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【戦評】思わず息を飲んだ、鷲投手陣の「火事場の馬鹿力」~6/20楽天○2-1オリックス

三木イズム注入の小郷がみせた決勝生還

終盤8回に一気に突き放した開幕戦の快勝劇から一夜明けた京セラドーム。
ナイトデーで行われた2戦目は延長10回、ベンチ入り26人中21人を動員する《ヒリヒリしたロースコアゲーム》になった。

残塁は楽天12に対し、オリックスは16。楽天16、オリックス20の得点圏打席が示すように、両軍とも序盤からチャンスを作る。しかし、ともに「あと1本」の決め手に欠き、4時間18分は体感ではもっと長く感じられる一戦になった。

楽天投手陣が得点圏に走者を背負ったのは、合計8イニングにも及んだ。
ピンチの連続をしのぎにしのぎ、延長10回ようやくつかんだ決勝点も、敵軍の適時失策によるもの。

2死2,1塁で銀次の放ったゴロは、一塁線を締めて守ったファースト中川の正面に転がる当たりだった。

本戦の勝利は消えたかと思われたそのとき、中川が後逸。現役生活の最晩年を新規参入したばかりの仙台で送った大島公一さんの解説によれば、丁寧に行き過ぎた結果のエラーだった。

このとき、代走・小郷が2塁から決勝のホームインに成功している。

外野に転々とする隙を突き、自慢の脚力を飛ばして一気に本塁突入。ライト小田からの強肩返球との競争は、バックホームが一塁側にやや逸れたことも相まって、勢い良く頭から飛び込んだ小郷が制し、若月のタッチは追いタッチに。この走塁が評価された小郷は、今季初のヒーローインタビューに呼ばれた。

当たり前のことに対し、一切手を抜かなかった小郷の勝利だ。

もし銀次が一ゴを弾き返したとき、最後まで見届けずに3アウトだと勝手判断して流して走っていたら・・・。「おおさき福男福女えらび」で福男に輝いた小郷といえども、おそらく本塁に辿り着けなかったはず。

独断せずに最後まで全力疾走した賜物が、決勝の生還劇を生み出した。基本の「き」とも言えるプレーだが、なかなかできることではない。昨年ファームで三木野球を叩きこまれた彼ならではのナイスランになった。

延長10回を2-1でモノにしたイーグルスは開幕2連勝!
同日、開幕戦白星発進したホークス、ライオンズが揃って敗れたことで、イーグルスは昨年6/24以来ちょうど1年ぶりの単独1位浮上となった。

◎両軍のスタメン

楽天=1番・茂木(遊)、2番・ブラッシュ(指)、3番・島内(左)、4番・浅村(二)、5番・鈴木(三)、6番・ロメロ(右)、7番・銀次(一)、8番・太田(捕)、9番・辰己(中)、先発・松井(左投)

オリックス=1番・T-岡田(一)、2番・ロドリゲス(指)、3番・吉田正(左)、4番・ジョーンズ(右)、5番・中川(三)、6番・大城(二)、7番・若月(捕)、8番・廣澤(遊)、9番・後藤(中)、先発・田嶋(左投)

◎試合展開

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鷲投手陣がみせた「火事場の馬鹿力」

それにしても、20打席に及んだ得点圏打席(※)でヒット1本に抑えた、楽天投手陣の火事場の馬鹿力は鬼気迫るものがあった。

※・・・1回2死3,1塁、中川二盗死の大城の終了打席を含む。

たとえば、移籍初登板になった酒居である。
4回1死3,2塁、中川、大城と右打者6球勝負になったが、そのうち3球で・・・(続く)

この続きは、noteマガジン『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記:2020前半戦』でどうぞ。コロナ禍の非常時、パリーグの勢力図を塗り替える三木楽天の挑戦を試合評/コラムで綴ります。また、同内容を『まぐまぐメルマガ』でも配信中。『まぐまぐ』は新規登録初月は無料のお試しサービスを実施中です。みなさんもぜひ僕たちと共に応援しませんか。新たな読者さん、お待ちしております。

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