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【試合評】石井楽天のベイスボール。17年目捕手が犯した致命的ミス~6/4●楽天1-6DeNA

あっぷあっぷの京山をまさか攻略できず

2連敗で迎えたDeNA2回戦。今週1週間を勝率5割で踏みとどまるのか否かの瀬戸際だった。

それなのに、石井監督の採ったスタメンは、1番・西川を2番にし、2番・小深田を1番にしただけ。この程度の打線の組み換えで臨まれるとは、応援する僕らファンも随分とコケにされたものだ。

初回、3番・浅村のタイムリーによる1点先制劇は、打線の組み換え効果ではなく、ただ単に相手先発・京山の乱調によるもの。

立ち上がり6球連続ボールが示すように、誰が1番でも四球出塁したでしょう。もし2番がコブでも、最低限の進塁打で走者を進めたはず。浅村の先制打も2-0の打者有利カウントから外狙いの真っ直ぐが内角に抜けた制球不如意を仕留めたものだった。

スタメンとは、その日の指揮官の所信表明みたいなもの。この顔ぶれ、並びが負け越し続きと変わらないときと、全く違うときでは、当然ナインのスイッチの入れ方も違ってくるはず。

前日の1番と2番を入れ替えただけのスタメンでは、ナインの闘志に火が宿るはずもない。

DeNA先発の京山は1回から4回まで毎回先頭打者を出す苦しい投球だった。

58.2%と低かったストライク率は、ストレートの当該値ではさらに下がり51.2%。ピッチングの軸球になる真っ直ぐが思うように操れず、なんとか変化球でごまかした体だったのに、楽天打線は5回1失点の及第点を許した。まさに据え膳食わぬは・・・の事態になってしまったワケだ。

前日の敗戦を報じたスポーツ報知が「ローテの再編に加えて2軍から打撃好調の選手を昇格させるなど、打開策が求められる」と記事を結んだため、この日の緊急昇格があるかな?と期待した部分もあったが、瀧中の抹消だけ。

今季はファームで見事なコンタクトヒッターに変身し、京山から2安打を決めている横尾を上げる措置もなし。5/12以降ホームランを7発量産している和田恋を緊急昇格させる施策もなし。ただただいつもと同じ面々で臨んだ石井楽天だった。

試合展開

楽天=1番・小深田(遊)、2番・西川(左)、3番・浅村(二)、4番・島内(右)、5番・マルモレホス(一)、6番・辰己(中)、7番・鈴木大(三)、8番・太田(捕)、9番・早川(左投)

DeNA=1番・佐野(左)、2番・蝦名(右)、3番・宮﨑(三)、4番・牧(二)、5番・ソト(一)、6番・大和(遊)、7番・桑原(中)、8番・嶺井(捕)、9番・京山(右投)

両軍のスタメン

理解不能の併殺劇

それにしても、3併殺は痛恨すぎた。

同点で迎えた7回1死2塁、代打・銀次の二直で2塁代走・山﨑剛が飛び出して戻れずもほんとどうなのか・・・と呆れてしまうが、まだ想像はできる。

しかし、3回1死3,2塁に発生した併殺劇は、なぜ3,2塁でゲッツーになるのか?ゲームを観ていなかったファンからすれば、不思議で仕方ないシーンになってしまった。

1死3,1塁で3番・浅村だった。併殺リスクを解消するべく一走・西川が二盗成功する。3,2塁となって、浅村の当たりはひっかけたサード正面のゴロに。

もし3,1塁のままなら5-4-3の併殺コースだ。西川の二盗が活きたよ!と膝を叩いたシーン。まさかの光景が展開されたのは、そのときだった。

三塁手・宮﨑は1塁送球アウト。このとき三走・早川は一歩も動かないのに、なぜか二走・西川が三塁に向かってスタートを切っていた。宮﨑が補球したとき、西川はすでに3塁アンツーカー手前まで来ていた。

早川がホットコーナーから動かないのをみて、西川は慌てて2塁へ踵を返した。ボールは1塁から2塁ベースカバーの牧に転送され、西川は2,3塁間で挟まれるかたちに。ことここに至って三走・早川がやむなく本塁突入したものの、2塁からバックホームされて本塁タッチアウト。不可解すぎる併殺劇になってしまった。

試合後、石井監督は「疎通ができてなかった」と短く振り返っただけだったようだが、解説の齊藤明雄さんは、ふだんランナー役にならない三走・早川がゴロゴーのサインを見落としていたのでは?と指摘されていた。

その可能性は大いにありそうだ。しかし、その可能性だったとしても、3塁塁上の早川が動いていないことは西川の視界にも当然入ってるはず。三塁手前まで行ってから気づくような類のものでもないと思う。

ベイスボールはDeNAの特権だったのに、敵地の本拠地で楽天がベイスボールをする事態になってしまったのだ。あの場面、いったい何があったのか。真相は闇の中である...

17年目ベテラン捕手の価値

Twitterにも書いたが、交流戦における炭谷の捕手防御率がヒドい。

上記のとおり、太田が2.80なのに対し、本戦の大敗を受けて炭谷は4.98へとさらに悪化してしまった。

ツイートにも書いたとおり、この数字の全責任が炭谷に帰結するとは全く思わない。それでも、こういう結果が厳然と出ているのも事実。その多寡はあれど、炭谷にも少なからずの責任はあるとみるべきだろう。

昨年途中まで約2年半セリーグに在籍していたその経験を活かすことができていないのでは?

そう勘ぐられても仕方のない数字になってしまっている。

愚の骨頂

実際、そう強く言いたくなる場面があった。

1-1の同点のまま突入した7回裏の攻防だった。

楽天はこの回から三番手で宋家豪。先頭の代打・森に左前へ弾き返され、無死1塁で2年連続打率3割打者の1番・佐野を迎えていた。

その初球、低めに誘うチェンジアップだった。打者・佐野は見逃してボール。このとき、一走・森が果敢に二盗を仕掛けた。炭谷は2塁送球しようとしたが球を握り損ねてポロリ。送球できずじまい。

場面は無死2塁に変わり・・・(続く)

...続きは『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記2022』でどうぞ。

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