【戦評】敵軍正捕手の悩みをよりいっそう深くさせるロースコア勝利~8/28○楽天2-1西武
敵軍正捕手の心は折れたか
前日は今季最大15得点差15-0の完勝、ペナントレース折り返し地点を迎えた本戦は引き締まった投手戦をモノにする好ゲーム。上位4球団が5.5差でひしめく混パのなか、イーグルスは連日素晴らしい勝利を飾っている。
単打ばかり7安打の2得点。もっと点を取って則本以下投手陣を楽にしてほしかった。そんな意見もあるかもしれない。
でも2-1というロースコアは、敵軍に与えたダメージを想像するに、効果的だったと思う。
とくに西武の正捕手・森だ。
ご存じのように、前日はスタメンマスクをルーキーに譲り、シーソーゲームで味方が逆転した終盤から途中出場していた。
しかしマスクをかぶってリードした勝ちパターンが打たれ相手に勝ち越しを許してしまう。万事休すかと思われた9回裏、同期入団で兄貴分として慕う山川のサヨナラ打で再逆転。8x-7のルーズヴェルトゲームでチームの連敗は5で止まるという劇夜になった。
森は昨年の首位打者で選手会長だ。チームを引っ張る立場なのに、今季は攻守ともに精彩を欠いてきた。緊急事態宣言の4/14には『FLASH』に女性報道をすっぱ抜かれる“お騒がせ”も記憶に新しい。
そんな自らの不甲斐なさが、大粒の涙となり堰を切って溢れ出たのだろう。ナインが興奮のるつぼのなか、ベンチで号泣する森の姿は話題になり広く伝えられた。
7年目の25歳にとって一夜明けて仙台に乗り込んだ本戦は、改めて闘志を入れ直し期する一戦になったはずだ。
ところが、接戦の投手戦で好投したニールに白星をつけてあげることできない。バットでも快音なく、9回2死のラストバッターで迎えた4打席目も空三振に倒れてしまう。
前日とは違う「また別の悔しさ」は、心折れてもおかしくないと思う。
本戦の結果を土曜日、日曜日にも引きずる可能性があると僕は見ている。
鈴木、月間38安打の球団タイ記録に
試合後、お立ち台に登壇したのは則本と岡島。
則本は苦手ライオンズ戦で好投し、6回4安打1失点で今季5勝目。
2年ぶりに帰ってきた岡島は5回無死2,1塁で先制決勝打、2夜連続のヒーローになった。
鈴木は今シーズン25度目のマルチヒット。打率を.343に上げ、3位・近藤健介に1厘差に肉薄。8月月間打率.396と絶好調で月間38安打は昨年8月に島内が作った球団の月間安打記録に並ぶ快挙になった。
チーム成績は3位、60試合31勝26敗3分の貯金5へ。
各種戦績は、直近10試合4勝5敗1分、8月12勝10敗2分、西武戦7勝4敗1分、楽天生命パーク19勝13敗1分、カードの初戦7勝5敗、1点差ゲーム5勝6敗、連戦日程4日目以降12勝14敗1分に。
ゲーム差は1位・ソフトバンクと3.5、2位・ロッテと1.5、4位・日本ハムと2.0、5位・西武と6.5、6位・オリックスと11.5になっている。
◎両軍のスタメン
西武=1番・木村(右)、2番・源田(遊)、3番・栗山(左)、4番・山川(一)、5番・外崎(二)、6番・森(捕)、7番・中村(指)、8番・スパンジェンバーグ(三)、9番・金子侑(中)、先発・ニール(右投)
楽天=1番・田中(中)、2番・鈴木(一)、3番・茂木(三)、4番・浅村(二)、5番・島内(左)、6番・ロメロ(指)、7番・岡島(右)、8番・足立(捕)、9番・小深田(遊)、先発・則本(右投)
◎試合展開
Vへカギを握る運命の3週間
改めてここにも記しておきたい。
8/25(火)~9/13(日)までの約3週間は、楽天が優勝戦線に踏みとどまり抜け出すことができるか運命の18試合になる。
この18試合中、ホームゲームが15試合と圧倒的に多く(残り3試合は札幌)、19勝13敗1分と大きく勝ち越す「地の利」を得て戦うことができるわけだ。
ペナントレースは第3コーナーに向かっているため、9勝9敗の五分では失格だ。この間にどれだけ貯金を積み上げることができるかの勝負だと思う。
一方、9/15(火)~10/18(日)は移動に次ぐ移動の連続。
神戸、福岡、仙台、所沢、仙台、大阪、札幌、仙台、千葉、福岡。転戦に次ぐ転戦を余儀なくされる。
仙台に1週間腰をすえて戦う日程は10/20(火)~10/25(日)まで待たねばならず、厳しい戦いが予想される。そのため・・・(続く)
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