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【戦評】2週連続ビジター日程よく戦った! 誰がなんと言おうと5勝5敗2分は御の字だ!~8/23●楽天0-11日本ハム

今季最大の完敗

9週連続で続いた同一カード6連戦の最終日。
楽天は今シーズン最大の完敗を喫した。

前半戦の5回までは両軍先発0-0の引き締まった投手戦に。
しかし後半戦の6回以降、鷲投手陣まさかの投壊11失点という、天気急変ゲリラ豪雨の一戦になった。

11点の得失点差は今季最大だ。
完封負けは6/21●E0-4B、8/9●E0-5Hに続く今季3度目を数えている。

3敗目の先発・福井は好投したが、今季初勝利はお預けに。

平均144.9キロを計測した力強いストレートで当該10打数1安打に。
真っすぐで西川を2打席凡退させ、レベチ中田に捕邪飛を打たせるほど。
フォークの落ちも良く、6回途中2失点と試合は作ったが、打線の援護に恵まれなかった。

敵軍は連日の自打球禍で近藤、大田がスタメン外れ。
とはいえ8月月間打率.282と好調の日本ハムである。

ウポポイユニフォームに袖を通したそんなファイターズ打線を、ベテラン右腕は5回まで散発2安打に封じた。6回も1死3,2塁で降板するまで無失点、黒星は後続のシャギワが渡邉、清宮に連続タイムリーを許した結果だった。

シャギワに関しては何をか言わんやだ。

防御率2.86と真の力量を表すFIP4.51の差異が激しい。
奪三振率6.14、与四球率4.09が表すように、三振が思うように取れないのに、四球は多い不安定な内容。BABIP.197が示すように、インプレー打球が安打になる割合が異常に低く、運の介在が常につきまとう。

だから渡邉の当たりが詰まらせたゴロなのに、投手の脇を抜け二塁ベースほぼ真上のイヤなコースに飛んだのは、仕方ないという感じだ。

シャギワも逆シングルで捕球できたんじゃないの?とも思う。
球を動かしゴロを打たせることを信条としながら、来日1年目の助っ人が処理した投ゴは(投犠を除いて)ここまで1本しかなく、「9人目の野手」の役割を務めていない。

継投の接続部分で失点するかたちになったが、最大の敗因は打線だ。
連打が1度もなく、6安打に終わった。

相手先発バーヘイゲンは防御率3.72ながら札幌ドームでは3.04を記録。
硬くて高いマウンドが長身右腕に合い、198cmの上背から投げ下ろす高速ムーヴィングボールが「さらなる効果」を発揮するのだろう。

事実、楽天打線はゴロを大量生産させられた。
打球15本のうち、ゴロは14本も!(ゴロ凡打10、ゴロ安打5)

唯一の飛球は6回1死2塁、浅村の3打席目。
それも捕邪飛に終わっている。

結局、6回5単打無失点、奪三振8、与四球2の快投に。
6/25●E5-8F(楽天生命パーク)の来日初勝利に続く楽天戦2勝目、今季5勝目を献上している。

前回対戦時から5~6キロほど球速アップし最速157キロを誇ったツーシーム主体のスピードボールが、好調楽天打線を黙らせた。ロメロ、太田はバットをへし折られた。

それでも、1回1死2塁、4回2死2,1塁、5回2死2塁、6回無死2塁、足や相手守備ミスを絡めて4イニングで得点圏を作った。

最大チャンスは6回だった。

この6連戦チーム最多13安打を放った田中がセンター返しで先頭出塁。続く鈴木の打席で二盗を決めて無死2塁を演出したが、鈴木空三振、浅村捕邪飛に倒れてしまう。

そして2死2塁、打席は島内へ。
ここから両軍監督による執念の采配がみどころになった。

この6連戦は9安打を弾き返し、本戦でも2打席目にヒットを放った島内。栗山監督はそんな好調打者との勝負を回避、申告敬遠で1塁に歩かせ、この週ヒットなしのロメロとの勝負を選択する。

それを見て三木監督も動く。

OPS10割のロメロに代えて代打・銀次を送り出したのだ。
ロメロへの代打は火曜日に続いて2度目になった。

銀次は粘りに粘った。近藤祐司アナが「ナイアガラ」と評した低めに鋭く落ちる縦割れカーブやスライダーを良く見切り、フルカウントから四球をもぎ取っていく。

しかし、2死満塁、内田の代打・藤田が高めボール球に空三振。
清水がミットを弾いて後逸、振り逃げを狙うも1塁送球アウトになった。

これでチーム成績は3位、56試合29勝24敗3分の貯金5に。

各種戦績は、8月10勝8敗2分、直近3勝5敗2分、ビジター12勝13敗2分に。

ゲーム差は1位・ソフトバンクと1.5、2位・ロッテと0.5、4位・日本ハムと2.0、5位・西武と5.5、6位・オリックスと9.5になっている。

◎両軍のスタメン

楽天=1番・小深田(遊)、2番・田中(右)、3番・鈴木(三)、4番・浅村(二)、5番・島内(左)、6番・ロメロ(指)、7番・内田(一)、8番・太田(捕)、9番・辰己(中)、先発・福井(右投)

日本ハム=1番・王柏融(左)、2番・松本(右)、3番・西川(中)、4番・中田(指)、5番・渡邉(二)、6番・清宮(一)、7番・石井(三)、8番・清水(捕)、9番・中島(遊)、先発・バーヘイゲン(右投)

◎試合展開

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5勝5敗2分は「御の字」だ

今季初にして唯一の2週連続のビジター日程。8月優勝戦線に踏みとどまるには、ここをどう乗り越えるか注目したが、結果は5勝5敗2分だった。

いろいろあるけど「御の字」と前向きに評価したい。

2分は8回終了時までビハインドの敗色濃厚ゲーム。これを追いついてのドローだったから、一歩間違えれば5勝7敗になっていてもおかしくなかった。

とくに前週の所沢は記録的な猛暑に見舞われた。

札幌ドームは空調完備だが、コロナ禍が蔓延するなかで家族と離れて敵地で2週間ホテルに缶詰めの「仮ぐらしのビジター日程」だった。

例年はこの時期、総決起集会が開かれるが、気軽に繁華街へ多人数で食事に行くことも叶わず、ストレスも溜まりがち。選手たちはこの2週間よく辛抱したと思う。

この6連戦であげた得点はわずかに24点。
これは7/21~7/26オリックス戦の22点に次ぐ少なさだった。

前週所沢の疲労がどっと出たと見られる選手も目立ち、この6連戦OPS.644に終わった浅村、結局ヒット1本も出なかったロメロなどは、その典型例だと思う。

それに茂木が自打球禍で3戦連続の休場を余儀なくされた。
他にも前日には辰己が左太腿に、鈴木は右膝に、本戦も浅村が右膝に自打球が直撃しトレーナーが駆けつける光景もあった。

チームとしては決して良好ではないコンディションのなか、島内、田中、小深田らが打線を牽引した。打線は点を取れないながらも、涌井の開幕8連勝、則本、松井の復活など投手陣が頑張る場面もあり、5勝5敗2分に持ち込むことができた。この2週間は得点56に対し失点69と失点がかさんでいた。にもかかわらず五分に持ち込めた。これをプラスに捉えたい。

キャプテンマークの不在

とはいえ、この2試合はキャプテンマークの不在が大きく響く敗戦だった。

茂木は有原キラーで知られる。通算対戦成績はOPS.884、打率.308で今季も前回6/26○E7-1F対戦時に二塁打2本を弾き返していた。

また、茂木は・・・(続く)

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