見出し画像

【戦評】 作り上げた好成績と続けることの難しさ~7/30○楽天4-3ロッテ

5人の継投で乗り切った1点差勝ち

ロッテ9回戦は終盤まで1点差を争う展開になった。
主導権も楽天先制、ロッテ逆転、楽天の再度逆転と目まぐるしく入れ替わるもの。

最近はスコアボードが大きく動く大味が多かった。
そのため、このようなロースコア接戦の醍醐味を忘れかけていた中での好ゲームになった。

初回、鈴木の古巣撃ち2号ソロで幸先良く先制した楽天。
ところが、この日は今季エース級の好投をみせる先発・弓削が精彩を欠いた。

いつもの安定した制球力が影を潜め、キャリア最多の4四死球。

立ち上がり2四球絡む無死満塁で失点すると、翌2回は自らのエラーも絡んでノーヒットながら失点。3回にはマーティンに甘く入った速球を右翼席へ運ばれ、3回終了時には1-3と2点先行を許してしまう。

しかし、このゲームはここから。見どころは4回以降にやってきた。

4回は浅村が13号ソロ。相手先発・岩下の真っすぐを仕留め、ホームラン争いの単独1位に再び躍り出る主砲の豪砲で反撃の狼煙をあげると、5回は三木監督がタクトを懸命に揮った。

勝利投手の権利までアウト1個に迫りながら、弓削が1番・角中に簡単に四球を与えてしまう。このカード連日の当たりがあり、本戦も四球、右本を記録したマーティンを打席に迎えて、継投作戦へ。

白羽の矢を立てたのは、先日1軍に上がってきたばかりの久保だった。

勝負は3-2までもつれる9球勝負になり、過程では一走・角中に二盗を許す。しかし最後は投ゴに退けると、前半と後半のイニングインターバルを隔てた6回、楽天が2点奪取し逆転した。

6回は2番・鈴木から始まる好打順。岩下との対決も3巡目に入ったところ、鈴木が再び良い仕事をしている。

速球を中前へ弾き返し足掛かりを作ると、茂木、浅村が連続で歩いて無死満塁。島内のセカンド強襲ゴロで三走が同点のホームを踏むと、1死3,1塁でロメロの左前適時打がヒーローインタビュー行きの決勝打になった。(E4-3M)

イーグルスはこの1点を小刻みな継投で逃げ切っている。

津留崎、宋家豪、牧田とつなぎ、最終回はブセニッツ。
宋とブセニッツは得点圏に走者を背負ったものの、相手のあと1本を封じた。

勝利投手は久保。出てきたリリーフ陣全員に勝利投手、ホールド、セーブといった良い記録がついたのは、4人以上という条件なら7/1○E5-3M(牧田、シャギワ、ブセニッツ、森原)以来になった。

これでチーム成績は2位、35試合19勝15敗1分の貯金4へ。

各種戦績は7月12勝12敗1分、直近10試合4勝5敗1分、ロッテ戦7勝2敗、ビジター6勝6敗、1点差試合3勝4敗、先制ゲーム13勝5敗1分へ。

ゲーム差は1位・ソフトバンクと0.5、3位・西武と1.5、4位・ロッテと2.5、5位・日本ハムと3.0、6位・オリックスと5.5になった。

◎両軍のスタメン

楽天=1番・小深田(二)、2番・鈴木(三)、3番・茂木(遊)、4番・浅村(指)、5番・島内(左)、6番・ロメロ(右)、7番・銀次(一)、8番・太田(捕)、9番・辰己(中)、先発・弓削(左投)

ロッテ=1番・角中(左)、2番・マーティン(右)、3番・清田(指)、4番・安田(三)、5番・井上(一)、6番・中村(二)、7番・福田秀(中)、8番・鳥谷(遊)、9番・柿沼(捕)、先発・岩下(右投)

◎試合展開

画像1

大きかった絶対絶命での最少失点

ZOZOマリンは先発・弓削にとってプロ初登板だった。
名物の浜風の洗礼が懸念されたが、この日は無風と言える風速1m。

風に悩まされることなく「これは行ける!」と思ったが、前回6/30○E15-4M対戦時に弓削から2安打した角中を1番に据えた敵将の策に、リズムを崩された格好になった。

とはいえ、苦しみながらも初回の無死満塁を犠飛の最少失点に抑えた点は大きかった。なおも続くピンチで井上を併殺網にかけたのは、勝敗を分けるポイントに。連日の内角攻めが効いているのか、中途半端な打撃のセカンド併殺打になった。

今シーズンの無死満塁の攻防を確認すると、楽天打線は機会10のうち最少失点で終わったのは1度だけである。一方、楽天投手陣は機会8のうちゼロまたは最少失点で切り抜けたのが、じつに5度も記録しているのだ。

大量失点の危険がある当該状況で傷口を最小限に抑えた点も、パリーグ最多45点の得失点差を生み出している要因の1つなのだろう。

一方、2回先頭の投ゴを処理した1塁悪送球はマズかった。

1塁送球するには身を大きく翻さなければならない三塁側へ転がった打球方向もあったが、落ち着いて処理すればなんてことのないゴロだった。

弓削は長身左腕ながら器用というイメージが多い。

実際、安定した制球力を所持するし、クイックも相当上手い。
今季は走者に3度企図されたものの、盗塁は1度も許していない。

しかし、投ゴ処理に関して言えば「別の像」が浮かび上がる。

この2年間、投犠を含めた投ゴ処理の機会は17回あった。

そのうち足元強襲ヒット2本、エラー2本を記録する。失策はいずれも1塁悪送球。全体の23.5%がアウトにならない事実は、弓削らしくない。

昨年まで後ろを守っていたからこそ

初回、岩下の立ち上がりをくじく鈴木の2号ソロは、実に素晴らしかった。

仕留めたのは初球150キロのストレート。これで鈴木の150キロ超え撃ちは、13打数3安打、2二塁打、1本塁打、3三振、1四球になっている。

何が素晴らしいかと言うと・・・(続く)

この続きは、noteマガジン『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記:2020前半戦』でどうぞ。コロナ禍の非常時、パリーグの勢力図を塗り替える三木楽天の挑戦を試合評/コラムで綴ります。また、同内容を『まぐまぐメルマガ』でも配信中、こちらは登録初月無料です。みなさんもぜひ僕たちと共に応援しませんか。新たな読者さん、お待ちしております。

ここから先は

3,037字 / 3画像
この記事のみ ¥ 150

読者の皆さんにいただいたサポートで、さらなる良い記事作りができるよう、心がけていきます。