【試合観戦記】 7/7楽天3-5ソフトバンク:矛と盾の対決。明暗分けた8回2死満塁は右キラーの左打者vs左キラーの右投手に
3ヵ月間、善戦してきたブルペン陣
惜しくも昨年の「七夕3連勝の再来」(※)は叶わなかったが、左3枚を擁して2勝1敗と勝ち越した福岡3連戦。
若鷹対策を他球団に示唆する善戦ができたのでは?と感じる。今年の楽天10大ニュースに暫定的に入れておきたい3ゲームシリーズだった。
7回終了時にリードした展開では、今季ここまで26勝1敗を誇った楽天。
しかし、本戦は1点リードの8回、三番手・酒居がつかまり、代打・柳町に走者一掃の逆転決勝スリーベースを許し、戦況は決まった。
リリーフ投手が最もしてはならない行為は、リードした場面で登板し、逆転されて自らに黒星がつくことだ。
その点で言えば、●4/6H5-4E(楽天モバイル)のターリー以来、今季2敗目。逆を言えば、3連投回避を掲げて起用法が改善され、状態が整ったブルペン陣が、この3ヵ月間いかに奮闘してきたかの証拠とも言える。
ちなみに、昨年は西口3敗を筆頭に当該黒星は8個あったことを考えると、今年は開幕75試合で2個だから上出来だ。
ここまでリーグ2位の20ホールドを積み重ねた酒居を責めることはできない。
酒居のリズムを乱した敵軍走者の好走塁
6月中旬以降、同点またはリードした展開の8回は基本、酒居が任されている。
この日も2番・今宮からの上位中軸を制圧するためマウンドへ向かったが、2安打2四球(敬遠1含む)で3点を失った。
酒居を窮屈にさせたのは、1死2塁、4番・山川の三ゴの場面だった。
初球低めフォークから入る勝負球の配球。
思惑どおり右の強打者にひっかけてのイージーゴロを打たせることに成功した楽天バッテリーだった。
しかし、1塁送球間に、2塁代走の野村勇に三進の好走塁を許してしまう。
これで2アウトながらも1点差で3塁までいかれたことで、31歳右腕のリズムが微妙に狂い始めたと感じた。
浅村も送球前に2塁へ目線をやって警戒していたが、したたかに3塁を盗まれてしまった。
3塁にいるから、暴投リスクのあるワンバンは投げにくい。
続く近藤を警戒して2-0から申告敬遠は織り込み済みだとしても、2死3,2塁、6番・中村晃への4-1四球は、3塁にランナーを置いたことでコントロールの微妙なさじ加減が難しくなったことで発生したフォアボールのように感じられた。
右キラーの左打者vs左キラーの右投手
そして2死満塁、代打・柳町だ。
オールストレートの4球勝負。
結果球は1-2から内角ストレートだった。
これを右翼線へひっぱられ、鋭いライナーが鈴木大の横を切り裂いていった。
じつは今季の柳町は右投手キラーだった。右から打率.380、OPS.887を残していた。
もっと言えば、ストレート打率.412とファストボールに強かった。
慶応高~慶応大と津留﨑と同じキャリアを歩み、六大学では早大の早川隆久から満塁弾も放った「元祖慶応のプリンス」は、プロ入り後はvs右投手のプラトーン要員としての起用が主になっている。887打席の79.5%に当たる705打席はvs右。つまり、若鷹軍団の中では右投手に特化した右キラーだった。
いっぽう、今季の酒居は左打者をよく抑えていた。
対戦打者の左右別の成績をみると、右打者には打率.227、OPS.610だったが、左打者はそれを上まわる好成績で.196、.425と上々。左打者48人と対戦して長打は1本も許していなかった。
だから、あの場面、まさに矛と盾の対決だったわけだ。
結果球は太田が構えた内角ミットどおりに投げきったストレート。失投ではなかった。
太田のミットにマウスのポインターを置いた状態で観るとわかりやすい。ミットへズバッと入ったストレートだった。
あえて言うなら、1-2とボールカウントに余裕があった。もっとインコース厳しく・・・(続く)
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