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【試合観戦記】 8/2ソフトバンク7-0楽天:勝ち頭左腕を襲った「球宴後遺症」。敵先発を楽にさせた初回無死1塁バントの愚。しかも失敗...

オールスターの呪いは発動してしまうのか・・・

恐れていたことが現実になってしまうのか──

開幕左腕・早川隆久と並ぶチームトップタイ7勝の勝ち頭だった藤井聖が、自己ワースト7失点。4/21○E1-0L(ベルーナドーム)から続いた連勝は7でストップし、今季2敗目を喫した。

プロ野球の世界、オールスターを境に成績が線を引いたように明暗分かれるケースがある。

常に謙虚な27歳と同じ技巧派左腕の例で言えば、2011年の武田勝だ。

現在オイシックス新潟の投手コーチを務めるノムさんの教え子は、あの年の前半戦9勝5敗、防御率1.21の活躍で自身初のオールスターに出場。

しかし球宴で4被弾9失点とボコボコにされ、それで調子が狂ったのか、後半戦は2勝7敗、防御率4.26と数字を落とした。シーズントータルの数字も3年連続二桁勝利も、12敗はパリーグ最多黒星だった。

楽天の左腕で言えば、現イーグルスのアカデミーコーチの有銘兼久を思い出す。

2009年だった。前半戦30試合に投げて12ホールド、防御率3.73。この活躍が認められて初の球宴選出されたが、晴れ舞台で1アウトもとれずに大炎上する。

降板後は近鉄で同じ釜の飯を食べたオリックスの大村直之に説教くらった光景は今なお語り草。有銘もこれで歯車が狂ったのか、後半戦は防御率8.76と苦しんだ。

そういう過去の例があっただけに、神宮に舞台を移した7/24オールスター2戦目、広島・坂倉将吾に球宴57年ぶり満塁弾を浴びるなど4失点したときは、この後のことが思いやられたのだ。藤井本人は「逆にいい爪痕を残せたなと」というコメントを残したが、はたしてどうなるのか?と...

注目を集めたオールスター明け初のマウンドだったわけだ。

楽天スーパーナイターの歴代成績

年に1度の楽天スーパーナイターで6回8安打7失点は残念。しかし、藤井にとって大事なのは次回登板だ。長丁場のシーズン派手にやられることはあるかもしれない。しかし2戦連続となると、球宴を入れて3戦連続となってしまうと、話は異なってくる。だから次回リベンジに期待したい。

序盤から主導権を握られたなか、味方打線は覇気なし。

4安打は全て単打に終わり、楽天主催の東京ドームで零敗は、2019年5/16●F2-0Eに続く2度目。当該通算成績は19年から3連敗となり、6勝6敗になった。これでは三木谷オーナーもおかんむりだ。

試合展開

ソフトバンク=1番・今宮(遊)、2番・周東(中)、3番・栗原(三)、4番・山川(一)、5番・近藤(指)、6番・正木(右)、7番・柳町(左)、8番・甲斐(捕)、9番・牧原(二)、先発・大山(右投)

楽天=1番・小郷(右)、2番・村林(遊)、3番・辰己(中)、4番・浅村(三)、5番・鈴木大(一)、6番・中島(左)、7番・フランコ(指)、8番・小深田(二)、9番・太田(捕)、先発・藤井(左投)

両軍のスタメン

新人・大山の要所投げきりピッチに舌を巻いた

相手先発・大山凌はドラフト6位の大卒新人(白鴎大足利高~東日本国際大)

2軍で先発ローテとして経験を積み、5/5、5/25、6/4とウエスタンで3登板連続の7回HQSとアピールし、6/9に1軍初昇格するとそこから下に落ちることなく1軍帯同を続ける22歳ルーキーだった。

プロの世界を歩み始めたばかりの新人が、ここぞの要所でストライクからボールゾーンにベストピッチを2度披露。楽天打者はいずれも対応できなかった。

1度目は1点を追いかけた2回だ。2アウトから中島の二ゴを牧原が3戦連続エラー、続くフランコは死球。もらったチャンスの2死2,1塁だった。打席は8番・小深田。前日は今江監督がつきっきりで長期間打撃練習に付き合っていたという打撃不振に悩めるコブの第1打席だった。

カウントは2-0。膝元変化球が2球はずれて打者有利カウントになっていた。3球目も膝元へ。カットボールがストライクからボールに変化していく誘い球。見逃せば、当然ボールで3-0と俄然有利になる。経験に乏しい右腕にプレッシャーを与えることができる。しかし、コブのバットは誘い出され空振り。結局、この後2-1から中飛に倒れてしまった。

2度目は4点差を追った4回だ。若鷹打線にコツコツ点を積み重ねられ点差は広がっていたが、この回は絶好の反撃チャンスだった。先頭の3番・辰己がチーム初安打、1死後に鈴木大が死球、中島が大卒新人対決を制して右前へ弾き返し1死満塁をお膳立てした。

バッターボックスは今季すでに満塁本塁打を2発放っているフランコ。3ラン以上おじさんの打棒に期待集まる場面だった。

勝負は1-2から外角低め変化球がはずれて2-2と平行カウントへ。次なる1球に注目集まったが、低めにストライクからボールへの変化球を投げきられ、あえなく空三振に倒れてしまった。

見逃せばボールで満塁フルカウントと逆に投手が追い込まれる場面で、よくぞ低めボールゾーンに投げきったという敵ながら一目置かざるをえないシーンだった。

満塁初球を見逃しストライクにしてしまったコブさん

フランコ空三振に倒れて2死満塁、小深田に2打席目がまわる。

このタイミングでホークスは継投へ。大山を54球で諦め、二番手で社会人卒の新人右腕・澤柳亮太郎を投入してきた。

結果は4球勝負となり、小深田の空三振に倒れたが、Xにも書いたけど、なぜコブは初球を振りにいかなかったのだろう? 初球は外角140キロの真っ直ぐだった。

4回2死満塁、小深田vs澤柳の配球図(赤=ストレート、青=フォーク)

この後、真っ直ぐは147キロ、147キロと外角低めいっぱいに厳しく投げ込まれた。ボール、見逃しストライクとなり、1-2からのラスト4球目は低め絶妙フォークボール。これに空三振してしまった。

だから、一番対処しやすくて球速もない、置きにきたかのような球がアウトハイに普通に収まった初球ストレートだったのに、コブは見送ってしまったわけだ。

コースに逆らわずコツンと逆方向に合わせて左前へヒットを飛ばせばよかったのに、バットをかついだままだった。それだけコブ本人の状態が良くないのだろう。絶好チャンスなのに、調子の悪さが逆にコブを追い込んでしまった、そういう状況を作ってしまっていたのかもしれない。

また調べてみると・・・(続く)

...続きは『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記2024』でどうぞ。

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