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【戦評】制した空中戦。CSファイナル進出へ王手をかけた「3位からの逆襲劇」~楽天5-3ソフトバンク

美馬にタスキをつなぐ5-3の快勝!

レギュラーシーズン3位から駆け上がる日本一の東北へ。
5年ぶり2度目の“頂”を目指す楽天のポストシーズンが敵地で開幕した。

CS1stステージ初戦を5-3でもぎ取ったのは楽天。
前日の記者会見で「腹くくってぶつかる」と決意表明した若き指揮官率いる“逆転イーグルス”が、2点ビハインドを跳ね返した。

両軍合計6発の空中戦をみごとに制した好ゲームだ。

初回に浅村の先制ソロ弾で楽天が1点先制。
しかし、その喜びもつかの間、直後に則本が今宮に同点弾を浴びる。

翌2回は逆転を許した。

死球直後、7番・内川が左翼ホームランテラスへ2ラン。
内角に抜けた失投フォークを運ばれる痛恨の一撃と思われた。

しかし、楽天もすぐさま反撃。
平石監督がラッキーボーイとしての期待を寄せた9番・オコエが躍動。

千賀の151キロを仕留めて1点差に迫る一発を放つと、5回には浅村によるこの日2本目のアーチが同点弾になった。

そして7回、決勝点は茂木のバットから生まれた。
球数104球を超えて続投してきた千賀から左中間へ決勝ソロ。

9回、相手バッテリーミスで2死3塁とチャンスを広げると、浅村の3本目のヒットが適時内野安打に。
5-3と突き放し、最終回を松井で締めた楽天が満員御礼の敵地で勝利を飾った。

両軍合計8得点中、本塁打で7点入る試合内容になったが、終始押していたのは楽天だった。

得点圏打席は楽天11に対し、ソフトバンクはわずかに3。
楽天が四球を絡めながら数多くのチャンスを演出したのに対し、若鷹軍団はつながりを欠いた。

楽天投手陣の奮闘の賜物だ。
6回3失点の先発・則本は尻上がりに調子を上げ、4回以降はわずか1安打に抑えた。

7回以降は工藤監督が「中継ぎに関しては6球団でもナンバーワン」と警戒した鷲のリリーフ陣が零封リレー。
宋、森原、松井とタスキをつなぐ面目躍如の活躍になった。

たったの3打席だった若鷹軍団の得点圏打席。
そのうち2打席まわった5番・デスパイネを首尾よく退けたのも大きかった。

3回2死3,1塁、8回2死2,1塁。
いずれも複数走者を置いた場面。
しかし、則本が遊飛、森原が平凡な右飛に退け、敵軍主砲に仕事をさせなかった。

ファイナル進出へ王手をかけて、2戦目は先発・美馬。
今季ソフトバンク戦で3勝1敗・防御率1.97と鷹キラーだった背番号15に第一関門突破の好投を託す。

両軍のスタメン

楽天=1番・島内(左)、2番・茂木(遊)、3番・浅村(二)、4番・ブラッシュ(指)、5番・銀次(一)、6番・渡辺佳(右)、7番・ウィーラー(三)、8番・足立(捕)、9番・オコエ(中)、先発・則本(右投)

ソフトバンク=1番・明石(二)、2番・今宮(遊)、3番・グラシアル(左)、4番・柳田(中)、5番・デスパイネ(指)、6番・中村晃(右)、7番・内川(一)、8番・松田(三)、9番・甲斐(捕)、先発・千賀(右投)

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戦況を動かした真に価値大の一発

CS1stステージ初戦で若鷹軍団を4発の一発攻勢で沈めたといえば、2009年の同戦(○E11-4H)を思い出す。
あのときのような快勝になった。

4本の本塁打それぞれが大きかった。

浅村の2発は先制弾と同点弾。
優勝請負人の期待に応える槍働きで、敵軍エースの看板球と150キロ超えを屠った。

とくに千賀のフォークを仕留めた先制ソロの威力は絶大。

両軍の順位が確定した9/24(○E4-2H)にはウィーラーが失投フォークを逆転決勝の2ランしていた。
あの一発との合わせ技で千賀の胸中に看板球への疑心暗鬼が芽生えたと思う。

この日の千賀は走者有でフォークを投げ切ることができなかった。
その割合は10.8%、レギュラーシーズンの楽天戦で記録した20.1%から約半減という少なさだった。
走者有の場面、2ストライクと追い込んでからのフォーク使用もわずかに1球だった。

余計な力みからくる制球不如意だったのだろうか。
千賀は総じて球が高かった。

125球投げた全体の48.8%が高めゾーンを記録。
則本の、、、

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