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【試合評】田中マー君が手にした課題と収穫~3/6●楽天1-2中日

開幕投手の涌井、ストライク率53.9%

結果だけ見れば、涌井らしくない内容だ。

現役最多10度目の開幕投手が決定したベテランは、キャリア通算の与四球率が2.68。移籍1年目の昨年も2.63を記録し、余計なフォアボール、簡単に与える四球を出さないことで、つとに有名だ。

ところが、この日は5回を投げて3四球。
ストライク率も53.9%の低さにとどまった。

昨年は初回先頭打者四球が1度もなかったが、本戦の立ち上がりに1番・大島を1-2と追い込んだ後、誘い球を3球連続で見切られ、フルカウントから1塁を与えてしまう珍しいシーンもあった。

これが涌井以外の、たとえば若手なら心配が募るところ。
しかし、マウンド上は経験豊富の涌井である。ボール球が増えたのも、調整の一環なのだろう。

実際、今季初の対外戦登板で2回無失点に抑えた前回2/26○E9-3Sは「ストライクが入るかどうかの確認だけ」という課題を掲げていた。

2度目の今回は前日に「ボール球を狙って投げられるようにしたい」という意気込みを報道陣に残しており、《故意にボールゾーンを使う組み立てを試みていた》と想像するのだ。

これが本当に球を操ることができていなかったら、1回無死1塁、2回1死満塁~2死満塁、3回1死2塁、どこかのタイミングで失点していたはず。

というわけで、僕は3四球はあまり心配をしていない。

いっぽう、継続して気にかけたいチェックポイントは、ストレートの平均球速だ。

この日は最速143キロ、平均140.2キロだった。

昨年の平均143.8キロと比較して3.6キロ減。
昨年の3/1ロッテ戦の141.6キロと比べても1.4キロ減である。

昨年は月間MVPを受賞した6、7月は、ストレートが走り被打率も.184だった。このことが開幕8連勝を生み出す原動力になっていた。

残り2登板、どこまで球速を上げてくることができるかに注目したい。

田中将、4回2失点も準備着々

復帰3登板目の田中将は涌井の後、4回から登板。合計4イニングを投げて6奪三振、1四球、3安打で2失点だった。

4回、5回は三者凡退に締めたが、対戦巡目が2巡目に差し掛かった6回2死走者なしから2点を失った。

4番・ビシエドに146キロの高め失投ストレートを左中間二塁打にされると、2死2塁で5番・高橋には追い込んだ後のスプリットの落ち際をバットの先でひろわれ、中前ポテンの同点打に。続く6番・平田の打席で二盗を許し、平田の当たりも一塁線を破る逆転ツーベースになった。

もったいないかたちで逆転を許したが、田中将は確実に7年間のブランクを埋めている。

というのは、被安打、与四球が投球回を下まわり、かつ、奪三振が投球回を上回ったのは、復帰3登板目にして本戦が初になったからだ。

空振り数も、2/20●E3-6Fは全39球で4球、2/27○E5-1Sは全42球で6球、本戦では全70球で10球と着実に増えている。

この日は最速149キロ、全70球の球種内訳はストレート23球、ツーシーム4球、スライダー23球、スプリット17球、カーブ3球、速球38.6%、変化球61.4%とMLB時代と似た比率だった。

伝家の宝刀スプリットは17球中、完全にストライクゾーンを見失ったボール球は2球のみ。大半がそれなりのところに投げることができており、そのうち何球かは絶妙軌道を描いた。

象徴的だったのは・・・(続く)

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