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【試合観戦記】勝因は中川圭太。最後のPL戦士の“らしくない判断ミス”に救われた!:7/20楽天3-2オリックス

指揮官の魂もどっかへいった薄氷勝利

「なんで勝てたんだよ」

その一言が、ファンの偽らざる本音だった。(当方のXに寄せられたリプから)

12回裏は、まさに風前の灯火。
代打・阿部の左前タイムリーで1点勝ち越していたものの、こちとらの気分はビハインドだった。

この回から登板した8人目のターリーが大乱調だった。
戦況を見守る今江監督の「魂」も「どっかいってます」というほどの、肝を冷やした綱渡りの薄氷勝利だ。

前回登板7/16●E4-5xF(エスコンフィールド)ではレイエスに逆転3ランを浴びた元広島の助っ人左腕が、先頭の代打・安達をリズムよく退けた1死後、ストライクが入らなくなった。

20球投じたストライク率は30.0%のありえない低さ。3者連続四球とし、11球連続ボールの場面もあった。
ストライクゾーンを大きくはずれるたびに、顔面真っ青にした長身左腕がしきりに首をかしげる追い込まれた姿が、中継には映し出されていた。

それでも、勝った──

1死満塁、5番・中川圭太にボール先行2-0。
3球目どうにか1つストライクをとった後、2-1からの第4球を打ちにきてくれた。結果は5-4-3と渡るゲッツーでゲームセット。

今シーズン楽天が延長12回まで戦い、初めて勝利したゲームに。今季最長の4時間31分、今季最多24人が出場する総力戦を制し、オールスター前の前半戦の勝率5割を確定させた。

同日、2位・ロッテが3位・日本ハムに2-10の大敗。
1週間前には2位と6.0差あったゲーム差も3.0へ接近と上位を詰める大きな1勝を飾った。

試合展開

楽天=1番・小郷(右)、2番・小深田(二)、3番・辰己(中)、4番・浅村(指)、5番・鈴木大(三)、6番・フランコ(一)、7番・岡島(左)、8番・村林(遊)、9番・石原(捕)、先発・岸(右投)

オリックス=1番・大里(遊)、2番・森(捕)、3番・太田(二)、4番・西川(左)、5番・中川(指)、6番・トーマス(右)、7番・頓宮(一)、8番・宗(三)、9番・福田(中)、先発・カスティーヨ(右投)

両軍のスタメン

最後のPL戦士のらしくない判断ミス

正直、勝因は相手5番打者・中川の2度にわたる判断ミスだったと思う。

1死満塁のあの場面は、待球作戦で粘りのアプローチされるほど、楽天側としては嫌なものはなかった。打ちに来てくれて助かったわけだ。

太田の適時二塁打で同点にされた6回、なおも無死満塁でまわった第3打席も、似たような光景があった。

先発・岸が作ったピンチで火消しに向かった渡辺が、カウントを悪くしてボール先行3-0。もはやボール球は許されない追い込まれた場面で、4球目をあっさり打ちにきて遊ゴに倒れた。

三走をホームに呼び込んでE1-2Bとオリックスが1点勝ち越しも、アウト1個を引き換えにする打席だった。

あの場面もじっくり球を見てこられたら嫌だった。

最後のPL戦士。高校時代は不祥事で監督が辞任。野球経験のない校長が代理を務めるなか、主将だった中川が自ら作戦を立案しサインを出す事実上のプレイングマネージャーとして白球を追った。異例の経歴を持ち、パリーグ三連覇の中嶋野球を体現する野球IQは折り紙付きとして評判だ。

楽天キラーとしても知られるその中川が、焦らなくて良い場面でがっついてきたのをみると、故障で離脱し1軍復帰したばかりでまだ本調子ではなく、視野を広く持つ余裕がなかったのだろう。中川のコンディション、視野狭窄に救われた部分は大きかった。

最低限の仕事

それにしてもマスターだ。

12回1死2塁、太田の代打で起用されて、リリーフにまわっていた山下舜平大から左前へ決勝タイムリー。追い込まれていたが、浮いたフォークを完璧に仕留める連夜の活躍劇になった。

今季の楽天は代打成績が85打席で打率.286、3本塁打、17打点と12球団1位。
代打で12球団1位の打率.500を残し、代打安打も12球団最多10本を放つ茂木の活躍が大きいのだが、阿部の代打成績もなかなかで、本戦含めて8打席で打率.286、1本塁打(代打の代打で日本ハム左腕・河野撃ち一閃)、4打点を稼いでいる。

この日は相手先発が右腕ということでベンチスタートに。代わりにレフトに入った岡島が2タコと結果がでないなか、右投手からも打ったということで、相手先発が右投手の日曜日はスタメンに入る可能性は高い。

いっぽう・・・(続く)

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