【試合評】絶好機で石井監督が動かなかったその理由~5/20●楽天0-1オリックス

悔やまれる伏兵の決勝弾

零敗は今シーズン6試合目。
0-1敗戦は4/1●E0-H1、5/18●E0-1Mに続く3試合目になった。

決勝点は3回表に出た3番・大城の2号ソロ。

まだ序盤だっただけに十分取り返せる範囲内と思われたが、結果的には年間最多でも4発どまりの伏兵に左中間深部に浴びた一発が命取りになった。

失投ではない。映像を見返しても、捕手・炭谷の構えた外角ミットどおりに瀧中は投げ込んでいる。ただし、ボール先行2-0だったため、外角いっぱいを突くものではなく、外角に普通に入れてくる投球だった。

失投の要素よりも大きいのは、炭谷の配球カウント負けのファクターだ。

この日、瀧中は変化球の制球に苦しんでいた。

大城に決勝弾を被弾するまで、変化球のストライク率は37.9%。いつもなら62.2%を誇る精度が、20%超の大幅ダウンだった。とくに自慢のカーブは大城被弾まで1球もストライク入らず。全体でも12球で3球というありさまだった。

にもかかわらず、この場面、初球100キロのカーブが外れてボール。2球目・外角低め128キロのスライダーを見定められてボール。初球も2球目もストライク率低かった変化球で入ってしまったわけだ。

瀧中クラスの技巧派なら、ボール先行2-0になっても平然と変化球を使用する。事実、今季ここまで真っ直ぐを投げたい当該21球中じつに18球で変化球を投じていた。そのうち13球でしっかりストライクを取得することができていた。

しかし、この場面は変化球・変化球ときて2-0だ。いつもなら変化球を投じる場面だが、この日ばかりは制球が悪くて3-0になるリスクも高い。となると、必然、大城が狙いを絞った真っ直ぐを投げざるをえない。そういうことだったと思う。

だから、2球目までのどちらかはストレートを使用し、最低でもカウントを1-1に整えておく必要があった。炭谷も瀧中の変化球がイマイチだったことは当然把握している。だからこそ、僕は炭谷の配球に疑問符を抱いてしまった。

また、カウント負けの要素も強かった。

どんな投手でもボールが先行すると、打者有利の結果になってしまう。今季の瀧中もご多分に漏れず2-0を経由したときは、被OPS1.486、被打率.467。15打数7安打のうち4安打は長打(3二塁打、1本塁打)になっていた。

そういう意味で、あの場面は瀧中の失投の度合いよりも、配球の部分とカウント負けの要素が強かったと思う。

試合展開

オリックス=1番・福田(左)、2番・宗(三)、3番・大城(二)、4番・中川(一)、5番・マッカーシー(指)、6番・杉本(右)、7番・野口(遊)、8番・伏見(捕)、9番・佐野皓(中)、先発・田嶋(左投)

楽天=1番・西川(指)、2番・小深田(遊)、3番・浅村(二)、4番・島内(左)、5番・マルモレホス(一)、6番・辰己(中)、7番・鈴木大(三)、8番・炭谷(捕)、9番・武藤(右)、先発・瀧中(右投)

両軍のスタメン

無死満塁で無得点

ただし、あの場面だけをことさら取り上げて批判するのは、違うだろう。本戦敗因の最大の原因は、ひとえに打線にある。瀧中はゲームは作った。打線が打たなかった!

得点圏に打者9人を送り込んだのに、8打数0安打、4三振、1死球、あと1本が出なかった。

とくに1点を追いかけた4回は、四球、右安、死球で無死満塁のビッグチャンス到来。

なかでも先頭の5番・マルモレホスが良い仕事をみせており、0-2と追い込まれてから低め誘い球を何度も見きわめて四球をもぎ取っていた。今季ここまでわずか2球で追い込まれた39打席、マルちゃんは1度も四球を記録することができなかった。当該40打席目にして初めてもぎ取った四球だった。

にもかかわらず、8番・炭谷は中飛、9番・武藤は空三振、1番・西川は一ゴで1点も入らず。

統計学的に無死満塁は平均2.200点が入る状況なのだ。3アウトまでに1点でも入る確率は・・・(続く)

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