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飾りじゃないのよ冬羽は
秋から冬にかけてやってくるカモたちの多くは、オスが鮮やかな羽衣をしています。種にもよりますが、日本に渡来後に換羽が完了し、あざやかな羽衣が完成することが多いようです。
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このカラフルな羽衣は、求愛のダンスを踊るときに活用されます。頭の頂点の冠羽を逆立てたり、翼をちょっと持ち上げて次列風切のキラキラを見せたりしてメスを誘います。
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ここでよく話題になるのが、オオルリやキビタキなど、オスがカラフルな夏鳥との対比です。これらの小鳥は夏にカラフルになり、カモは冬にカラフルになります。
そのため、「小鳥類は夏羽がカラフルで、カモ類は冬羽がカラフルだ」と考えられがちですが、これは実は正しくありません。
というのも、つがい形成~繁殖の時期にオスがカラフルになるのは共通で、その「つがい形成の始まる時期」だけが大きく異なるからです。
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キビタキやオオルリなどは渡来後につがいを作るため、初夏にようやく鮮やかな羽衣になります。カモ類ではそれが冬期にまで前倒しされているため、冬の始まる前からカラフルな羽衣になるのです。
つまり、
「小鳥類は夏羽がカラフルで、カモ類は冬羽がカラフルだ」ではなく、
「小鳥類は夏羽がカラフルで、カモ類は冬から夏羽になる」が正解なのです。
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また、夏羽(繁殖羽)から冬羽(非繁殖羽)への換羽は、全身の羽根が抜け替わる完全換羽なのに対し、冬羽から夏羽への換羽は体の一部だけが生え変わる部分換羽です。具体的に言うと三列風切羽や尾羽はこの部分換羽では生え変わらないので、その直前の夏生まれの当歳の個体の場合、換羽して夏羽になっても三列風切と尾羽は幼鳥の時の(幼羽の)ままです。ここを識別ポイントにするとカモの年齢が当歳なのかそれ以上なのかを見分けることとができます。(よく見れば、ですが)。
美しいカモのオスは見つけやすい、見分けやすいだけでなく、光の当たり具合によって色合いが変わる構造色であるため、ずっと眺めていても飽きません。
いろいろな楽しみ方があるカモウォッチングの中でも、オスの繁殖羽を愛でるのは王道中の王道ではないでしょうか。
というわけでご唱和願います。
♪飾りじゃないのよ冬羽は ハッハ~ン♪
♪夏羽と言ってるじゃないの ホッホ~ン♪
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