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【戦評】不満残る2勝1敗の若鷹軍団3連戦~7/21●楽天2-4ソフトバンク

※本稿は全文公開中、最後までお楽しみいただけます。

不満残る2勝1敗の勝ち越し

仙台の小中学校が夏休みに入った最初の日曜日。
首位・若鷹軍団3連戦の3戦目「リベンジ3タテ」をめざした戦いは、要所での投打がかみ合わず、2-4で惜敗した。

後半戦開始時にあった若鷹軍団との8.0差は、日本ハムのアシストと若鷹軍団の絶不調に、このカード勝ち越しで5.0差に詰めることができている。

この結果に合格点とみるファンもいるかもしれない。
しかし、厳しいことを言うようだが、ぼくには不満が残る。

長丁場のペナントレースもすでに第4コーナーに突入している。
相手が絶不調のとき、多少の無理をしてもアクセルを踏み込んで勝負を仕掛けることが必要だった。

この後、若鷹軍団との勝負は、お盆の8/13~8/15の仙台3連戦まで遠ざかることになる。

この間、楽天は6連戦に9連戦と過酷な連戦日程に突入。
とくに来週は岸も塩見もいない中、破壊力ある西武と一発攻勢に自信を深めているロッテとの6連戦が待ち受ける。

一方、ホークスは本戦で森が復帰したように、今宮をはじめ怪我人が続々戻ってくる予定だ。

ソフトバンクは後半戦チーム打率.121と絶不調。
怪我人続出で陣容も整わない若鷹軍団を、今こそ隙なくしっかり叩きたかった。
ゲーム差を4.0に詰めておきたかったが、この結末の影響が今後どうなるか、気がかりだ。

これでチーム成績は4位、88試合44勝42敗2分。
ゲーム差は1位・ソフトバンクと5.0、2位・日本ハムと2.0、3位・西武と0.5、5位・ロッテと2.5、6位・オリックスと5.0になった。

両軍のスタメン

ソフトバンク=1番・牧原(中)、2番・西田(遊)、3番・松田(三)、4番・デスパイネ(指)、5番・長谷川(左)、6番・内川(一)、7番・明石(二)、8番・甲斐(捕)、9番・上林(右)、先発・ミランダ(左投)

楽天=1番・茂木(遊)、2番・島内(左)、3番・浅村(指)、4番・ブラッシュ(右)、5番・銀次(二)、6番・和田(一)、7番・ウィーラー(三)、8番・下水流(中)、9番・堀内(捕)、先発・石橋(右投)

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打者の力量が上まわった長谷川逆転2ラン

石橋の今季成績は19登板(10先発)4勝5敗、防御率3.41になった。

痛かったのは、味方勝ち越し直後の6回、5番・長谷川の逆転決勝2ランだ。
石橋の被本塁打率は1.38。
1試合ほぼ必ず一発浴びる石橋の、本戦2本目被弾になった。

それも2死走者なしから4番・デスパイネに振り逃げ出塁された直後のできごと。

デスパイネは7/17日本ハム戦で左肘に死球を受けた後は11打席ノーヒット。
死球の影響で明らかに打撃の調子を落としていた。
石橋も変化球を低めに制球する丁寧な投球だったが、堀内が股間後逸の捕逸。
ファンの大半が「もったいない・・・」と溜め息をついたシーンだったと思う。

6回、打者24人、球数106、被安打4、被本塁打2、奪三振5、与四球0、与死球0、失点3、自責点1。

ただし、これは完全に打者の力量が上まわったもの。
石橋を責めるのは、少し気の毒すぎる。

堀内の配球も問題ない。
結果球の146キロ速球は、初球カーブから「緩急33キロ」をつけた球だった。
石橋も外角へほぼ投げ切っており、失投とは言えない。

その球を逆方向の左翼席に運ばれてしまったのだ。

この回先頭の2番・西田には、あわやホームランの大飛球を打たれた。
2-0からの失投を完璧に引っ張られヒヤリとしたものの、レフトからライトに吹く強い逆風が石橋を助け、塀際失速の左飛で事なきを得ていた。

それなのに、長谷川の左翼席行き決勝2ランは、逆風をものともしなかった。
試合後の長谷川談話を聞くと、狙い球ではなかったと発言。

緩急つけた狙い球でもない速球を、逆風の影響を受けないライナー性でスタンドに突き刺した長谷川の力量勝利と言える2ランだった。

直近6登板でQS5回とゲームメイク

それより、直近6登板でQS5回のほうが評価できる。

平石監督も石橋を上手く使っている。
中10日、中11日、本戦は中12日と、ところどころで長めの登板感覚を設けている。
急遽の先発転向でも必死に奮闘する石橋のガス欠を防ぐ配慮なのだ。

