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【試合評】4球団競合の新人左腕、ただいま被打率4割。浮かび上がった課題点~3/7●楽天2-3中日

※本稿は全文公開。最後まで閲覧いただけます。

打者36人で四死球ゼロ

開幕カード3試合目、3/28日本ハム戦でのプロ初登板・初先発が内定している早川。

2/20●E3-6F、2/28E-D(降雨ノーゲーム)に続く3登板目は、自身最長4回・最多72球を投げて、被安打8、奪三振4、3失点で負け投手になった。

これで対外戦の通算成績は、合計9回、打者36人、球数156、被安打14(二塁打3含む)、奪三振9(空7見2)、与四死球0、失点3、自責点3、防御率4.00、WHIP1.56、被打率.400になった。

◎早川智久 試合別 投手成績

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早大時代、現役のときに「投げる精密機械」と呼ばれた小宮山監督のもとでコントロールの大切さを学び、左腕ながらも大学通算の与四死球率2.25と傑出した数値を残した黄金左腕。

開幕前の実戦でも打者36人と対峙し『四死球ゼロ』は素晴らしい。
3ボールまでもつれた対戦も、わずかに5人しかいない。

この日、とくに白眉だったのは左打者への外狙いの速球だ。

当該17球中、捕手の要求どおりアウトコースに到達した真っ直ぐは14球。そのうち初回先頭・大島の見三振、2回高橋の空三振はコースギリギリを突く高性能のコマンドをみせている。

3ボールは4回1死の5番・高橋の打席だけ。3-0からの145キロを真っ直ぐ1本狙いで応戦されたが、前日田中将から適時打を打った好打者のバットを押し込み、打球はウォーニングゾーン直前で失速。余裕をもって追ったライト田中和のグラブに収まった。

◎試合展開

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キャンプ疲れと懸念されるスタミナ不足

いっぽう、気がかりなのは、4回のピッチングだ。
この回いきなり制球と球威が低下し、
2死走者なしから右打者3人に長短3連打を打ち返され2点を失った。

3回まで76.5%を記録したストライク率は、4回に限って言えば52.4%にまで低迷。ストレート平均球速も3回まで146.6キロを計測したが、4回に入り144.9キロまで下落した。

これ、僕は疲労とスタミナ不足なのかな?と感じている。

2/20●E3-6Fは39球、2/28E-Dは45球、この日は前述したように自己最多の72球。2/1から1ヵ月ちょっとが経過し、キャンプの疲れも溜まった中で、50球を越えてきた4回は『未知数の領域』だったと思う。

それに忘れてはならないのは、昨年はコロナ禍だったこと。

プロ野球も120試合に削減されたように、東京六大学も春季リーグは短縮日程になった。その影響で早川は昨年52.2回しか投げていないのだ。

2018年セリーグ新人王に輝いたDeNAの東克樹は立命館大4年時に92.1回を投げ、プロ1年目で154回をまかなった。昨年同新人王の広島・森下暢仁は明大4年時に107.1回を投げてプロ入りの準備を整えると、プロ1年目は122.2回を記録した。

これらの例と比べると、早川の52.2回は一抹の不安が残る。昨年コロナ禍で思うように投げることができなかったことが、今年スタミナ不足というかたちで露呈するリスクを僕は恐れている。

早大の先輩で今年からMLBに活躍の場を移した有原航平と同じ道は歩いてほしくない。

彼は早大4年時は68回どまり。プロ1年目はパリーグ新人王を獲得したものの、規定投球回未満の103.1回、防御率4.79、8勝6敗という、新人王にしては物足りなさも残る数字だった。

早川には誰もが認める好成績で新人王に選出されてほしい。

◎両軍のスタメン

楽天=1番・辰己(中)、2番・小深田(遊)、3番・島内(左)、4番・浅村(二)、5番・茂木(三)、6番・和田恋(指)、7番・横尾(一)、8番・下妻(捕)、9番・田中和(右)、先発・早川(左投)

中日=1番・大島(中)、2番・京田(遊)、3番・阿部(二)、4番・ビシエド(指)、5番・高橋(三)、6番・平田(右)、7番・木下拓(捕)、8番・武田(一)、9番・根尾(左)、先発・大野(左投)

変化球で被打率5割

球種別の課題も浮き彫りになった。

本戦で許したヒット8本のうち、じつに6本が変化球を簡単に弾き返されていた。

この日、速球は43球のうち空振り6球を記録し、3回までは球威を維持したいっぽう、変化球は29球を投げながら空振りを1球も奪うことができなかった

3戦を終えて、球種別の成績は以下のとおりである。

速球・・・被打率.278、奪三振6
変化球・・・被打率.529、奪三振3

トータルでは投球回と同じ9個の奪三振を取ることができているのだが、変化球は3個どまりと物足りない。

変化球を投げるときに腕の振りが緩むなど、フォームやメカニック的な部分での修正が必要になりそうだ。とくに被打率.429/被OPS.981の右打者対戦時にそんな印象を抱く。

開幕まで残り2登板。4球団競合のゴールデンルーキーがどのように調整してくるか注目だ。【終】

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