【記録】 楽天・西垣雅矢(2021年ドラフト6位)の契約更改コメントをデータで補足する

1軍24登板。契約更改200万増

今日はプロ1年目を終えた早大出身右腕、西垣雅矢投手について少し語ってみたいと思います。

「天空の城」として有名な竹田城のある兵庫県朝来市出身(ってことは、コブちゃんの実家とわりあい近いのかな?) 昨秋のドラフト6位(全体67番目)。当時のサンスポが「楽天〝買い物上手〟」と高く評価していました。

1年前の東京六大学・秋季リーグ戦で30イニング連続無失点を樹立した184cm右腕は、プロ1年目を救援24登板23.2回、防御率2.66の成績で終え、11/3の契約更改で200万増の900万円でサインを済ませました。

西垣雅矢 2022年 試合別投手成績

開幕前は心配しました!

じつは僕、開幕前、少し心配したんです。

というのは、球種割合でストレートが43.9%と少なかった!
そのストレートも被打率.333と打ち込まれる傾向に・・・

真っ直ぐを見せ球にして変化球勝負の光景も多く、先発にしろ救援にしろ、こういう苦しいピッチングだと、シーズン中は厳しいのでは?とハラハラしました。

ところが、そんな僕の心配も杞憂に。

ストレートもフォークも優秀

その後、真っ直ぐの強度を取り戻し、割合も53.1%まで上昇。シーズン中は6/29●E1-6B(ほっともっと神戸)で最速153キロを計測、平均でも147.9キロを叩き出しました。開幕前3割打たれていた被打率も.209と大幅改善に成功します。

真っ直ぐが活きれば、変化球も相乗効果で増大し、看板球フォークの被打率も.207と抜群のキレ味でした。

2年目の飛躍へ向けて橋頭堡を築いたと言える西垣投手。
じつは先日の契約更改で、いくつかの課題を口にしていたんですよね。

今回は契約更改での西垣投手のコメントを、少し補足するかたちで解説していければと思います。

契約更改コメントを補足するよ

今シーズン、しっかりしたボールを投げられたときは自分なりに手応えを感じることができましたが、連投した日や、ランナーがいる場面での登板が自身の課題として残りました。
特に連投のときにはストレートの球威も落ちてしまっていたので、オフは基礎体力の向上をテーマに掲げ、しっかりトレーニングをしていきたいと思います。
来シーズンは50試合登板を目標に、僅差の場面でも任せてもらえるような投手を目指して頑張ります。

寮では「動画を観てるときが多い」という西垣投手、契約更改の席上でこういうコメントを残していたんです。

2年目の課題は「連投した日や、ランナーがいる場面での登板」とのこと。

そこで調べてみました。
こういうときこそ日々集計したShibatDATAが役立つというもの。

まずは連投したとき、しなかったときの投手成績です。

起用別の投手成績

連投時のきなみ指標悪化

このような結果になりました。

連投は5/11・5/12、7/17・7/18、9/23・9/24の3度ありました。

数自体は少なかったんですが、上記表が一目瞭然。単発/連投初日よりも、連投2日目のほうが成績が悪かった。表に掲げた防御率、WHIP、奪三振率、与四球率、いずれも連投2日目で数字を悪化させていました。

ストレートの平均球速も下記のとおり。

単発/初日 148.1キロ
連投2日目 146.5キロ

連投時で1.6キロの下落が確認されました。

まあ、これは仕方ないと言えます。

そもそも、どんなリリーフ投手でも(基本は)連投時パフォーマンスは落ちます。前日の疲労の影響もあるでしょうし、同じような状況で出て行けば、当然向こうのバッターも似た面々との対決が増えるでしょう。昨日の今日で球筋を把握されてますから打者の対応力も上がるというもの。

実際、今季の楽天救援陣は、単発/連投初日で防御率3.01でしたが、連投時は3.70になっていました。

また、NPBでは6連戦が基本日程ですが、大学は主に週末開催です。そのため、連投する機会もなかなか恵まれなかったと思われます。プロは年間143試合。そんな長丁場を戦うリリーフ投手の所作や作法については、まだまだ勉強中の身。こういう結果も想定内です。

火消し時、コントロール悪化

次に、ランナーがいる場面での登板について。

僕はこういう状況を『火消し登板』:と呼んでますが、下記5試合が該当します。

火消し登板時の投手成績

防御率は0.00です。これは塁上走者は前の投手が出したランナーのため、打たれて生還を許しても自責点は前の投手につくから。

実際は、WHIP2.25、被打率.333、被出塁率.500ですから、良いとは言えなかった・・・

当該時はストレート平均148.5キロでしたから、スピードは出ていた。
ただし、ストライク率はシーズン全体59.1%→火消し時51.1%と8ポイント下げていた。

腕を振って力強いボールは投げているんだけど、ピンチで抑えなきゃ!という思いが強くなりすぎるのか、力みが生じてストライクゾーンを見失うケースも多くなり、結果、カウントを悪くしたと言えそうです。

そんな象徴と言えるゲームがありました。

この試合、先発・岸孝之投手が6回途中3失点で降板。6回に安打、自らのエラーで2死2,1塁とし球数110球を数え、打席に9番・甲斐拓也を迎えたところで、楽天ベンチが動いて継投へ。二番手で火消しに向かったのが西垣投手でした。

ところが、2者連続四球で押し出し。

甲斐にフルカウント四球を与えると、続く1番・柳町達にも4-1四球。これが押し出しになりました。13球中ストライクは5球のみ。
この間、西垣投手の完全ワンバン投球を炭谷銀仁朗捕手が再三の好ブロック後逸阻止で止めていたのに、もったいないシーンになりました。

ここら辺は、西垣投手自身も重々承知のはず。自ら原因を突き止めて、課題を修正すべく、目下おこなわれている秋季キャンプで取り組んでいることでしょう。

これら2つ課題は『来季目標50登板』をクリアするためには克服していきたいところだと思います。

というわけで、今日はこの辺で! 11月note6本目の更新をお送りしました。【終】

・・・というようなデータなどをまじえた試合感想文やコラムを『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記』で綴っています。
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