好感度大! 3年後、5年後の未来を見すえた楽天のコーチ人事

※本稿は全文noteに公開中。最後までお楽しみいただけます。

石井全権体制2年目の新体制が発表

楽天生命パークで秋季練習が始まった昨日、球団からコーチ人事の新体制も発表された。

石井GM監督体制2年目を支える今回の顔ぶれ、僕はかなりの好感を感じている。

常勝・若鷹軍団で合計13年の指導歴を持ち、柳田悠岐栗原陵矢を育てた立花義家を1軍打撃コーチに招聘し、今年でバットを置いたヤクルトの雄平を2軍打撃コーチに迎え入れる報道が話題を呼ぶ今回の人事刷新。

ほかにも2005・2006年は選手で2007~2009年は指導者としてイーグルスに尽力した佐竹学が、13年ぶりに仙台に帰ってきた。

全陣容は以下のとおりだ。

【1軍】
・監督 石井一久
・ヘッドコーチ 真喜志康永
・バッテリー兼守備戦略コーチ 光山英和
・打撃コーチ 立花義家
・打撃コーチ 渡辺直人
・投手コーチ 小山伸一郎
・投手コーチ 石井貴
・内野守備走塁コーチ 奈良原浩
・外野守備走塁コーチ 佐竹学

【2軍】
・監督 三木肇
・打撃コーチ 垣内哲也
・打撃コーチ 雄平
・投手コーチ 永井怜
・投手コーチ 久保裕也
・バッテリーコーチ 星孝典
・内野守備走塁コーチ 塩川達也
・外野守備走塁コーチ 岡田幸文
・育成総合兼打撃コーチ 後藤武敏
・育成打撃コーチ 金森栄治
・育成内野守備走塁コーチ 今江敏晃
・育成外野守備走塁コーチ 牧田明久

名伯楽、ファームへ

そのなか、最も注目するのは金森栄治、岡田幸文の配置転換だ。

配置展開というと一般的な聞こえは悪いが、今シーズン1軍を担当した2人をファームにもってきた判断には、球団の若手育成への真剣なまなざし、ほとばしる情熱を垣間見ることができる。

ご存じのように、イーグルスは懸案の「右の強打者育成」へ、今秋のドラフトで1位・吉野創士(昌平高)を筆頭に『右打ちの高卒外野手』を大量4名を指名した。(下記表の緑の網掛け)

◎2021年 楽天のドラフト

画像1

彼ら4人は全員2003年生まれだ。

イーグルスの外野デプスをみると、主戦級の岡島豪郎は来年33歳、打点王の島内宏明も32歳。高齢化が進むいっぽう、辰己涼介小郷裕哉の大卒3年目、その1コ下のオコエ瑠偉は伸び悩んでいる現実がある。

さらにその下、1998年生まれ(23歳)~2002年(19歳)の年齢帯に目を向けると、武藤敦貴しかいない状況だ。

そういう現状をみると、今秋ドラフトで獲得した4名の高卒外野手の育成は、もはや失敗が許されない。

その意味で、金森を1軍打撃コーチから育成打撃コーチへ、岡田を1軍外野守備走塁コーチから2軍外野守備走塁コーチに当てたのは、まさに適役だと感じた。

(Twitterでフォロワーさんが「1軍から育成に?なら辞める」と言われなくてよかったとツイートしていたけど、その点はほんとそのとおり! 球団は良く説得したと思う)

とくに僕が期待を寄せているのは金森だ。

2018年にロッテの1軍打撃コーチを務めた金森は、2019年から楽天へ。3年間1軍でコーチ職を務めた。

金森といえば「ふすま理論」という独自の指導で知られる。

ふすまを閉めるときと同じ要領でに両脇を締めて腰の回転でバットを内から出していき、捕手寄りのポイントで捉えていく。この指導を受けて開花した選手は、城島健司井口忠仁ら枚挙にいとまがなく、ロッテでは井上晴哉の覚醒を後押ししている。

これで得られた副産物も大きい。
「選球眼の向上」と「四球率の上昇」だ。

ロッテの四球率が7.3%→8.8%に上昇したように、楽天の四球率も金森就任で劇的変化を遂げた。

下記のとおり、長年7~8%で推移した数字が、彼が仙台に着任した2019年以降はリーグ平均を上回り、10%を越えてきた。そしてここ2年間、ワシンガン打線の出塁率はパリーグ1位を記録している。

◎楽天の四球率
2017年 8.7%(8.3%)
2018年 7.9%(8.5%)
---金森就任---
2019年 9.8%(8.9%)
2020年 10.2%(9.6%) 出塁率.341パリーグ1位
2021年 10.0%(8.8%) 出塁率.329パリーグ1位


ピッチャーの高速化が進み、多彩な変化球を操る投手も増えている昨今、バッターが「三振<四球」の成績を残すのは大変難しくなっている。規定打席到達した中で1人2人いればいいほうだ。

ところが、今年は首位打者・吉田正尚を筆頭に7人を数えた。
そのうち3人が楽天勢だった。(鈴木大地、浅村栄斗、島内宏明)

これも1軍で3年間指導してきた金森の集大成と言える成績だと思う。彼の打撃理論は3年で楽天1軍に広く浸透したのだ。

逆を言えば、これ以上1軍で指導に携わっても、大きな変化を期待するのは難しいということになる。ならば、発展途上の原石がしのぎを削るファームでその辣腕をふるってもらいたい。

群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、卓越した野球観と叩き上げの技術論だけが彼の武器。

そんな「球界のドクターX」が、鉄は熱いうちに打て!とばかりにファームで若鷲の指導に乗り出すのだ!

3年後、5年後の未来予想図を思い描くとき、これほどワクワクすることはないと思う。【終】

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・・・というコラムなどをnoteマガジン『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記〔2021後半〕』で連載中!
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