そのなか、石橋も期待に応えるパフォーマンス。
先発成績は2勝4敗、防御率3.07、QS率50.0%になった。

黒星先行は、ひとえに味方打線の不甲斐なさ。
石橋登板中の援護点は、1試合平均たったの1.40点である。

この日もまとまった援護に恵まれなかったが、ゲームを作った。

ここまで回先頭打者を出塁させた回は全失点の65.0%を喫していた。
そのなか、本戦では1度も回先頭を出さない。

被OPS1.024と分の悪い立ち上がりの初回もゼロに抑えた。

初回は若鷹軍団の積極攻勢に遭った。
6連敗中の悪いムードを払拭すべく、積極的にカウント球を狙ってきたホークス打線の攻撃を、力強い球威で封じ、わずか7球のワンツースリーをみせた。

3回は2巡目に入るタイミングでカーブを効果的に多投。
相手打線の狙いを惑わせる配球が効いた。

そのなか、元犬鷲戦士・西田に12球粘られるも、2度首を振って148キロを投げ込み、根負けせずの右飛に退けた。

白眉の150キロ!

この試合、石橋が堀内のサインに対し、ところどころで複数回首を振る光景があった。
この複数首を振った後の投球が見どころ!

2回2死1塁、8番・甲斐のフルカウント6球勝負は、5回首を振りサイン合わず仕切り直した後、再度3度首を振った後、内角へズバッと真っ直ぐを決める見三振。

1-1の同点で迎えた4回、唯一複数走者を背負った2死3,1塁、7番・明石との勝負はさらに圧巻。
フルカウントからの勝負球は、3度首を振った後に外角いっぱいに決めた本戦最速150キロのストレート。
バットをかついだまま明石をアウトにする白眉の見三振になった。

甲斐、上林が一発狙いの攻勢を仕掛けてきた5回をゼロに抑えたのも、素晴らしかった。
とくに上林は美馬の完封阻止のときにみせた低めすくい上げの打法を発動、そのなか、外野後方の中飛に仕留めて、前半戦を1-1で切り抜けた。

そして、なにより素晴らしいのは『2戦連続の四死球ゼロ』

楽天の先発投手陣は、ほんとうに四球を出さない投手が多く、楽天の武器の1つになっている。
美馬1.38、塩見1.40、岸は今季不調だがそれでも2.86、そのなかで石橋の与四球率は1.89になった。

チームに悪影響をまき散らす浅村のスランプ

好投した石橋を打線が援護したかったが、この日も2点どまり。

直近10試合28打数2安打と絶不調のウィーラーが久々に元気を取り戻し、得点に絡む二塁打2本を記録したのは朗報になった一方、複数走者を置いた得点圏でゲッツー含む2打席凡退した3番・浅村の音なしが際立った。

7/4に初めて4番起用された後は、36打数6安打の打率.167。
後半戦は15打数3単打の打率.200。

ここ最近の浅村について、解説・井上純さんも「完全に疲労だと思うんですよね」と指摘。
7/19には右膝違和感で途中交代したこともあり、本戦も浅村をDHで起用。

そのため、代役セカンドは今季初めて銀次を起用する布陣を敷き、銀次が守った一塁には2軍から右打ちの和田を上げて左腕ミランダ対策とした。

しかし、銀次はヒット1本放ったものの、浅村は4タコ全てゴロ凡打、移籍後初スタメンの和田も走者を置いた2打席で凡退に倒れて不発に終わった。

とにかく今は浅村のコンディションを回復させることが最優先だ。

そのなか、銀次のセカンド起用がこの後もたびたびあるのか、ないのか。
たびたびあるとすれば気がかりだ。
というのは、今季、銀次が打率3割を残せているのは、ひとえに一塁に固定されているから。

過去2年はセカンドも守ったが、二塁スタメン時は一塁スタメン時よりも打率が.055も低かった。
明らかに守備負担の影響が打撃にも顕在化している結果だった。

浅村DHが続くと、JBの右翼起用も続くことになる。
下半身に一抹の不安を抱えるJBにとって、疲れの溜まりやすいこの時期に右翼出場が続いてしまうのは、打撃にも悪影響を及ぼす恐れがある。

浅村のスランプ長期化が、銀次とブラッシュにも悪影響を与えかねない事態になっている。

気になる6月以降の悪化

9回は連投の青山が決定的な1点を奪われた。

青山は22球を投げて空振りゼロ。

ここ最近、青山は思うように空振りがとれず、奪三振能力に陰りが生じている。

今季の奪三振率は7.07。
しかし、5月までは9.00あった数字は、6月以降は5.06と明暗分かれている

6月以降は防御率も5.91とかんばしくない。

現在、青山はリーグ3位の41登板。
今年36歳のなかフル回転が続く疲労が、6月以降に顕在化しており、こちらも気がかりだ。【終】

・・・というような試合評を、後半戦もnoteしています。
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