【試合評】大卒3年目覚醒の予感と看過できないドラ1の課題点~3/21●楽天4-8巨人

2018年大学No.1外野手、覚醒の予感

前日まで打率.400を記録し、オープン戦の首位打者に君臨した辰己涼介。最終日惜しくも島内に抜かれ打率.385で同2位に終わったが、「開幕前の有終の美」と言える特大弾を右翼席に突き刺した。

場面は3-3の同点で迎えた2回表の攻撃だった。
1死走者なし、相手は経験豊富な左腕の今村。
フルカウントまでもつれた9球勝負だった。

9球中3球が内角。直前も胸元を突かれるほど執拗に懐を攻められた直後。結果球のカーブが内寄りに甘く入ったところを完璧な打球角度で一閃し、左vs左を制圧した。

レフト・梶谷の足が全く動かず、スタンド上段までかっ飛んでいく超弾道は推定飛距離135mになった。

この一撃のように、今季の背番号8には驚かされてばかりである。

たとえば、3/6●E1-2Dだ。相手先発はローテ投手の柳。この日は速球が走り、小深田と茂木がファストボールで2打席凡退させられるなど、楽天打者は詰まらされてばかりで5回無失点の好投を許した。

そのなか、柳のストレートを完璧に攻略し、左翼ポール際フェンス直撃ツーベースを打ち返したのが、180cm74kgの大卒3年目外野手だった。

3/17○E13-1Bでは、2-2と追い込まれながらも二塁打を放った。驚くことに、変化球をマークしながらの速球撃ちだった。

打者は基本ストレート待ちである。速い球に合わせ、それより遅い変化球対応は可能だけど、変化球に照準を絞りながらの、それよりスピードのある速球撃ちは、差し込まれるため、至難の業だからだ。

ましてや相手は故郷・静岡凱旋登板で気合いの入った竹安。そんな右腕の真っ直ぐを、「上手く打てました」と自賛の一撃に変えてみせた。

2月練習試合を含む成績は79打席で打率.418。28安打のうち長打15本(二塁打9、三塁打3、本塁打3)を放ち、ホームラン3本は昨年の本塁打王・浅村を抑えてチーム最多である。

2年目の昨年は一発を4→8本へ倍増。純粋な長打力を表すISOも.089からリーグ平均値(.131)を超える.155をマークした。しかし、夏バテによるガス欠で打率は相変わらず低迷したことで、OPSは.639→.664の微増にとどまった。

今季は広角打法を身に着け、ヒットの40.7%を左翼~左中間の逆方向で記録。コースにさからわず、鋭い打球を弾き返すができるようになった。

自主トレで座学を取り入れた

オフにトレーニングコーチの小山光久氏に師事した自主トレで相当濃密な時間を過ごしたのだろう。

そこでは実践だけでなく座学も取り入れられていた。
頭の中を整理するためホワイトボードに板書した写真が、Instagramのストーリーズに掲載されていた。

以下はその板書された打撃理論になる。

「1:振り出し・・・たて振り」
バットを捕手側におとすイメージだが、実際はスウェイしながら左肘を身体の中心に入れていく

「2:インパクト」
バットが左肩の後方をとおりながら第2のスウェイが先!!で回線していく

「3:第3のスウェイ」
インパクトと同時に左小指が投手側に出ていく。左半身の前方移動。

辰己を測る「絶好のものさし」

2018年のドラフト1位。当時の『野球太郎』ドラフト直前特集号では「これぞ正真正銘の三拍子」と紹介され、、、(続く)

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