20191118NOTE表紙

【予想】どこよりも早いFA鈴木大地の人的補償。楽天のプロテクト名簿28人を予想した。

鈴木大地、楽天入り

プレミア12の侍ジャパン優勝から一夜明けた月曜日、国内FA権を行使した鈴木大地の楽天入りが発表された。

今年はレアードの加入で出場機会が危ぶまれながらも140試合に出場。OPS.826、打率.268、68打点、15本塁打はいずれもキャリアハイの成績を挙げた。

大学時代からリーダーシップに優れ、ルーキーイヤーから即戦力として活躍した鈴木は、今江敏晃退団後は名実ともにロッテの顔へと成長。そんな「幕張の勝負師」がクリムゾンレッドに袖を通す日がやってきた! 

FAでの楽天入りは球団史上、中村紀洋(2009~2010年)、今江(2016~2019年)、岸孝之(2017年~)、浅村栄斗(2019年~)に続く5人目になる。

鈴木の主な魅力は以下の3つになる。

◎「無事之名馬」の鉄人スキル
◎トップクラスの汎用性
◎安定すぎる好成績

通算89死球はNPB歴代39位タイ。直近3年は平均17個のデッドボールに遭いながらも、ここまで大きな怪我はない。プロ8年の経歴で全試合出場を5シーズンで記録(2013~2014年、2016~2018年)し、今年もクリアした規定打席到達はプロ2年目からじつに7年連続で更新中。

内野全ポジションを守ることのできる豊富な経験値は、遊撃521試合、二塁247試合、三塁220試合、一塁89試合に及ぶ。チームの要請に応え、例年のように守備位置が変わる状況下、140試合超に出場しながら、計算できる手堅い成績を残してくる。さまざまな外的環境に踊らされることなく、自らの仕事を忠実に遂行し、例年、判で押したようにOPS.740前後を叩き出す能力は、いやはや、凄いの一言なのだ。

鈴木に穴埋め役を託された、楽天内野陣の課題点

今年、楽天の内野戦力は主戦級と控えの間に「決定的すぎる差」が生じた。浅村、茂木栄五郎、銀次、ウィーラーの4人が作るOPSは.788を記録したのに対し、4人以外の内野手(山下斐紹や和田恋の一塁も含む)はOPS.578だった。

今年は今江が原因不明の眼病を患い、渡辺直人が慢性的な右足首痛でトホホのホで、藤田一也も楽天移籍後では最少の稼働に止まったこともあり、レギュラー戦力とバックアップ戦力のOPSに約2割の差が発生した。

経験豊富なベテランを擁しながら、控え戦力が機能不全に陥ったこともあり、体調に一抹の不安が残る茂木にリフレッシュ休養を用意できなかった。その結果、茂木は夏場に息切れ。8月以降はOPS.616に沈み、楽天の優勝戦線脱落の原因にもなった。課題になっているその断絶を埋める適役として鈴木に白羽の矢が立ったというわけなのだ。

▼下記のように、スタメンが5日以上連続で続いたとき、茂木のOPSは.678と精彩を欠いた。

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4年総額7億円の是非

鈴木のFA入団には批判もある。「今季年俸1億円の選手に4年総額7億円という大型契約はどうなの?」とは確かに僕もそう感じる。

しかし、見方を変えると、それだけの巨費を気前良く用意できるほど、楽天の経営体質がたくましくなった証拠とも言えるのだ。石井GMが使える予算はなにも青天井ではない。決められた予算枠のなかで差配しているわけで、年々進む本拠地球場のボールパーク化で、高齢者や家族連れなど幅広い年齢層のライトユーザーやインバウンドを巻き込み、収益力も上がりGMが使える予算枠も拡充されているのだろう。

もう1つの懸念点、今秋ドラフトで1位指名した大阪ガスの小深田大翔(来年25歳)だ。小深田は鈴木と同じ右投左打。本職の遊撃の他に二三塁も守る汎用性を持つ。役割が鈴木と重複するため、鈴木がヘルシーなうちは、小深田の出場機会は大幅に限定されそうだ。ドラ1には早くも厳しい試練が待ち受けるが、逆に言えば、鈴木入団によるデメリットはそれくらいなのも事実だと思う。

