【試合評】浅村栄斗1500安打で打撃復調の兆し。見守りたい内間拓馬の記録~6/10○楽天6-2中日
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復調を感じさせた主砲の必殺球撃ち
FA3年目を迎えた浅村が、5/18E○E3-2以来となる今季4度めの猛打賞。
6回1死1塁で藤嶋から放った右安で通算1500安打を達成、NPB史上140人目にして平成生まれでは初の快挙を飾った。
1塁走者・小深田との間でランエンドヒット3,1塁を作る右前行きの“記念碑”も素晴らしかったが、それ以上に鮮やかなバッティングを披露したのは、3回無死3,1塁での先制打だった。
敵軍先発・勝野のフォークを左前へ弾き返す一打に。
2018年ドラフト3位で三菱重工名古屋から中日入り。6月12日の誕生日を目前に控えた23歳はプロ3年目の今シーズン、開幕ローテーション入りし3勝をあげてきた。防御率も3.54と悪くない数字だ。
その躍進を支えるフォークである。
高いリリースポイントから投げ下ろされる平均136.0キロは、本戦でも全体の26.0%と多投するマネーピッチだ。
当該被打率は1割台。某シンクタンクが集計するPitch Valueの数字を見ても12球団で上位にランクインする出来の良さになっていた。
実際、本戦でのフォーク20球の内訳は以下のとおり。
空振り4球 (空三振2含む)
カウント稼ぎファウル4球
ボール7球 (四球1含む)
凡打4球 (全てゴロ)
安打1球 (浅村の左安)
結果球ベースでは7打数1単打2三振1四球。
経過球を含めても全体の約6割が勝野有利の結果になっていた。
そのなか、唯一のヒットを演出したのが、オールスターの中間発表で10万超えの得票を獲得しパリーグ二塁手部門トップに立つ背番号3だった。
初球は外角低め真っ直ぐがはずれてボール。
2球目はフォークで低めに誘われて空振り。
仕留めた結果球は1-1からの3球目、続けて低めに投げてきた135キロのフォークだった。
低めは打球角度のつきにくいゾーンにあたる。
かつ、フォークはゴロ率が高くなる球種だ。
このシーン、もしゴロになっていたら6-4-3の併殺網にひっかかる恐れもあった。現在、浅村の併殺打は11本。これはセパ両リーグで最多本数なのだ。
ゲッツーの間に三走生還して1点は入ったとしても、2点目は入らなかったであろう展開になることも容易に想像できた。
そんな難球に対し、ゴロを打たされることなく角度のついたライナーで左前へ。三遊間の内野守備網の上空を射抜くクリーンヒットで応戦してみせた。
低めの投球に対し、バットが理想のかたちで入っているからこそ成しえた先制劇だったのだろう。前日は試合後の夜11時近くまで室内練習場で黙々とバットを振ったという主砲。その修正が実を結んだ一打になった。
浅村の月間打率は3・4月.326、5月.286だが、6月.152と低迷にあえいでいた。
6月はゴロ率53.8%と打球に角度がつかずゴロを打たされるケースが急増。そのことで率を下げていた。
しかし、勝野の攻略難しい落ちる球をライナーで弾き返したこの先制打や、そのほかの2本もいずれもライナーだったことをみると、打撃復調の3安打と言えるのかもしれない。
6月に入りチーム打率は.299と絶好調だ。
この数字は12球団ではDeNAに次ぐ2位の好数字である。
小深田.436、鈴木大.432と1、2番コンビが意気軒高。
4番・島内も.375と当たっており、5番・岡島も引き続き.316と調子を維持している。
そこに3番・浅村の状態が上向いてくれば、1番から5番まで全く途切れのない打線ができあがることに。リーグ戦再開へ向けて主砲の再始動が、8年ぶりの優勝へ首位独走を決めるカギになる。
◎試合展開
◎両軍のスタメン
中日=1番・大島(中)、2番・高松(左)、3番・高橋周(三)、4番・ビシエド(指)、5番・福留(右)、6番・堂上(遊)、7番・木下拓(捕)、8番・阿部(二)、9番・滝野(一)、先発・勝野(右投)
楽天=1番・小深田(遊)、2番・鈴木大(一)、3番・浅村(二)、4番・島内(左)、5番・岡島(右)、6番・茂木(三)、7番・銀次(指)、8番・足立(捕)、9番・辰己(中)、先発・瀧中(右投)
しまんちゅ躍進
4点差開いた最終回、松井ではなく内間で乗り切ることができた点は大きかった。
4点以上のリードで突入した9回はここまで12試合。
そのうち3試合で松井が登板していた。
4点以上ではなく『4点リードの9回』という条件設定では当該6試合のうち松井が3試合。セーブ機会ではないが、リードが4点の場合だと守護神が行かざるをえない場面もあった。
好調のチーム状況に加えて、そういう行かざるをえない状況が63試合を終えてパ最多タイ31登板という登板数の多さを作っていた。これがこのまま続くようだと松井はパンクしてしまう。
本拠地初登板になったしまんちゅは、8番・阿部から始まる恐竜打線を12球でワンツースリー。
今日も制球安定していた。ゾーンで果敢に勝負することができ、ラストバッターの大島には150キロを詰まらせて中飛に退けてみせた。
内間と言えば、大学通算の与四死球率が5.06だった。
ここでも何度か指摘したが、昨年ドラフトの新人投手は総じてアマ時代の与四死球率が悪い。
実際、2軍での与四死球率は高田孝4.99、藤井6.52、内18.00、石田18.41と絶句レベル。イーグルス2軍の防御率がイースタン最下位4.76を記録するのも、四死球連発が大きな原因なのだ。
ところが、内間は1軍で6.1回・打者21人と対戦して四死球ゼロ。
全86球のストライク率は64.0%と上出来。素晴らしいピッチングを継続している。
もちろん、ここまでの6登板は試合の勝敗に影響を与えない場面だった。
3点以上ビハインドで4試合、4点以上リードで2試合という内訳だ。
プレッシャーが少ないぶん、変に力むことなく投げられているという側面もあるが、それを考慮してもここまでは上々。アピールが実って役職が上がったときにこれを続けることができるか。その辺りも注目してみたい。【終】
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