【試合感想文】 4/4西武4-0楽天:東北開幕戦ミス続出。負けに不思議の負けなし
散発4単打。今季初の零敗
2万4千人超の観衆を集めて行われた薄暮の東北開幕戦。攻守のあらゆるところでミスを重ねたイーグルスは今季初の零敗を喫した。
楽天のヒット4本は全て単打。2本の一発が出るなど開幕戦で17塁打を記録した打線は、先発・今井達也以下ライオンズ投手陣の前にわずかに4塁打に終わってしまった。
今井は2021年10/15から楽天戦4連勝。この4連勝の舞台は全て仙台。アウェーなのに完全に楽天モバイルパークの自分の庭としている。
いっぽう、開幕カード3連勝を飾った若鷹軍団は京セラドームに転戦。昨年激しい優勝争いを繰り広げたオリックスを6-1に退けて4連勝。はやくも2位タイの楽天、西武、オリックスに2.0差をつけ、開幕ダッシュの橋頭堡を築きつつある。
ミス続出。負けに不思議の負けなし
桜の見ごろを迎えた仙台での3時間07分の攻防。一言で言ってしまえば、ミスが多すぎた。
あれだけ攻守のあらゆるところでミスを重ねたら負けて当然。ノムさん語録を借りれば「負けに不思議の負けなし」なのだ。
なかでもヒドかったのは、楽天の勝利確率が限りなくゼロになった9回表の守備である。
この回からマウンドは小孫竜二。開幕前の実戦では最速152キロを計測し、力のある球を投げていた即戦力右腕が、まさかの乱調。緊張もあったのかもしれないが、先頭の4番・山川穂高から3者連続四球。球団史上初のプロ初登板0.0回降板を余儀なくされた。
この間には小孫のワンバン投球を捕手・安田悠馬が捕球できず股間抜けの暴投にしてしまうミスもあった。本塁手前に叩きつけたワンバンではない。しっかり制球したワンバン投球。現役時代は捕手だった野口寿浩さんが「ミットが浮いちゃいましたね」と解説した一幕もあった。
確かにドラ2の独り相撲もいただけなかったが、そこは新人。何事も今後の糧にしてくれればと思うのだが、ヒドかったのはこの後のこと。ノーアウト満塁で火消しに入った弓削隼人が、柘植世那に2点タイムリーを許した場面だ。
じつはこれ、バットの先で打たせてバットがかけた正面のドン詰まりゴロだった。それも弓削が捕球しやすいグラブ側に転がった完全1-2-3併殺コースである。ところが捕球できず(なぜ捕球できない!)、打球は内野前進守備をしぶとく抜けて中前へ達した。
弓削といえば、開幕2戦目の7回2死満塁でも投ゴが股間を抜けて適時投安にしてしまう守備ミスがあったばかりである。
攻撃では3回無死2,1塁、バントには定評のある9番・太田光の犠打失敗が痛かった。1回転しながら3塁封殺を決めた今井の好フィールディングもあったが、転がした打球が少し強すぎた。
また、初回1死1塁でフランコ5-4-3、2回無死1塁で島内宏明4-6-3、8回1死1塁でフランコ5-4-3とゲッツー3本の拙攻もあった。
とくに島内だ。結果球は外角151キロ真っ直ぐ。これを引っ張りにいっての4-6-3に倒れた。8回には辰己涼介も外角151キロをひっかけて一ゴに倒れていた。
コースに逆らわない打撃こそ基本である。外角ならセンターから逆方向、内角はひっぱって右方向が鉄則。しかし、こういうコースに逆らった打撃を目撃すると、状態は本調子ではないのだなと思ってしまう。
データでも明らかで、左打者が外角球を逆方向に運んだときヒットの割合は30%あるが、外角を右翼方向に持っていったときは23%に下がるのだ。(データスタジアム監修『高校球児に伝えたい!プロだけが知っているデータで試合に勝つ方法』より)
相手投手の隙を突いた西武、突けなかった楽天
数少ない見せ場の1つは、下位打線の7番から始まった3回裏の攻撃だった。
山﨑剛、黒川史陽の連打はいずれも2-2から。山﨑は粘って5球目を、黒川も7球目の低めチェンジアップを懸命に外野へ運んだ、この日唯一の連打攻勢だった。
この後、今季初スタメンの小郷裕哉が遊飛に倒れて3アウトになる直前までの今井の8球が勝負だった。(小郷の結果球がチェンジアップだった)
連打攻勢のおかげで、この8球チェンジアップは消えていたのだ。
この日の今井はストレート42.0%、スライダー25.7%、カットボール0.8%、チェンジアップ14.2%、カーブ5.5%の割合だった。そのうちチェンジアップが投げにくくなって消滅。狙い球を大きく絞ることができた状況にあった。
実際・・・(続く)
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