てをしてくれたと思う。

というのは、先発・宮國、進藤、田中、三上とつないだハマの継投は、4人中3人(宮國、進藤、三上)が右のサイドスローだったからだ。

そう、左打者にとって右の横手投げは球の出どころ・軌道が判別しやすい。
選球しやすくなるわけだ。あとはバットのスウィートスポットにどう当てていくかの作業になる。

ペナントレースが中断し、本拠地は侍ジャパンの直前合宿に接収され、満足なトレーニングもできず実戦から遠ざかっていた楽天打線の、とくに左打者にとってはまたとない絶好の実戦演習の場になった。

結果は下記表のとおり、3人合計で22打数8安打、2本塁打、3三振、1四球、1死球、打率.364、OPS1.189と上々。
三上は打てなかったが、残り2人にはしっかり結果を作った。

◎楽天左打者vsDeNA右サイド投手

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島内の2発が大きかったわけだが、小深田の3安打1四球は全てこの対決で作ったもの。4打席13球勝負で空振りすることなく、ボール球にも手を出さなかった点は、右の横手投げにしっかり対応できた証拠だ。

今季は打率.140、OPS.363と極度のスランプに陥る田中和も、前日進藤から放った右前クリーンヒットに続き、本戦では宮國からセンター返しで出塁した。

鈴木大、黒川も右サイドからツーベースを弾き返しており、左打者は素晴らしい調整をすることができた。【終】

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