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伯母も飼育係だった話

飼育係(飼育員)というのは結構人数が少ない職種なので、町内や親戚の集まりでは珍しがられるのが常である。

しかし私の場合、父方の伯母が先に飼育の仕事をしていたので、少なくとも身内内ではそうでもなかった。

とはいえ、伯母は動物園の飼育係ではない。

伯母は富山県の上市町に住んでいて、同町の池田模範堂という製薬会社で働いていた。主に品質管理部門で働いていて、事務の合間にラットやモルモットの世話をしていたそうである。盆や正月でも休めないのは動物園と一緒である。

実験動物のお世話は、動物園のそれとは違い、均一性が求められる。年齢や性別、健康状態などがそろったマウスやモルモットが一匹ずつケースに入って並べられており、そのケースも毎日ローテーションをして場所による差をなくすそうである。このあたりの管理はシビアである。

餌食いが悪くなったり、糞の状態が悪い個体は「はじかれる」ので、毎日採食量はどうか、ちゃんと健康な糞をしているか、と見回るうちに、自然と愛着がわくそうである。

そして愛着がわいたところで、マウスやモルモットは体の毛を剃られ、ムヒを塗られるのである。

実験動物には感謝の念しかない。






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