【試合評】松井裕樹に起きた約30分33球異変劇~10月1日●楽天2-5ロッテ
悪夢の2連敗
CS仙台開催へ負けられないラストスパートの楽天。
しかし、本拠地に最下位ロッテを迎え撃った週末2連戦は、予期せぬ痛恨の2連敗になった。
敵軍主砲の技ありの2戦連発に、下位打線の伏兵に活躍を許す内容。
打線は体調不良のペゲーロとオコエを欠く布陣で初戦は3得点、2戦目の本戦は2点止まりと、9月以降の1試合平均3.63得点すらも下まわった。
同日、西武は札幌で日本ハムを5-0で降して快勝。
これで2位・西武とのゲーム差は直接対決を前に、9月24日以来の3.0に広がっている。
◎パリーグ2位進出ライン (10月1日終了時)
遂に瀬戸際中の瀬戸際に追い込まれた。
上記表のとおり、もし西武が楽天2戦を含む残り3試合を3敗で終えた場合でも、楽天が2位浮上するためには、残り8試合で6勝の白星が必要とされる。
巨費を投じてFAで岸を獲得、シーズン中にはこれまた大金でクルーズを緊急補強しながらも、夏場の大失速。
これでCS本拠地開催を逃すと費用対効果に見合わないということでオフには解雇という一部報道も流れている梨田監督の首は、今や皮1枚残す状態だ。
8回まで決まった継投作戦
楽天先発は辛島だった。
約2週間ぶりの先発で自己最多9勝を目指した左腕は、今季koboパークで7試合0勝5敗、防御率7.02と結果が出ていなかった。
鬼門の本拠地だったが、緩急を巧みに駆使し、6回を2安打1失点の好投で仕事を終え、7回から継投作戦に入っていた。
7回表は来日初の3連投になった二番手ハーマン。
3連投はMLBでも2011年6月1日~同3日の1度のみ。
3Aでは経験なしと、ほとんど経験のない登板だった。
先頭打者に四球を出した後、制球を乱す。
1死1塁で6番・鈴木との対決でもボール先行3-1。
3-1からの第5球目は絶対にストライクを取りたい場面だった。
そのため、球威が削がれてしまうクイック投球ではなく、足を上げてスピンの効いた勢いある球をしっかり投げ込んでいきたいという狙いだったのだろう。
しかし、その足を上げて投じた投球が、この日投じた速球では一番遅い141kmを記録し、かつ、真中に甘く入る失投...
これを敵軍主将が逃すはずもなく、ひっぱり痛打され、あわやホームランかという右越えウォーニングゾーン着弾のツーベースになった。
一気に1死3,2塁のピンチに立たされたが、パラデス、福浦と左打者を立て続けに送り込んできたロッテの代打攻勢を2者連続三振でしのぎ、辛くもゼロでベンチに帰ってきた。
両軍のスタメン
ロッテ=1番・加藤(右)、2番・荻野(中)、3番・角中(左)、4番・ペーニャ(指)、5番・中村(遊)、6番・鈴木(二)、7番・井上(一)、8番・吉田(捕)、9番・大嶺翔(三)、先発・酒居(右投)
楽天=1番・岡島(右)、2番・藤田(二)、3番・茂木(遊)、4番・ウィーラー(三)、5番・銀次(一)、6番・アマダー(指)、7番・島内(中)、8番・聖澤(左)、9番・足立(捕)、先発・辛島(左投)
藤田の仕事光る、待望の勝ち越し点
楽天に勝ち越しの得点が入ったのはその直後、7回裏のことだった。
戦端を切り開いたのは9番・足立である。
9月14日西武戦(●E1-2L)以来の先発出場になった2年目捕手が、先頭打者ヒットで出塁した。
今季の足立は2ストライク以降の打率.088。
追い込まれてしまうと成す術なしだったが、この場面は低めの難しい変化球を根性で左前へ弾き返すと、レフト角中がファンブル。
1ヒット1エラーで一気に2塁に達すると、続く1番・岡島がバントを決め(真のバント成功率は76.9%に)、1死3塁。
お膳立て整い、決めたのは2番・藤田だった。
9月以降、調子を上げてきたベテランが、高め速球を右犠飛に。
バックホームが来ず、3塁走者が悠々生還できる飛距離まで飛ばした。
この日、ロッテ先発・酒井のストレート平均球速は141.7km。
しかし、球数110球を超え、スタミナ切れで球威に陰りが生じた139kmをしっかり弾き返す「仕事人らしい打撃」で、楽天に勝ち越しの2点目が入る。
試合展開はすでにどちらが1-1からの次なる1点を取るか?に焦点が集まっていたため、大きな仕事になった。
これで走者を3塁に置いたとき、9月8日オリックス戦(●E2-4Bs)、2点を追う7回1死満塁で二ゴを起点に、藤田は5打席連続で3塁走者をホームに呼び込む仕事ぶりになっている。
2-1と勝ち越し直後の8回表は、福山が今季初の4連投のマウンドに。
しかも、ナイター明けのデーゲームというナイトデーでの4連投だった。
その点少し心配したが、ゴロを打たせる持ち味を発揮。
ヒット1本を許したものの、それもゴロ安打で、3つのアウトを全てイージーゴロで取る内容で任務を完遂した。
背番号1に起きた「異変」
8回裏、楽天は二番手チェンの前に無得点。
2-1のまま最終9回表にやってきた。
当然、マウンドは背番号1。
場内には勝利のアンセム、Fall Out Boyの「Centuries」が流れ出す。
しかし、振り返ってみれば、マウンドに飛び出したときから松井裕の表情はどこか硬かったように感じる。
球団史上6人目の通算200試合登板、生え抜きでは青山、片山に続く3人目。
そして自身最多34セーブを目指したメモリアル登板は、まさかの結末になった。
松井裕が1試合4失点以上を取られたのは、昨年の悪夢のロッテ戦、5月5日(●E8-15M)以来のこと。
今季、リードした状況で登板し、逆転を許してセーブ失敗したのは、1点リードの8回1死2,1塁で前倒し投入されながら、エラーで満塁、松田、中村晃に連続タイムリーを浴びた7月2日ソフトバンク戦(●E4-5H)以来、2度目のことになった。
マウンドでの投球練習のときから、異変の序章は始まっていた。
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