というわけで、ここからが本題。人的補償の件だ。

今季年俸1億円の鈴木はBランク選手に該当するため、人的補償ありの場合、楽天はロッテへ4000万円の金銭と、プロテクト名簿漏れした選手1名の保有権を譲渡しなければならない。

その名簿は(今秋ドラフトの新人や外国人を除く)支配下選手を28名まで載せることができ、ロッテはその28名から漏れた選手1名を指名できるシステムになっている。

【捕手】選外になった堀内健伍

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そこで楽天のプロテクト名簿を予想してみた。

さっそく、捕手から見ていきたい。表のとおり、捕手のプロテクトは3名になった。ここで大事なのは、田村龍弘が正捕手を務めるロッテの捕手層である。

▼楽天は今秋ドラフトで高卒捕手2名を指名したが、今回のプロテクト名簿には関係ないので、下記表には載せなかった。

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ロッテの課題点は他球団と比べて捕手登録が少なく、田村より年下の次世代捕手が2人しかいないこと。その2人、佐藤都志也(東洋大)、植田将太(慶應義塾大)も今秋ドラフトで指名した新人選手。しかも植田は育成枠なのだ。

田村より年上は多数在籍し、各々1軍経験を持つ。そのため、捕手でロッテが取りにいくなら年下。僕はそう判断したので、山下、足立祐一を名簿から外した。

打力に定評のある山下も、とはいえ通算OPSは.547に過ぎない。この値は田村.597、吉田.662に劣るのだ。ましてや守備面で捕球技術、盗塁阻止能力に大いなる不安を抱えている。ZOZOマリンは本塁後方のファウルグラウンドが広い。暴投や捕逸は他球場以上に高リスクになる。そんな捕手を習志野高出身だからと言って、わざわざ取りに行かない。

田村より年下の太田、堀内、石原。そのうち堀内と石原の中で迷ったが、堀内を選外とした。今年最も多くマスクをかぶった堀内だが、ネックは左打ちであること。NPBの長い歴史を振り返ると、左打ち捕手の大成例は、阿部慎之助、森昌彦、日高剛ら、本当に数える程度しか存在しない。打撃も非力すぎる。2軍でもOPSは.432→.371→.487→.489と5割を1度も超えたことがない。

一方、石原は1軍経験わずか8試合と圧倒的に乏しすぎるが、2軍でその長打力でOPSを.478→.586→.642と年々大きく改善させており胸熱だ。

堀内は太田と年齢も近いこと、来年は同じ左打ちで通算OPS.680の岡島が1軍復帰し、同.416の堀内の出場機会減は避けられないことを考慮すると、もし持っていかれても痛手にはならないと判断した。

【内野手】頭を悩ませるゴールデングラブ3度の処遇

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内野手登録では、渡辺直、藤田、村林が名簿から漏れた。堅守でチームを支える村林は、小深田で十分に代替えが効くと判断した。

来年から兼任コーチになる渡辺直は選手としては潮時である。個人的には持っていくならどうぞ!という感じだけど、東スポによれば兼任コーチは指名しないのが「球界の暗黙の常識」だと言う。2018年1月に大野奨太FAによる人的補償で日本ハムが中日に岩瀬仁紀兼任コーチを求めたのが結局金銭のみに落ち着いたのは、球界の不文律を破ったからだと言われている。

《参考》中日・岩瀬「人的補償での日本ハム移籍拒否」引退覚悟だった!(東スポWeb 2018年01月17日 12時30分)

長年の功労者の藤田は苦渋の決断で外した。もし名簿が29人なら、最後の1人に藤田を入れたと思う。近い将来コーチとして活躍して欲しいため、引退まで囲いたい人材だからだ。

通算OPS.639の藤田、じつは直近2年でOPSを上げている。36歳の昨年は楽天移籍後では2番目に良い.686、今年も.642と通算値を上回った。

しかし、これは、、、

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