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【試合評】 その器は田中超えか。スケールの大きさを確認した連敗阻止の夜~9月5日○楽天6-1日本ハム

スケールの大きさを実感した連敗ストップの夜

球団史に残る未曾有の苦境を救ったのは、オコエ瑠偉と藤平尚真。
2015年と2016年のドラ1、若き勇士の躍動だった。

連敗ストップのMVPは、1にも2にも藤平だ。

優勝戦線の山場、大型連敗を喫し自力Vの可能性が消滅。
3位に後退したことで、多くの選手がガンジガラメの負のスパイラルに陥っていた。

そのなか、アマチュア時代から数多くの大舞台や国際大会を経験してきた19歳右腕が、前回8月22日ロッテ戦(○E6-2M)に続き、素晴らしいメイクアップと物怖じしない快投を繰り出し、2勝目をつかんでいる。

「来たるべき時が遂に来たか!」と思わせる快投だった。

6回終了時まで打者19人を無安打に抑えるノーヒットノーランピッチング。
四死球も初回3番・大谷に四球を与えたその1個のみ。
2回以降は5イニング連続のワンツースリーという完璧な内容。

5回終了時のグラウンド整備を終えて後半戦に入った6回以降からは、1球1球さらに釘づけになる固唾を飲む時間の連続で、実はこの日、富山まで遠征計画を立てながら断念したshibakawaさんを激しく後悔させるものになった。

NPBでは2014年5月2日ロッテ戦の岸孝之(当時は西武)以来3年4ヵ月ぶり。
楽天では球団史上初の快挙。
平成生まれではオリックスの西勇輝以来2人目。
もしかしてドラフト制施行後は18歳11ヵ月で史上最年少の達成?!
期待感募るなか、7回先頭の2番・松本に左翼線二塁打を弾き返され、快挙はお預けになったが、それでも十分すぎる7回1安打無失点だった。

エースが8回までゼロを並べても勝てなかったのなら、1本のヒットすら打たせない。
本人がそう思っていたかはともかく、僕らの目にはそのように映るピュアでイノセンスな109球で、釜田や安楽ら先達を押しのけ、藤平は岩隈、田中、則本の次に続くイーグルス4代目のエースに名乗りを上げた。

両軍のスタメン

楽天=1番・島内(中)、2番・藤田(遊)、3番・岡島(左)、4番・ペゲーロ(指)、5番・銀次(二)、6番・ウィーラー(三)、7番・アマダー(一)、8番・嶋(捕)、9番・オコエ(右)、先発・藤平(右投)

日本ハム=1番・西川(中)、2番・松本(右)、3番・大谷(指)、4番・中田(一)、5番・レアード(三)、6番・大田(左)、7番・渡邉(二)、8番・市川(捕)、9番・石井一(遊)、先発・上沢(右投) 

先制劇をお膳立てしたオコエのフェンス直撃級二塁打

1本のヒットすら許さない藤平の好投に打線が応じたのは、5回表のこと。
藤平が2番・松本、3番・大谷、4番・中田の上位中軸をわずか10球で退けて帰ってきた直後の攻撃だった。

口火を切ったのは、2死走者なしの9番・オコエだった。

「一発警戒ですね。2アウト、ランナーなし。オコエがめいっぱい行けるところですからね」。
"ガンちゃん"こと岩本勉氏の解説が終わるやいなやの一閃になった。

恐らく自身の一撃で1点を取りたいという気持ちだったのだろう。
快音残したラインドライヴ性の快飛球は、あと少しで柵越えという左翼フェンス直撃コースになった。
塀際でジャンピングキャッチを試みたレフト大田のグラブを弾いての悠々ツーベースで、チャンスメイクに成功。
続く島内の打席時にボークで三進すると、島内がしぶとく中前へ弾き返したチーム41イニングぶりの適時打で先制のホームを踏んでいる。(楽1-0日)

藤平が7回無死2塁のピンチを切り抜けた直後の8回表の4得点も、同じく2死走者なしからだった。

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