【戦評】課題とポテンシャルと。鈴木翔天の明暗分かれた4回2失点~3/20●楽天1-6ロッテ
終盤に崩れて1-6の敗戦
前日は10試合ぶりの勝利を収めた楽天2軍は、今日からロッテ浦和球場に転戦。澄みきった青空が中継画面越しでもまぶしい敵地で、3連戦の初戦を1-6で落としている。
スコアは7回まで1-2の接戦だった。
4回を投げた先発・鈴木は不安定なピッチングで2失点。2点先制されたイーグルスは、中盤5回ベテラン左腕・松永を攻めて1点を返した。2安打に失策も絡めて無死満塁を作ると、6-4-3の併殺間に三走が生還して1点差に肉薄した。
しかし、8回に登板した5人目の近藤が誤算。
短長4安打に1四球で大量4点を失い、趨勢は決した。
ロッテ9安打に対し、楽天は8安打。ヒット数はほぼ互角ながらも、獲得した四球数がロッテ5個に対し、楽天は1個にとどまった。
マルチヒットは石原と和田。
1安打ずつ記録したのは、村林、渡辺佳、吉持、松本だった。
今シーズン3度目のスタメンマスクをかぶった石原は、火曜日に続く2安打をマーク。引っ張って応戦した2本目のヒットは、三塁手頭上を鋭く襲い、フェンスまで到達したツーベースに。これで石橋は実戦25打席で打率.333になった。
和田は今季初の複数安打だ。1軍含めた実戦43打席の打率は.184、今年は1軍でも2軍でも調子上がらない姿が見受けられたが、この2安打をきっかけに自分らしさを取り戻してもらいたい。
フェルナンドが今季初の実戦出場した。昨年アンブレラ打法で支配下再登録をつかみ、1軍16試合でプレーしたトリリンガルは、今年は久米島キャンプ2日目から別メニュー調整を余儀なくされていた。今年4月で28歳という年齢を考えると出遅れは痛いが、ここからの巻き返しに期待を寄せたい。
◎両軍のスタメン
楽天=1番・渡辺佳(三)、2番・村林(遊)、3番・フェルナンド(指)、4番・耀飛(右)、5番・岩見(左)、6番・石原(捕)、7番・松本(二)、8番・和田(一)、9番・吉持(中)、先発・鈴木(左投)
ロッテ=1番・荻野(中)、2番・高部(中)、3番・鳥谷(遊)、4番・井上(指)、5番・安田(一)、6番・山口(右)、7番・平沢(三)、8番・柿沼(捕)、9番・三木(二)、先発・有吉(右投)
◎試合展開
青グラブ鈴木翔の課題と収穫点
先発は大卒2年目・青グラブのサウスポー、鈴木翔天。
1点の曇りない晴天へ飛翔していく名前どおりの快投とはいかなかった。
終始ぐずつく空模様になり、毎回ランナーを出す3安打4四球。
どうにか4回を2失点にまとめたが、ヒヤヒヤの綱渡りだった。
初回いきなり1番・荻野に先頭打者四球。出してはいけない打者を出してしまったが、センター吉持の好プレーに救われ事なきを得た。
翌2回は1死後に四球で出した走者を暴投で二進させ、柿沼に先制打を弾き返された。(E0-1M)
3回は得点圏に走者を背負いながらゼロに抑えたが、4回は安田に右越えソロを被弾(E0-2M)。昨年のイースタン二冠王に逆球速球を反応撃ちで一閃された。その後もピンチを招いて無死2塁~無死2,1塁~1死3,2塁~2死3,1塁、最後はサード渡辺佳の好守支援で切り抜けた。
もったいないのは、柿沼の適時打も安田の一発も、0-2経由だったこと。圧倒的投手有利のカウント状況を作りながらも、それを活かすことができなかった点は、今後の課題になりそうだ。
ストライク率は54.3%、初球ストライク率も50.0%に。
逆球も多く『約4球に1球』が捕手が要求したコースとは正反対に到達。
とくに左打者の外角狙い(右打者の内角狙い)の速球が逆球になるケースが目立った。
コントロールに苦しんだ原因は、本人の力量・技術不足のほか、気象条件も影響したと思う。
この日、東日本は春の嵐に。台風19号の被害から全線開通したばかりの三陸鉄道も強風の影響で運転見合わせになるほど荒れた。ロッテ浦和球場も中継カメラが風に煽られ、ところどころ画面が激しく揺れる場面も発生した。
潜在能力を垣間みせた危機脱出劇
一方、ポテンシャルを感じさせる場面もあった。
奪った空振りは全81球で9球。
その大半を真っ直ぐで記録し、ストレートでバットをへし折る場面さえあった。
とくに3回1死2塁のピンチは見どころに。
3番・鳥谷、4番・井上を連続三振にねじ伏せた結果球は、いずれもストレートで威力あった。
往時は傑出した選球眼で高出塁率を誇った鳥谷。
この打席もフルカウントからの7球勝負までもつれていた。
ベテランはクサいところは・・・
※ここから先は『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記:2020前半戦』読者さんへ。または本記事を単体でご購読くださった読者さんへ。なお、同じ内容を『まぐまぐメルマガ』でも配信中!新規読者さん募集中!!!
読者の皆さんにいただいたサポートで、さらなる良い記事作りができるよう、心がけていきます。